○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921001号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)の運用については、平成 17年10月25日付薬食審査発第1025009号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知「『医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について』の改正につい て」(以下「旧運用通知」という。)により定めてきたところですが、今般、平成18年3月31日に公布された「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令 の一部を改正する省令」(平成18年厚生労働省令第72号)により改正された医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(以下「GCP省令」という。)が 施行されたことに伴い、GCP省令の運用を別添のとおり定めましたので、貴管内関係業者、医療機関、当該医療機関における医薬品の臨床試験に携わる者等に 対し周知いただきますよう御配慮願います。
なお、本通知の施行に伴い、旧運用通知は廃止いたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921002号)
(日本製薬団体連合会会長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921002号)
(日本製薬工業協会会長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921002号)
(米国研究製薬工業協会在日技術委員会委員長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921002号)
(欧州製薬団体連合会在日執行委員会委員長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921002号)
(社団法人日本医師会会長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921002号)
(社団法人日本歯科医師会会長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921002号)
(社団法人日本病院薬剤師会会長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921002号)
(社団法人日本看護協会会長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921003号)
(文部科学省高等教育局医学教育課長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921003号)
(防衛庁人事教育局衛生官あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921003号)
(日本郵政公社人事部門厚生労働部長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921003号)
(健康保険組合連合会会長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921003号)
(国家公務員共済組合連合会理事長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921003号)
(財団法人厚生年金事業振興団理事長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921003号)
(財団法人船員保険会会長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921003号)
(社団法人全国国民健康保険診療施設協議会会長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921003号)
(社団法人全国自治体病院協議会会長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921003号)
(社団法人全国社会保険協会連合会会長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921003号)
(社団法人全日本病院協会会長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921003号)
(社団法人地方公務員共済組合協議会会長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921003号)
(社団法人日本医療法人協会会長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921003号)
(社団法人日本精神科病院協会会長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921003号)
(社団法人日本病院会会長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921003号)
(全国厚生農業協同組合連合会会長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921003号)
(日本赤十字社社長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921003号)
(独立行政法人労働者健康福祉機構理事長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921003号)
(独立行政法人国立病院機構理事長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴会会員に対し周知いただきますよう宜しくお願いいたします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921004号)
(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
標記について、平成18年9月21日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知したので、御了知方お願いします。

○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921005号)
(医政局国立病院課長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
(公印省略)
標記について、平成18年9月21・日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴管内医療機関及び当該医療機関における医薬品の臨床試験に携わる者等に対し周知いただきますよう御配慮願います。

(別添)
旧運用通知との主な相違点
1.平成18年厚生労働省令第72号によるGCP省令の一部改正、平成18年4月1日付薬食発第 0401001号厚生労働省医薬食品局長通知「『医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令』(治験審査委員会の質及び機能の向上関 係)の施行について」及び平成18年4月1日付薬食審査発第0401001号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知「『医薬品の臨床試験の実施の基準に関 する省令の一部を改正する省令』(治験審査委員会の質及び機能の向上関係)の施行に関する留意事項について」による記載整備
2.治験実施計画書におけるモニター等に係る記載について解釈を追記(第7条第1項、第15条の4第1項)
3.自ら治験を実施する者と治験薬提供者との間で行われる治験薬に係る情報の収集等について明記(第15条の5第1項、第26条の6第1項)
4.迅速審査の定義について追記(第28条第2項)
5.治験審査委員会の委員候補を常時確保することについての解釈を追記(第28条第2項)
6.モニター等への協力に係る解釈を明記(第37条)
7.治験事務局の業務内容について追記(第38条)
8.被験者に対する説明文書における治験審査委員会に係る情報の提供についての解釈を追記(第51条第1項)
医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の目次
第一章 総則
第1条 趣旨
第2条 定義
第3条 承認審査資料の基準
第二章 治験の準備に関する基準
第一節 治験の依頼をしようとする者による治験の準備に関する基準
第4条 業務手順書等
第5条 毒性試験等の実施
第6条 医療機関等の選定
第7条 治験実施計画書
第8条 治験薬概要書
第9条 説明文書の作成の依頼
第10条 実施医療機関の長への文書の事前提出
第11条 治験薬の事前交付の禁止
第12条 業務の委託
第13条 治験の契約
第14条 被験者に対する補償措置
第15条 治験国内管理人
第二節 自ら治験を実施しようとする者による治験の準備に関する基準
第15条の2 業務手順書等
第15条の3 毒性試験等の実施
第15条の4 治験実施計画書
第15条の5 治験薬概要書
第15条の6 説明文書の作成
第15条の7 実施医療機関の長への文書の事前提出等
第15条の8 業務の委託
第15条の9 被験者に対する補償措置
第三章 治験の管理に関する基準
第一節 治験依頼者による治験の管理に関する基準
第16条 治験薬の管理
第17条 治験薬の交付
第18条 多施設共同治験
第19条 効果安全性評価委員会の設置
第20条 副作用情報等
第21条 モニタリングの実施
第22条 モニターの責務
第23条 監査
第24条 治験の中止等
第25条 総括報告書
第26条 記録の保存等
第二節 自ら治験を実施する者による治験の管理に関する基準
第26条の2 治験薬の管理
第26条の3 治験薬の品質の確保
第26条の4 多施設共同治験
第26条の5 効果安全性評価委員会の設置
第26条の6 副作用情報等
第26条の7 モニタリングの実施
第26条の8 モニターの責務
第26条の9 監査
第26条の10 治験の中止等
第26条の11 総括報告書
第26条の12 記録の保存等
第四章 治験を行う基準
第一節 治験審査委員会
第27条 治験審査委員会の設置
第28条 治験審査委員会の構成等
第29条 治験審査委員会の会議
第30条 治験審査委員会の審査
第31条 継続審査等
第32条 治験審査委員会の責務
第33条 治験審査委員会の意見
第34条 記録の保存
第二節 実施医療機関
第35条 実施医療機関の要件
第36条 実施医療機関の長
第37条 モニタリング等への協力
第38条 治験事務局
第39条 治験薬の管理
第39条の2 業務の委託等
第40条 治験の中止等
第41条 記録の保存
第三節 治験責任医師
第42条 治験責任医師の要件
第43条 治験分担医師等
第44条 被験者となるべき者の選定
第45条 被験者に対する責務
第46条 治験実施計画書からの逸脱
第47条 症例報告書等
第48条 治験中の副作用等報告
第49条 治験の中止等
第四節 被験者の同意
第50条 文書による説明と同意の取得
第51条 説明文書
第52条 同意文書等への署名等
第53条 同意文書の交付
第54条 被験者の意思に影響を与える情報が得られた場合
第55条 緊急状況下における救命的治験
第五章 再審査等の資料の基準
第56条 再審査等の資料の基準
第六章 治験の依頼等の基準
第57条 法第80条の2第1項の厚生省令で定める基準
第58条 法第80条の2第4項の厚生省令で定める基準
第59条 法第80条の2第5項の厚生省令で定める基準
附則
用語解説:
本通知における、「治験審査委員会」、第30条第1項の規定による「実施医療機関設置治験審査委員 会」、「実施医療機関等設置治験審査委員会」、第30条第5項の規定による「専門治験審査委員会」、第30条第8項の規定による「第三者治験審査委員 会」、第37条第1項の規定による「実施医療機関等設置治験審査委員会等」の記載については、これらの厳密な区別を要しない場合は、一般的な用語として、 「治験審査委員会」を用いた。
1.第一章 総則
(趣旨)
第1条 この省令は、薬事法(以下「法」という。)第14条第3項(同条第9項及び法第19条の2第5項にお いて準用する場合を含む。以下同じ。)並びに法第14条の4第4項及び第14条の6第4項(これらの規定を法第19条の4において準用する場合を含む。以 下同じ。)に規定する厚生労働大臣の定める基準のうち医薬品の臨床試験の実施に係るもの並びに第80条の2第1項、第4項及び第5項に規定する厚生労働省 令で定める基準を定めるものとする。
1 この基準は、医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資 料の収集を目的とする試験の実施(以下「治験」という。)及び製造販売後臨床試験に関する計画、実施、モニタリング、監査、記録、解析及び報告等に関する 遵守事項を定め、被験者の人権、安全及び福祉の保護のもとに、治験の科学的な質と成績の信頼性を確保することを目的とするものである。
2 治験に関する原則的事項としては、次の事項があげられる。製造販売後臨床試験を実施する際も準拠すべきである。
1) 治験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則及び本基準(この省令で定める基準を以下「本基準」という。)を遵守して行われなければならない。
2) 治験を開始する前に、個々の被験者及び社会にとって期待される利益と予想される危険及び不便とを比較考量するものとする。期待される利益によって危険を冒すことが正当化される場合に限り、治験を開始し継続すべきである。
3) 被験者の人権、安全及び福祉に対する配慮が最も重要であり、科学と社会のための利益よりも優先されるべきである。
4) 治験薬に関して、その治験の実施を支持するのに十分な非臨床試験及び臨床試験に関する情報が得られていなければならない。
5) 治験は科学的に妥当でなければならず、治験実施計画書にその内容が明確かつ詳細に記載されていなければならない。
6) 治験は、治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して実施しなければならない。
7) 被験者に対する医療及び被験者のためになされる医療上の決定に関する責任は、医師又は歯科医師が常に負うべきである。
8) 治験の実施に関与する者は、教育、訓練及び経験により、その業務を十分に遂行しうる要件を満たしていなければならない。
9) 全ての被験者から、治験に参加する前に、自由意思によるインフォームド・コンセントを得なければならない。
10) 治験に関する全ての情報は、正確な報告、解釈及び検証が可能なように記録し、取扱い、及び保存しなければならない。
11) 被験者の身元を明らかにする可能性のある記録は、被験者のプライバシーと秘密の保全に配慮して保護しなければならない。
12) 治験薬の製造、取扱い、保管及び管理は、治験薬GMP(「治験薬の製造管理及び品質管理基準 及び治験薬の製造施設の構造設備基準(治験薬GMP)について」平成9年3月31日付薬発第480号)を遵守して行うものとする。治験薬は治験審査委員会 が事前に承認した治験実施計画書を遵守して使用するものとする。
13) 治験のあらゆる局面の質を保証するための手順を示したシステムが、運用されなければならない。
14) 治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失は適切に補償されなければならない。その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにしなければならない。
(定義)
第2条 この省令において「製造販売後臨床試験」とは、医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第171号)第2条第4項に規定する製造販売後臨床試験をいう。
2 この省令において「実施医療機関」とは、治験又は製造販売後臨床試験を行う医療機関をいう。
3 この省令において「治験責任医師」とは、実施医療機関において治験に係る業務を統括する医師又は歯科医師をいう。
4 この省令において「製造販売後臨床試験責任医師」とは、実施医療機関において製造販売後臨床試験に係る業務を統括する医師又は歯科医師をいう。
5 この省令において「被験薬」とは、治験の対象とされる薬物又は製造販売後臨床試験の対象とされる医薬品をいう。
6 この省令において「対照薬」とは、治験又は製造販売後臨床試験において被験薬と比較する目的で用いられる医薬品又は薬物その他の物質をいう。
7 この省令において「治験薬」とは、被験薬及び対照薬(治験に係るものに限る。)をいう。
8 この省令において「製造販売後臨床試験薬」とは、被験薬及び対照薬(製造販売後臨床試験に係るものに限る。)をいう。
9 この省令において「被験者」とは、治験薬若しくは製造販売後臨床試験薬を投与される者又は当該者の対照とされる者をいう。
10 この省令において「原資料」とは、被験者に対する治験薬又は製造販売後臨床試験薬の投与及び診療により得られたデータその他の記録をいう。
11 この省令において「治験分担医師」とは、実施医療機関において、治験責任医師の指導の下に治験に係る業務を分担する医師又は歯科医師をいう。
12 この省令において「製造販売後臨床試験分担医師」とは、実施医療機関において、製造販売後臨床試験責任医師の指導の下に製造販売後臨床試験に係る業務を分担する医師又は歯科医師をいう。
13 この省令において「症例報告書」とは、原資料のデータ及びそれに対する治験責任医師若しくは治験分担医師又は製造販売後臨床試験責任医師若しくは製造販売後臨床試験分担医師の評価を被験者ごとに記載した文書をいう。
14 この省令において「治験協力者」とは、実施医療機関において、治験責任医師又は治験分担医師の指導の下にこれらの者の治験に係る業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者をいう。
15 この省令において「製造販売後臨床試験協力者」とは、実施医療機関において、製造販売後臨床試験責任医師又は製造販売後臨床試験分担医師の指導の下にこれらの者の製造販売後臨床試験に係る業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者をいう。
16 この省令において「モニタリング」とは、治験又は製造販売後臨床試験が適正に行われることを確保するた め、治験又は製造販売後臨床試験の進捗状況並びに治験又は製造販売後臨床試験がこの省令及び治験の計画書(以下「治験実施計画書」という。)又は製造販売 後臨床試験の計画書(以下「製造販売後臨床試験実施計画書」という。)に従って行われているかどうかについて治験の依頼をした者(以下「治験依頼者」とい う。)若しくは製造販売後臨床試験の依頼をした者(以下「製造販売後臨床試験依頼者」という。)が実施医療機関に対して行う調査又は自ら治験を実施する者 が実施医療機関に対して特定の者を指定して行わせる調査をいう。
17 この省令において「監査」とは、治験又は製造販売後臨床試験により収集された資料の信頼性を確保するた め、治験又は製造販売後臨床試験がこの省令及び治験実施計画書又は製造販売後臨床試験実施計画書に従って行われたかどうかについて治験依頼者若しくは製造 販売後臨床試験依頼者が行う調査、又は自ら治験を実施する者が特定の者を指定して行わせる調査をいう。
18 この省令において「有害事象」とは、治験薬又は製造販売後臨床試験薬を投与された被験者に生じたすべての疾病又はその徴候をいう。
19 この省令において「代諾者」とは、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これらに準じる者をいう。
20 この省令において「自ら治験を実施しようとする者」とは、その所属する実施医療機関において自ら治験を実施するために法第80条の2第2項の規定に基づき治験の計画を届け出ようとする者であって、治験責任医師となるべき医師又は歯科医師をいう。
21 この省令において「自ら治験を実施する者」とは、その所属する実施医療機関において自ら治験を実施するために法第80条の2第2項の規定に基づき治験の計画を届け出た治験責任医師をいう。
22 この省令において「治験薬提供者」とは、自ら治験を実施する者に対して治験薬を提供する者をいう。
1 第3項の「治験責任医師」とは、実施医療機関において治験の実施に関して責任を有する医師又は歯科医師である。実施医療機関において治験が複数の者からなるチームにより実施される場合には、当該チームを統括する医師又は歯科医師である。
2 第6項の「対照薬」とは、治験又は製造販売後臨床試験において被験薬と比較する目的で用いられる既承認有効成分若しくは未承認有効成分を含む製剤又はプラセボを意味する。
3 第10項の「原資料」とは、被験者に係る診療録、検査ノート、治験薬等の投与記録等の治験の事実 経過の再現と評価に必要な記録を指す。具体的には、症例報告書等の元となる文書、データ及び記録(例:病院記録、診療録、検査ノート、メモ、被験者の日記 又は評価用チェックリスト、投与記録、自動計器の記録データ、正確な複写であることが検証によって保証された複写物又は転写物、マイクロフィッシュ、写真 のネガ、マイクロフィルム又は磁気媒体、エックス線写真、被験者フィルム及び治験に関与する薬剤部門、検査室、医療技術部門に保存されている記録等)をい うものである。
4 第11項の「治験分担医師」とは、実施医療機関において治験を実施するチームに参加する個々の医師又は歯科医師で、治験責任医師によって指導・監督され、治験に係る重要な業務又は決定を行う者である。
5 第14項の「治験協力者」とは、実施医療機関において治験を実施するチームのメンバーで、治験責任医師によって指導・監督され、専門的立場から治験責任医師及び治験分担医師の業務に協力する者である。
6 第16項の「モニタリング」とは、治験が適正に行われることを確保するため、治験依頼者又は自ら 治験を実施する者(又は製造販売後臨床試験依頼者)より指名されたモニターが、治験(又は製造販売後臨床試験)の進行状況を調査し、本基準並びに治験実施 計画書(又は製造販売後臨床試験実施計画書)及び手順書に従って実施、記録及び報告されていることを保証する活動である。自ら治験を実施する者が、当該実 施医療機関内の者をモニターに指定する場合には、当該治験に従事していない第三者を指定するべきであり、また、医療機関外部の第三者機関を利用することも 可能である。
7 第17項の「監査」とは、治験(又は製造販売後臨床試験)が本基準並びに治験実施計画書(又は製 造販売後臨床試験実施計画書)及び手順書に従って実施され、データが記録、解析され、正確に報告されているか否かを確定するため、治験依頼者又は自ら治験 を実施する者(又は製造販売後臨床試験依頼者)によって指名された監査担当者が、独立した立場において治験に係る業務及び文書を体系的に検証することであ る。自ら治験を実施する者が、当該実施医療機関内の者を監査担当者に指定する場合には、当該治験又は当該治験に対するモニタリングに従事していない第三者 を指定するべきであり、また、医療機関外部の第三者機関を利用することも可能である。なお、事実経過の再現を可能とする文書を「監査証跡」、監査が行われ た旨の監査担当者による証明書を「監査証明書」、監査担当者が監査の結果の評価を記述したものを「監査報告書」という。
8 第18項の「有害事象」とは、治験薬又は製造販売後臨床試験薬を投与された被験者に生じたすべての好ましくない又は意図しない疾病又はその徴候(臨床検査値の異常を含む。)をいい、当該治験薬又は当該製造販売後臨床試験薬との因果関係の有無は問わない。
9 第19項の「代諾者」とは、治験への参加について、被験者に十分な同意の能力がない場合に、被験 者とともに、又は被験者に代わって同意をすることが正当なものと認められる者であり、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これに準じる者で、両者 の生活の実質や精神的共同関係から見て、被験者の最善の利益を図りうる者でなければならない。
10 第20項の「自ら治験を実施しようとする者」とは、その所属する実施医療機関において自ら治験 を実施するために治験の計画を厚生労働大臣に届け出ようとする者であって、治験責任医師となるべき医師又は歯科医師をいう。なお、GCPへの適合性の客観 性が確保される限りにおいてやむを得ない場合にあっては、実施医療機関の長が自ら治験を実施しようとする者となることを妨げるものではない。
11 第21項の「自ら治験を実施する者」とは、その所属する実施医療機関において自らが治験を実施 するために治験の計画を厚生労働大臣に届け出た治験責任医師をいう。なお、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を実施するた め、治験責任医師が連名で一の治験の計画を届け出た場合にも、各治験責任医師が「自ら治験を実施する者」と解される。
12 第22項の「治験薬提供者」とは、自ら治験を実施する者に対して薬物を提供する者をいう。この場合の治験薬提供者は、実施医療機関外部から当該実施医療機関に対して治験薬を提供する医薬品製造販売業者等をいう。
13 省令で規定するもののほか、次の用語については、以下に示すとおりである。
1) 「インフォームド・コンセント」並びに「説明文書」及び「同意文書」について
ア) 「インフォームド・コンセント」とは、被験者の治験への参加の意思決定と関連する、治験に関するあらゆる角度からの説明が十分なされた後に、被験者がこれを理解し、自由な意思によって治験への参加に同意し、書面によってそのことを確認することをいう。
この際の説明に用いられる文書が「説明文書」(第51条参照)である。治験への参加に同意することを確認する文書が「同意文書」(第52条第1項参照)であり、被験者(若しくは代諾者)と治験責任医師等の記名なつ印又は署名と日付が記入される。
イ) 「説明文書」と「同意文書」は両者を一体化した文書又は一式の文書とすることが望ましい。
ウ) 同意文書は、説明文書の内容を十分に理解した上で、当該治験に参加することに同意する旨を記載した文書であるが(第52条第1項参照)、あらかじめ様式を定めている場合には、説明文書と一体化した文書又は一式の文書として取り扱われたい。
例えば、第10条に基づき実施医療機関の長に対し説明文書を提出する場合及び第32条に基づき治験 審査委員会に対し審査資料として説明文書を提出する場合には、説明文書と同意文書をあわせて提出すること。また、第50条に基づき説明文書を用いて説明す る場合には、説明文書と同意文書をあわせて用いて説明すること。
2) 「開発業務受託機関」について
治験の依頼及び管理に係る業務の一部を治験を依頼しようとする者から受託する者又は治験の実施の準 備及び管理に係る業務の一部を自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関から受託する者は開発業務受託機関(CRO:Contract Research Organization)とも呼ばれる(第12条参照、第15条の8参照)。
3) 「治験施設支援機関」について
治験の実施に係る業務の一部を実施医療機関から受託する者は、治験施設支援機関(SMO:Site Management Organization)とも呼ばれる(第39条の2参照)。
4) 「効果安全性評価委員会」は、治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適当 な間隔で評価し、治験依頼者又は自ら治験を実施する者に治験の継続、変更又は中止を提言することを目的として、治験依頼者又は自ら治験を実施する者が設置 することができる治験依頼者又は自ら治験を実施する者、治験責任医師及び治験調整医師から独立した委員会であり、「独立データモニタリング委員会」とも呼 ばれる(第19条及び第26条の5参照)。
5) 「公正な立会人」とは、治験の実施から独立し、治験に関与する者から不当に影響を受けない者で、被験者又は代諾者が同意文書等を読むことができない場合にインフォームド・コンセントの過程に立ち会う者である(第52条参照)。
6) 「症例報告書の見本」とは、各被験者に対して、治験依頼者に報告すること又は自ら治験を実施す る者が保存することが治験実施計画書において規定されている全ての情報を記録するために印刷された又は光学的若しくは電子的な記録様式をいう(症例報告書 の様式とも呼ばれている。)。なお、これに記録されたものは「症例報告書」という。
7) 「手順書」とは、治験に係る各々の業務が恒常的に又は均質に、かつ適正に実施されるよう手順を詳細に定めた文書をいう。
8) 「被験者識別コード」とは、個々の被験者の身元に関する秘密を保護するため、治験責任医師が各 被験者に割り付けた固有の識別番号で、治験責任医師が有害事象及びその他の治験関連データを報告する際に、被験者の氏名、身元が特定できる番号及び住所等 の代わりに用いるものである。
9) 「非臨床試験」とは、人を対象としない生物医学的試験及びその他の試験をいう。
10) 「副作用」とは、治験薬(対照薬として用いられる市販薬を除く。)については以下のとおり:
投与量にかかわらず、投与された治験薬に対するあらゆる有害で意図しない反応(臨床検査値の異常を含む。)。すなわち、当該治験薬と有害事象との間の因果関係について、少なくとも合理的な可能性があり、因果関係を否定できない反応を指す。
市販薬については以下のとおり:
疾病の予防、診断、治療又は生理機能の調整のために用いられる通常の投与量範囲で投与された医薬品 に対するあらゆる有害で意図しない反応(臨床検査値の異常を含む。)。すなわち、当該医薬品と有害事象との間の因果関係について、少なくとも合理的な可能 性があり、因果関係を否定できない反応を指す。
(なお、本基準においては、副作用という用語を、薬理作用の中で主作用に対する副作用を意味する英語のside effectではなく、薬物有害反応adverse drug reactionに対応する意味で用いている。)
11) 「盲検化(又は遮蔽化)」とは、薬効評価に対する偏りの介入を避ける目的で、治験に参加する 単数又は複数の当事者が、治療方法の割付けについて知らされないようにする措置をいう。単盲検法は通常、被験者が割付けの内容を知らされないこと、二重盲 検法は被験者、治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、治験依頼者、自ら治験を実施する者、モニター、監査担当者及び一部の事例ではデータ解析者が割付 けの内容を知らされないことを指す。
(承認審査資料の基準)
第3条 法第14条又は第19条の2の承認を受けようとする者が行う医薬品の臨床試験の実施に係る法第14条 第3項に規定する資料の収集及び作成については、第二章第一節、第三章第一節及び第四章(第29条第1項第2号、第31条第4項、第32条第4項及び第7 項、第33条第3項並びに第48条第3項を除く。)の規定の定めるところによる。
2 自ら治験を実施する者が行う医薬品の臨床試験の実施に係る法第14条第3項に規定する資料の収集及び作成については、第二章第二節、第三章第二節及び第四章(第29条第1項第1号、第32条第6項及び第8項並びに第48条第2項を除く。)の規定の定めるところによる。
1 医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち、医薬品の製造販売承認申請を行おうとする 者が行う臨床試験の成績に関する資料については、第二章第一節、第三章第一節及び第四章(第29条第1項第2号、第31条第3項、第32条第3項及び第5 項、第33条第3項並びに第48条第3項を除く。)の規定の定めるところに従ったものでなければならない。
2 医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち、自ら治験を実施する者が行う臨床試験の成 績に関する資料については、第二章第二節、第三章第二節及び第四章(第29条第1項第1号、第32条第4項及び第6項並びに第48条第2項を除く。)の規 定に定めるところに従ったものでなければならない。
2.第二章 治験の準備に関する基準
2―1 第一節 治験の依頼をしようとする者による治験の準備に関する基準
(業務手順書等)
第4条 治験の依頼をしようとする者は、治験実施計画書の作成、実施医療機関及び治験責任医師の選定、治験薬の管理、副作用情報等の収集、記録の保存その他の治験の依頼及び管理に係る業務に関する手順書を作成しなければならない。
2 治験の依頼をしようとする者は、医師、歯科医師、薬剤師その他の治験の依頼及び管理に係る業務を行うことにつき必要な専門的知識を有する者を確保しなければならない。
<第1項>
1 治験の依頼をしようとする者は、治験依頼者になることを意図した者であり、治験の依頼に係る治験 実施計画書の作成、実施医療機関及び治験責任医師の選定、治験薬概要書の作成などの業務、治験の管理に係る治験薬の管理、副作用情報等の収集、モニタリン グ及び監査の実施、総括報告書の作成、記録の保存などの業務について手順書を作成しなければならない。
これは本基準における治験の依頼をしようとする者及び治験依頼者に係る業務の全てについて手順書を作成しなければならないという趣旨であり、本条の以下の解説において治験依頼者とあるのは、治験の依頼をしようとする者を含むものである。
2 治験依頼者は、治験の実施並びにデータの作成、記録及び報告が本基準及び治験実施計画書を遵守して行われることを保証するために、手順書に基づく品質保証及び品質管理システムを履行し、保持する責任を有する。
なお、「治験の品質保証」とは、治験の実施、データ作成、文書化(記録化)及び報告が、治験実施計 画書及び本基準を遵守していることを保証するために設定された計画的かつ体系的な全活動を、「治験の品質管理」とは、治験関連の活動の質に求められる事項 を充足しているか否かを検証するために治験の品質保証システムの一環として行われる実務的な手法及び活動をいう。
3 治験依頼者は、治験に関連する全てのデータの信頼性とその適正な処理を保証するために、データ取扱いの各段階に品質管理を適用しなければならない。
4 治験依頼者は、第16条第6項に基づき、実施医療機関の長又は実施医療機関の治験薬管理者が治験 薬の取扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書を定めなければならない。当該手順書には、治験薬の受領、取扱い、保 管、管理、処方並びに未使用治験薬の被験者からの返却及び治験依頼者への返却又はその他の処分が、適切で確実に行われるように規定しなければならない。
5 治験依頼者が作成すべき記録の保存に関する手順書には、実施医療機関及び当該治験に係る審査を 行った治験審査委員会において保存すべき記録(第34条及び第41条参照)について、その保存の必要がなくなった場合には、その旨を実施医療機関の長及び 実施医療機関の長を経由して当該治験審査委員会の設置者に通知することを含むこと。
なお、第24条第2項及び第3項に規定されている治験の中断又は中止及び開発の中止に関する治験依 頼者から実施医療機関の長への文書による通知に関する事項(当該通知を受けた実施医療機関の長から治験責任医師及び実施医療機関等設置治験審査委員会等へ の通知については、第40条第2項に規定されている。)及び当該被験薬に係る製造販売承認を得た場合に、治験依頼者から実施医療機関の長へのその旨を通知 することについても規定されている必要がある。
1) 治験依頼者は、治験を中止又は中断する場合には、治験に関与する全ての医療機関の長にその旨とその理由の詳細を速やかに文書で通知しなければならない(第24条第2項参照)。
2) 治験依頼者は、被験薬の開発(すなわち、その効能・効果、用法・用量又は製剤のいずれかあるいは全てについて)を中止する場合には、その旨とその理由の詳細を治験に関与する全ての医療機関の長に速やかに文書で通知しなければならない(第24条第3項参照)。
3) 医療機関の長は、治験依頼者が治験の中止又は中断若しくは被験薬の開発の中止を決定しその旨を 通知してきた場合には、治験責任医師及び実施医療機関等設置治験審査委員会等に対し、また治験責任医師が治験を中止又は中断しその旨を報告してきた場合に は、治験依頼者及び実施医療機関等設置治験審査委員会等に対し、それぞれ速やかにその旨を文書で通知するとともに、中止又は中断について文書で詳細に説明 しなければならない(第40条第2項及び第3項参照)。
4) 治験依頼者は、当該被験薬に係る製造販売承認を得た場合には、その旨を医療機関の長に通知しなければならない。
6 治験依頼者は、治験責任医師及び治験分担医師に症例報告書の変更又は修正に関する手引きを提供す るものとする(第47条第2項参照)。また、治験依頼者が指名した者によって行われた症例報告書の変更又は修正においては、それらが文書に記録され、必要 なものであり、かつ治験責任医師が承認したものであることを保証するための手順書を作成しておかなければならない。
7 治験依頼者は、治験に関連する全ての施設及び原資料等の全ての治験関連記録を、治験依頼者による モニタリング及び監査、並びに治験審査委員会及び規制当局による調査のための直接閲覧が可能であるように全ての関係者との合意を治験が開始される前に得て おくものとし、これに関する規定が手順書に定められていること。
8 治験依頼者は、治験責任医師、実施医療機関及び治験に係るその他の施設又は治験依頼者のスタッフが本基準及び治験実施計画書、手順書を遵守していない場合には、遵守を確保するべく迅速な措置を講じなければならない。
<第2項>
1 「治験の依頼及び管理に係る業務を行うことにつき必要な専門的知識を有する者」とは、治験に関す る医学的な問題について適切な助言を行う医学の専門家、並びに治験実施計画書、治験薬概要書等の作成・改訂、データの取扱い、統計解析の実施、総括報告書 の作成等において活用されるべき治験依頼者内部及び外部の専門家(例:生物統計学者、臨床薬理学者)を含む。
2 治験依頼者は、治験に関する業務の総括的な監督、治験実施計画書、症例報告書の見本及び治験薬概 要書の作成及び改訂、データの取扱い、検証及び統計解析の実施並びに治験の中間報告書(必要な場合)及び総括報告書等の作成等、治験の全過程を通じ、適格 な者(例:生物統計学者、臨床薬理学者、医師)を活用しなければならない。
3 治験依頼者は、治験に関する医学的な問題について速やかに助言を得るために、適格な医学専門家を指名しなければならない。
4 治験の依頼をしようとする者は、治験を依頼する前に治験に関連する全ての業務を確定し、適格な者に割り当てるものとする。
注1) 第18条の規定により、多施設共同試験の場合には、治験依頼者は治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整する業務を治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱できる。
注2) 第19条の規定により、効果安全性評価委員会を設置することができる。
(毒性試験等の実施)
第5条 治験の依頼をしようとする者は、被験薬の品質、毒性及び薬理作用に関する試験その他治験の依頼をするために必要な試験を終了していなければならない。
1 「被験薬の品質、毒性及び薬理作用に関する試験その他治験の依頼をするために必要な試験」とは、 当該被験薬の物理的化学的性質、性状等に関する理化学試験等及び毒性、薬理作用、吸収、排泄等に関する動物試験等のいわゆる非臨床試験や臨床試験を指して いるが、当該試験の具体的な項目、内容等については、当該試験の内容(治験のフェーズ、治験薬の投与経路及び投与期間、被験者の選択基準等)等を考慮のう え、治験の依頼時点における科学的水準に照らし適正なものであること。
2 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者と協議し、治験実施計画書及び症例報告 書の見本の作成並びに必要に応じてそれらの改訂を行うが、その際当該治験の目的並びに当該治験で採用される投与対象集団、投与経路、用法・用量、投与期 間、観察項目及び評価項目等の妥当性を支持できるだけの品質、安全性及び有効性に関する十分なデータが理化学試験等、非臨床試験及び先行する臨床試験から 得られており、当該治験の倫理的及び科学的妥当性が裏付けられていることを保証しなければならない。また、そのための手続きを文書で定める(第4条参照) ものとする。
3 治験の依頼をしようとする者は、開発期間中に被験薬又は対照薬の製剤組成が大きく変更される場合 には、製剤組成に関する追加の試験(安定性、溶出性、生物学的利用性等)に基づき、それらの変更が当該被験薬又は対照薬の薬物動態上の性質を大きく変える か否かを評価するのに必要な成績を、新しい製剤組成の薬剤の使用前に入手しておかなければならない。
注) 第20条において治験依頼者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他治験を適正に行うために必要な情報を収集・検討し、必要に応じて治験実施計画書等を改訂しなければならないことが規定されている。
(医療機関等の選定)
第6条 治験の依頼をしようとする者は、第35条に掲げる要件を満たしている実施医療機関及び第42条に掲げる要件を満たしている治験責任医師を選定しなければならない。
1 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師及び実施医療機関を選定する責任を有する。治験の依頼をしようとする者は、当該治験を適切に実施するのに求められる要件を満たした治験責任医師及び実施医療機関を選定しなければならない。
注1) 実施医療機関の要件については第35条参照。
注2) 治験責任医師の要件については第42条参照。
注3) 第18条の規定により、多施設共同試験の場合には、治験依頼者は治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整する業務を治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱させることができる。
注4) 第19条の規定により、効果安全性評価委員会を設置することができる。
(治験実施計画書)
第7条 治験の依頼をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した治験実施計画書を作成しなければならない。
1) 治験の依頼をしようとする者の氏名(法人にあっては、その名称。以下この号及び次号、第13条第2号及 び第3号、第15条の4第1項第2号、第3号及び第7号並びに第16条第1項第2号において同じ。)及び住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在 地。以下この号及び次号、第13条第2号及び第3号、第15条、第15条の4第1項第2号、第3号及び第7号、第16条第1項第2号並びに第26条第2項 において同じ。)(当該者が本邦内に住所を有しない場合にあっては、その氏名及び住所地の国名並びに第15条に規定する治験国内管理人の氏名及び住所。第 13条第2号において同じ。)
2) 治験に係る業務の一部を委託する場合にあっては、当該業務を受託した者(以下この章において「受託者」という。)の氏名、住所及び当該委託に係る業務の範囲
3) 実施医療機関の名称及び所在地
4) 治験責任医師となるべき者の氏名及び職名
5) 治験の目的
6) 被験薬の概要
7) 治験の方法
8) 被験者の選定に関する事項
9) 原資料の閲覧に関する事項
10) 記録(データを含む。)の保存に関する事項
11) 第18条の規定により治験調整医師に委嘱した場合にあっては、その氏名及び職名
12) 第18条の規定により治験調整委員会に委嘱した場合にあっては、これを構成する医師又は歯科医師の氏名及び職名
13) 第19条に規定する効果安全性評価委員会を設置したときは、その旨
2 治験の依頼をしようとする者は、当該治験が被験者に対して治験薬の効果を有しないこと及び第50条第1項の同意を得ることが困難な者を対象にすることが予測される場合には、その旨及び次に掲げる事項を治験実施計画書に記載しなければならない。
1) 当該治験が第50条第1項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしなければならないことの説明
2) 当該治験において、予測される被験者への不利益が必要な最小限度のものであることの説明
3 治験の依頼をしようとする者は、当該治験が第50条第1項及び第2項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしている場合には、その旨及び次に掲げる事項を治験実施計画書に記載しなければならない。
1) 当該被験薬が、生命が危険な状態にある傷病者に対して、その生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として、製造販売の承認を申請することを予定しているものであることの説明
2) 現在における治療方法では被験者となるべき者に対して十分な効果が期待できないことの説明
3) 被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあることの説明
4) 第19条に規定する効果安全性評価委員会が設置されている旨
4 第1項の規定により治験実施計画書を作成するときは、当該治験実施計画書の内容及びこれに従って治験を行うことについて、治験責任医師となるべき者の同意を得なければならない。
5 治験の依頼をしようとする者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、当該治験実施計画書を改訂しなければならない。この場合においては、前項の規定を準用する。
<第1項>
1 治験実施計画書には、作成の日付及び番号並びに改訂の日付及び改訂番号を記載すること。
2 治験実施計画書(改訂版を含む。)に通常含まれているべき具体的事項については、中央薬事審議会答申注1)の 10を参照すること。なお、治験実施計画書の具体的記載にあたって、「治験の依頼をしようとする者」を「治験依頼者」と記載しても差し支えない。例えば、 治験依頼者と記載して治験の依頼をしようとする者の氏名(法人にあってはその名称)住所(法人にあっては主たる事業所の所在地)を記載して差し支えない。
注1) 中央薬事審議会答申(平成9年3月13日中薬審第40号)は、現行の薬事食品衛生審議会の改変前の組織である中央薬事審議会が答申した医薬品の臨床試験の実施の基準であり、本基準の内容が示されたものである。
注2) 一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関に対して治験の依頼をしようとする場合は、中 央薬事審議会答申10―1の5)(モニター及び監査担当者の氏名、職名及び電話番号等)については、施設に特有の情報として、各実施医療機関を担当するモ ニター及び監査担当者の氏名、職名及び電話番号等ごとに治験実施計画書の分冊として差し支えない。また、当該各実施医療機関の長に対しては、当該分冊のう ち、当該各実施医療機関に係るもののみを提出することとして差し支えない。
注3) 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者と協議し、治験実施計画書及び症例 報告書の見本の作成並びに必要に応じてそれらの改訂を行うが、その際、当該治験の目的並びに当該治験で採用される投与対象集団、投与経路、用法・用量、投 与期間、観察項目及び評価項目等の妥当性を支持できるだけの品質、安全性及び有効性に関する十分なデータが理化学試験等、非臨床試験及び先行する臨床試験 から得られており、当該治験の倫理的及び科学的妥当性が裏付けられていることを保証しなければならない。また、そのための手続きを文書で定めるものとする (第5条参照)。
<第2項>
1 次の2に掲げる場合を除き、被験者に対する直接の臨床的利益が予期されない非治療的治験においては、必ず被験者本人から同意を得なければならない(第50条第4項参照)。
2 非治療的治験において、次の1)から4)に掲げる事項が全て満たされる場合には、被験者となるべ き者の同意を得ることが困難な者を対象として、被験者となるべき者の代諾者による同意を得て治験を行うことができる。このような治験は、例外が正当化され る場合を除き、被験薬の適応となることが意図された疾病又は症状を有する患者において行われるべきである。また、治験責任医師又は治験分担医師は、このよ うな治験における被験者に対しては、特に綿密な観察を行い、もし不当な苦痛を受けていると見受けられた場合には治験を中止しなければならない。
1) 治験の目的が、本人による同意が可能な被験者による治験では達成されないこと。
2) 被験者に対する予見しうる危険性が低いこと。
3) 被験者の福祉に対する悪影響が最小限とされ、かつ低いこと。
4) 代諾者の同意に基づいて被験者を治験に組み入れる旨を明示した上で治験審査委員会に承認の申請がなされ、かかる被験者の参加を承認する旨が承認文書に記載されていること。
3 「当該治験が被験者に対して治験薬の効果を有しないこと、及び第50条第1項の同意を得ることが 困難な者を対象にすることが予測される場合」とは、例えば、同意の能力を欠く者(小児等)を対象にした治験において、これらの者を被験者として薬物動態試 験を行う必要がある場合が考えられる。また、「当該治験において、予測される被験者への不利益が必要な最小限度のものであること」とは、被験者に対する予 見しうる危険性が低いこと、被験者への肉体的又は精神的な悪影響が、それらを避けるための努力が行われた上で、十分に低いことをいう。
4 代諾者の同意に関しては第50条第3項を参照すること(被験者の理解力に応じて説明を行い、可能であれば被験者からも同意を得るべきである。)。
<第3項>
1 「当該治験が第50条第1項及び第2項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしている場合」とは、次に掲げる点から、被験者又はその代諾者となるべき者から事前に同意を得ることが困難である緊急状況下における救命的な治験(第55条参照)である。
i) 被験者の状態から被験者の同意を得ることができないこと。
ii) 被験者の代諾者による同意が可能となる以前に、救急的に治験が開始される必要があること。
iii) 当該治験の被験者となり得る者をあらかじめ特定することが困難であること。
2 このような緊急状況下における救命的治験において、被験者となるべき者による事前の同意を得るこ とが不可能で、かつ、被験者となるべき者の代諾者と連絡が取れない場合にも治験が行われることが計画されている場合には、その旨及び次の事項が治験実施計 画書に記載されていなければならない。
1) 生命が危険な状態にある傷病者に対して、その生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として承認申請することを予定しているものであること。
2) 現在利用可能な治療方法では十分な効果が期待できないこと。
3) 被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあること。なお、そのことを支持す る適切なデータが得られている必要があること。また、当該治験への参加から生じ得る被験者に対する危険性が、現在利用可能な治療方法のリスク・ベネフィッ トに照らして合理的であること。
4) 第19条に規定する効果安全性評価委員会が設置されていること。
5) 治験責任医師又は治験分担医師が、速やかに、被験者(又は代諾者となるべき者)に対して当該治 験に関する説明を行い、当該治験への継続参加について同意を得ること(第55条第2項参照)及び被験者の身元が明らかでない者は治験の対象から除かれるこ とについて、第7条第1項第7号の「治験の方法」及び第8号の「被験者の選定に関する事項」として治験実施計画書に記載されていること。また、治験責任医 師がこの経過と結果を治験審査委員会に報告することについても記載されていること。
<第4項><第5項>
1 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者と治験実施計画書及び症例報告書の見本 について合意をする前に、治験責任医師となるべき者に治験実施計画書案、症例報告書の見本案及び最新の治験薬概要書その他必要な資料・情報を提供しなけれ ばならない。治験実施計画書及び症例報告書の見本を改訂する場合も同様とする。
2 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者が提供された治験実施計画書案等の資 料・情報を十分検討し、治験の依頼をしようとする者と協議するのに必要な時間を治験責任医師となるべき者に与えなければならない。治験実施計画書及び症例 報告書の見本を改訂する場合も同様とする。
3 治験責任医師となるべき者は、治験実施計画書及び症例報告書の見本について治験の依頼をしようと する者と合意する前に、提供される治験実施計画書案、症例報告書の見本案及び最新の治験薬概要書その他必要な資料・情報に基づき治験の依頼をしようとする 者と協議し、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討しなければならない。治験実施計画書及び症例報告書の見本が改訂される場合 も同様とする。
4 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者と協議した後、治験実施計画書及び症例 報告書の見本の内容並びに当該治験実施計画書を遵守することについて治験責任医師となるべき者と合意しなければならない。治験の依頼をしようとする者と治 験責任医師となるべき者は、この合意を証するため、治験実施計画書又はそれに代わる文書にそれぞれ記名捺印又は署名し、各自日付を記入するものとする。治 験実施計画書及び症例報告書の見本を改訂する場合並びに治験審査委員会の意見に基づく医療機関の長の指示により治験実施計画書及び症例報告書の見本が修正 される場合も同様とする。
5 治験責任医師となるべき者は、治験の依頼をしようとする者と治験実施計画書及び症例報告書の見本 の内容に合意し、また、当該治験実施計画書を遵守することについて合意した旨を証するため、治験の依頼をしようとする者とともに治験実施計画書又はそれに 代わる文書に記名捺印又は署名し、日付を記入するものとする。治験実施計画書及び症例報告書の見本が改訂される場合並びに治験審査委員会の意見に基づく医 療機関の長の指示により治験実施計画書及び症例報告書の見本が修正される場合も同様とする。
注1) 第20条第3項において、治験依頼者が被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他治 験を適正に行うために重要な情報を知ったときは必要に応じ、治験実施計画書を改訂しなければならないこと及び治験実施計画書の改訂について治験責任医師の 同意を得なければならないことが規定されている。
注2) 治験実施計画書(改訂されたものを含む。)は、第10条の規定により治験の依頼をしようとする者から実施医療機関の長に提出され、第32条の規定により治験審査委員会に提出される。
(治験薬概要書)
第8条 治験の依頼をしようとする者は、第5条に規定する試験により得られた資料並びに被験薬の品質、有効性及び安全性に関する情報に基づいて、次に掲げる事項を記載した治験薬概要書を作成しなければならない。
1) 被験薬の化学名又は識別記号
2) 品質、毒性、薬理作用その他の被験薬に関する事項
3) 臨床試験が実施されている場合にあっては、その試験成績に関する事項
2 治験の依頼をしようとする者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、当該治験薬概要書を改訂しなければならない。
<第1項>
1 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師及びその他治験に関与する者が、治験実施計画書の主 要項目(投与量、投与回数・間隔、投与方法及び被験者の安全性を監視するための手順等)の合理的根拠を理解し、かつそれを遵守するための情報を提供するた めに、治験薬概要書を作成しなければならない。また、治験薬概要書は治験実施期間中の被験者の臨床上の管理に必要な知識も提供するものでなければならな い。
2 治験薬概要書に記載されるデータは、簡潔、客観的、公平かつ販売促進に係わりのない形で提示されなければならない。
3 治験の依頼をしようとする者は、治験薬概要書の編集に当たっては一般的には医師を参加させることが望ましい。また、治験薬概要書の内容に関しては、そのデータを提供した専門部門の承認を得ておかなければならない。
4 治験薬概要書に記載すべき情報の種類や範囲は、被験薬の開発段階に応じた適当なものでなければならない。被験薬が市販され、その薬理学的性質が一般の医師に広く理解されている場合には、広範な情報を掲載した概要書は必要ない場合もありうる。
5 治験の依頼をしようとする者は、治験の実施に必要な非臨床試験及び臨床試験の成績をまとめた治験薬概要書を手順書に従って作成しなければならない。
6 第2号の「品質、毒性、薬理作用その他の被験薬に関する事項」とは、被験薬の物理的、化学的及び製剤学的性質、製剤組成、薬理、毒性、薬物動態、薬物代謝に関連する非臨床試験の成績を指す。
7 治験薬概要書には通常含まれているべき具体的事項については、中央薬事審議会答申※の11を参照すること。※第7条第1項の解説の2注1参照
<第2項>
1 治験の依頼をしようとする者は、新たな情報が得られた場合等には、手順書に従って治験薬概要書を改訂しなければならない。
2 治験の依頼をしようとする者は、新たな重要な情報が得られた場合には、治験薬概要書の改訂に先立って、治験責任医師、実施医療機関の長及び規制当局にこれらの情報を報告するものとする。
3 治験の依頼をしようとする者は、開発段階に応じて、また被験薬に関連する新たな情報が国内外から得られた場合等には、手順書に従って少なくとも年に1回治験薬概要書を見直し、必要に応じて改訂するものとする。
注1) 第20条第3項において治験依頼者が被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他治験を適正に行うために重要な情報を知ったときに、必要に応じ、治験薬概要書を改訂しなければならないことが規定されている。
注2) 治験薬概要書(改訂されたものを含む。)は、第10条の規定により治験の依頼をしようとする者から実施医療機関の長に提出され、第32条の規定により治験審査委員会に提出される。
(説明文書の作成の依頼)
第9条 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者に対して、第50条第1項の規定により説明を行うために用いられる文書(以下「説明文書」という。)の作成を依頼しなければならない。
1 治験の依頼をしようとする者は、実施医療機関の長に対して治験の依頼をする前に、被験者から治験 の参加に関する同意を得るために用いられる説明文書(第51条参照)を治験責任医師となるべき者が作成するのに必要な資料・情報を治験責任医師となるべき 者に提供し、その作成に協力するものとする。
注1) 治験責任医師となるべき者は、治験の依頼をしようとする者の協力を得て、被験者から治験への 参加の同意を得るために用いる説明文書を作成し、必要な場合にはこれを改訂するものとする。作成又は改訂された当該文書は、治験の依頼をしようとする者に 提出され、予め治験審査委員会の承認が得られていなければならない。
注2) 説明文書に記載すべき事項については、第51条第1項を参照すること。
注3) 説明文書の改訂については、第54条第2項を参照すること。
(実施医療機関の長への文書の事前提出)
第10条 治験の依頼をしようとする者は、あらかじめ、次に掲げる文書を実施医療機関の長に提出しなければならない。
1) 治験実施計画書(第7条第5項の規定により改訂されたものを含む。)
2) 治験薬概要書(第8条第2項の規定により改訂されたものを含む。)
3) 症例報告書の見本
4) 説明文書
5) 治験責任医師及び治験分担医師(以下「治験責任医師等」という。)となるべき者の氏名を記載した文書
6) 治験の費用の負担について説明した文書
7) 被験者の健康被害の補償について説明した文書
2 治験の依頼をしようとする者は、前項の規定による文書の提出に代えて、第5項で定めるところにより、当該 実施医療機関の長の承諾を得て、前項各号に掲げる文書に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって次 に掲げるもの(以下「電磁的方法」という。)により提出することができる。この場合において、当該治験の依頼をしようとする者は、当該文書を提出したもの とみなす。
1) 電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの
イ 治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機と実施医療機関の長の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
ロ 治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された前項各号に掲げる事 項を電気通信回線を通じて実施医療機関の長の閲覧に供し、当該実施医療機関の長の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに同項各号に掲げる事項を記録 する方法(電磁的方法による文書の提出を受ける旨の承諾又は受けない旨の申出をする場合にあっては、治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機に 備えられたファイルにその旨を記録する方法)
2) 磁気ディスク、シー・ディー・ロムその他これらに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに前項各号に掲げる事項を記録したものを交付する方法
3 前項に掲げる方法は、実施医療機関の長がファイルへの記録を出力することによる書面を作成することができるものでなければならない。
4 第2項第1号の「電子情報処理組織」とは、治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機と、実施医療機関の長の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。
5 治験の依頼をしようとする者は、第2項の規定により第1項各号に掲げる文書を提出しようとするときは、あらかじめ、当該実施医療機関の長に対し、その用いる次に掲げる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
1) 第2項各号に規定する方法のうち治験の依頼をしようとする者が使用するもの
2) ファイルへの記録の方式
6 前項の規定による承諾を得た治験の依頼をしようとする者は、当該実施医療機関の長から書面又は電磁的方法 により電磁的方法による通知を受けない旨の申出があったときは、当該実施医療機関の長に対し、第1項各号に掲げる文書の提出を電磁的方法によってしてはな らない。ただし、当該実施医療機関の長が再び前項の規定による承諾をした場合は、この限りでない。
1 治験の依頼をしようとする者は、治験の依頼にあたっては、あらかじめ医療機関の長に以下の最新の文書を提出しなければならない。
1) 治験実施計画書
2) 治験薬概要書
3) 症例報告書の見本
4) 説明文書
5) 治験責任医師となるべき者がその要件を満たすことを証明した履歴書及びその他の文書並びに治験分担医師となるべき者の履歴書
6) 予定される治験費用に関する資料(被験者への支払い(支払いがある場合)に関する資料を含む)
7) 被験者の健康被害に対する補償に関する資料
8) その他の必要な資料
2 説明文書と同意文書は一体化した文書又は一式の文書として取り扱うこと(第2条の解説10の1)のウ)を参照)。
注) 治験責任医師は、教育・訓練及び経験によって、治験を適正に実施しうる者でなければならない。 また、治験責任医師となるべき者は、このことを証明する最新の履歴書及びその他の適切な文書、及び治験分担医師を置く場合には当該治験分担医師となるべき 者の履歴書を、治験の依頼をしようとする者に提出するものとする(第6条及び第42条参照)。
(治験薬の事前交付の禁止)
第11条 治験の依頼をしようとする者は、治験の契約が締結される前に、実施医療機関に対して治験薬を交付してはならない。
1 治験の依頼をしようとする者は、実施医療機関との間で治験の契約が締結されるまでは、実施医療機関に治験薬を交付してはならない。
(業務の委託)
第12条 治験の依頼をしようとする者は、治験の依頼及び管理に係る業務の一部を委託する場合には、次に掲げる事項を記載した文書により当該受託者との契約を締結しなければならない。
1) 当該委託に係る業務の範囲
2) 当該委託に係る業務の手順に関する事項
3) 前号の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを治験の依頼をしようとする者が確認することができる旨
4) 当該受託者に対する指示に関する事項
5) 前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを治験の依頼をしようとする者が確認することができる旨
6) 当該受託者が治験の依頼をしようとする者に対して行う報告に関する事項
7) 当該委託する業務に係る第14条に規定する措置に関する事項
8) その他当該委託に係る業務について必要な事項
2 治験の依頼をしようとする者は、前項の規定による文書による契約の締結に代えて、第5項で定めるところに より、前項の受託者の承諾を得て、前項各号に掲げる事項を内容とする契約を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって 次に掲げるもの(以下この条において「電磁的方法」という。)により締結することができる。この場合において、当該治験の依頼をしようとする者は、当該文 書による契約を締結したものとみなす。
1) 電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの
イ 治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機と受託者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、それぞれの使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
ロ 治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された前項各号に掲げる事 項を電気通信回線を通じて受託者の閲覧に供し、当該受託者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに同項各号に掲げる事項を記録する方法(電磁的方法 による契約の締結を行う旨の承諾又は行わない旨の申出をする場合にあっては、治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルにそ の旨を記録する方法)
2) 磁気ディスク、シー・ディー・ロムその他これらに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに前項各号に掲げる事項を記録したものを交付する方法
3 前項に掲げる方法は、次に掲げる技術的基準に適合するものでなければならない。
1) 治験の依頼をしようとする者及び受託者がファイルへの記録を出力することによる書面を作成することができるものであること。
2) ファイルに記録された文書に記載すべき事項について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じていること。
4 第2項第1号の「電子情報処理組織」とは、治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機と、受託者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。
5 治験の依頼をしようとする者は、第2項の規定により第1項各号に掲げる事項を内容とする契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該受託者に対し、その用いる次に掲げる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
1) 第2項各号に規定する方法のうち治験の依頼をしようとする者が使用するもの
2) ファイルへの記録の方式
6 前項の規定による承諾を得た治験の依頼をしようとする者は、受託者から書面又は電磁的方法により電磁的方 法による契約を締結しない旨の申出があったときは、受託者に対し、第1項各号に掲げる事項を内容とする契約の締結を電磁的方法によってしてはならない。た だし、受託者が再び前項の規定による承諾をした場合は、この限りでない。
1 治験の依頼をしようとする者は、治験の依頼及び管理に係る業務の一部を委託することができる(当 該受託者は開発業務受託機関とも呼ばれる。)。この場合において、治験の依頼をしようとする者と当該受託者たる開発業務受託機関は文書により、委託業務の 範囲、委託業務の手順に関する事項、治験の依頼をしようとする者が手順に基づき委託業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを確認することができる旨等 について記載した文書により契約を締結しなければならない。
2 開発業務受託機関は、治験依頼者とともに、当該受託業務により生じた健康被害の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め、当該手順書に従って健康被害の補償に関する業務を実施しなければならない(第14条参照)。
3 治験依頼者が開発業務受託機関に委託した治験に関連する業務については、開発業務受託機関との間で取り交わした文書に全て明記されていなければならない。
4 治験に関連する業務のうち、開発業務受託機関に明確に委託されていないものは、全て治験依頼者が行うものとする。
5 受託者たる開発業務受託機関は、当該受託業務を本基準に従って行わなければならない。
6 治験の依頼をしようとする者(治験依頼者)は、治験の依頼及び管理に関する業務を適切な範囲にお いて開発業務受託機関に委託することができるが、治験データの品質と完全性に関する最終責任は常に治験依頼者が負わなければならない。開発業務受託機関は 品質保証及び品質管理を履行するものとする。
(治験の契約)
第13条 治験の依頼をしようとする者及び実施医療機関(前条の規定により業務の一部を委託する場合にあっては、治験の依頼をしようとする者、受託者及び実施医療機関)は、次に掲げる事項について記載した文書により治験の契約を締結しなければならない。
1) 契約を締結した年月日
2) 治験の依頼をしようとする者の氏名及び住所
3) 前条の規定により業務の一部を委託する場合にあっては、受託者の氏名、住所及び当該委託した業務の範囲
4) 実施医療機関の名称及び所在地
5) 契約担当者の氏名及び職名
6) 治験責任医師等の氏名及び職名
7) 治験の期間
8) 目標とする被験者数
9) 治験薬の管理に関する事項
10) 記録(データを含む。)の保存に関する事項
11) この省令の規定により治験依頼者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項
12) 被験者の秘密の保全に関する事項
13) 治験の費用に関する事項
14) 実施医療機関が治験実施計画書を遵守して治験を行う旨
15) 実施医療機関が治験依頼者の求めに応じて第41条第2項各号に掲げる記録(文書を含む。)を閲覧に供する旨
16) 実施医療機関がこの省令、治験実施計画書又は当該契約に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、治験依頼者が治験の契約を解除できる旨
17) 被験者の健康被害の補償に関する事項
18) その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項
2 前項の文書による契約については、第12条第2項から第6項までの規定を準用する。この場合において、こ れらの規定中「前項の受託者」とあるのは、「実施医療機関(前条の規定により業務の一部を委託する場合にあっては、実施医療機関の長及び受託者)(以下 「実施医療機関等という。)」と、「受託者」とあるのは「実施医療機関等」と読み替えるものとする。
1 治験の契約は、実施医療機関の長が治験審査委員会の意見に基づいて治験の実施を了承した後に、治 験の依頼をしようとする者と実施医療機関の間で文書により行うものとする。なお、治験責任医師も、契約内容の確認のため契約書又はその写しに記名捺印又は 署名するものとする。
2 第12条の規定により治験の依頼をしようとする者が業務の一部を委託する場合には、治験の依頼をしようとする者、受託者たる開発業務受託機関及び実施医療機関の三者の間で文書により契約を締結すること。
3 契約書には、次に掲げる事項が含まれていなければならない。
1) 契約を締結した年月日
2) 治験の依頼をしようとする者(契約書には治験依頼者と記載して差し支えない。)の氏名及び住所(法人にあっては名称及び主たる事業所の所在地)
3) 開発業務受託機関に業務を委託する場合には、開発業務受託機関の氏名及び住所(法人にあっては名称及び主たる事業所の所在地)並びに委託する業務の内容
4) 実施医療機関の名称、所在地
5) 契約者の氏名及び職名
6) 治験責任医師及び治験分担医師(複数の場合には全員)の氏名及び職名
7) 治験期間
8) 目標とする被験者数
9) 治験薬の管理に関する事項(実施医療機関の長の指名した治験薬管理者等が第16条第6項及び第7項の規定により提供された手順書又は文書に従って治験薬を適切に管理する旨を含む。)
10) 記録(データを含む。)の保存に関する事項(実施医療機関は、保存すべき必須文書を、治験依 頼者によって保存の必要がなくなった旨の通知がなされるまで保存すること。なお、実施医療機関の長又は治験審査委員会の設置者が記録を保存すべき期間につ いては、各々第41条及び第34条を参照のこと。また、治験依頼者がこれらの規定よりも長期間の保存を必要とする場合には、両者が協議するものであるこ と。)
11) 本基準の規定により治験依頼者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項
12) 被験者の秘密の保全に関する事項
13) 治験の費用に関する事項(治験に係る金銭の支払いについては、治験依頼者と医療機関との間で、文書で取り決めておかなければならない。)
14) 実施医療機関が本基準及び治験実施計画書を遵守して治験を行う旨
15) 治験依頼者が行うモニタリング及び監査並びに治験審査委員会及び規制当局による調査を受け入れること。また、治験依頼者のモニター及び監査担当者並びに治験審査委員会及び規制当局の求めに応じて、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供すること。
16) 実施医療機関が本基準、治験実施計画書又は当該契約に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、治験依頼者が治験の契約を解除できる旨(第24条第1項参照)
17) 治験に関連して健康被害が発生した場合の補償に関する事項
18) その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項
ア) 治験課題名
イ) 治験内容
ウ) 治験依頼者が提供したデータの記録及び報告の手続きに関する事項
エ) その他必要な事項(治験依頼者に帰属する情報の秘密の保全に関する事項等)
4 第9号の「治験薬の管理に関する事項」とは、実施医療機関の長の指名した治験薬管理者が、第16条第6項及び第7項の規定により提供された手順書又は文書に従って治験薬を適切に管理する旨を含むものである。
5 第11号の趣旨は、本省令中に規定する第20条第2項、第24条第2項、第24条第3項、第32条第4項、第40条第3項、第40条第4項及び第48条第2項に規定する通知が、適切な時期に適切な方法で行われなければならない旨である。
6 第12号「被験者の秘密の保全に関する事項」とは、法第80条の2第10項の規定により、治験依 頼者又はその役員若しくは職員が、モニタリング、監査の際に得た被験者の秘密を漏らしてはならない旨、及び、これらの地位にあった者についても同様である 旨を含むものである。
7 第15号は、実施医療機関がモニター又は監査担当者に対して第41条第2項各号に掲げる記録を直接閲覧させる旨である。
8 本条の規定により契約を締結した受託者(開発受託機関)は、法第14条第5項後段及び法第80条の2第7項の規定によるGCP調査等の対象となる。
9 治験依頼者は、実施医療機関の長、治験責任医師及びその他治験に関与する全ての者との合意を、実施医療機関との治験契約書及び治験実施計画書の一部又は別個の合意文書として文書化し保存しておかなければならない。
10 治験依頼者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に治験責任医師及び実施医療機関が原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供することを、実施医療機関との治験の契約書及び治験実施計画書又は他の合意文書に明記しなければならない。
11 治験依頼者は、治験に関連する全ての施設及び原資料等の全ての治験関連記録を、治験依頼者によるモニタリング及び監査、並びに規制当局による調査のための直接閲覧が可能であるように全ての関係者との合意を治験が開始される前に得ておくものとする。
注) 第32条第6項の規定により、実施医療機関の長は、実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会の意見を治験の依頼をしようとする者又は治験依頼者に文書により通知しなければならないこととなっている。
治験依頼者としても、次の点について治験の契約を締結する前に対応する必要がある。
(a) 治験を依頼しようとする者は、治験審査委員会が治験の実施を承認した場合には、実施医療機関との間で治験の契約を締結する前に、実施医療機関の長から次の文書を入手しなければならない。
1) 当該治験審査委員会の名称と所在地が記された文書
2) 当該治験審査委員会が本基準に従って組織され、活動している旨を当該治験審査委員会が自ら確認した文書
3) 当該治験審査委員会の日付入り承認文書の写し及びこれに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書、並びに治験を依頼しようとする者が変更の有無等の確認のために必要とする場合には、審査に用いられた治験実施計画書、症例報告書の見本等の文書
(b) 治験を依頼しようとする者は、治験審査委員会が治験実施計画書、症例報告書、説明文書並びに その他の手順について、何らかの修正を条件に治験の実施を承認した場合には、実施医療機関との間で治験の契約を締結する前に、実施医療機関の長から、当該 治験審査委員会の修正条件を記した日付入り承認文書の写し及びこれに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書を入手しなければならない。(a)に規定す るその他の文書の入手については、同規定を準用する。
(c) 治験を依頼しようとする者は、治験審査委員会が治験の実施を却下した場合には、実施医療機関 の長から、当該治験審査委員会の日付入り決定の文書の写し及びこれに基づく実施医療機関の長の決定の文書を入手しなければならない。(a)に規定するその 他の文書の入手については、同規定を準用する。
(d) 治験依頼者は、実施医療機関の長から、実施中の治験に関する全ての継続審査等による治験審査 委員会の日付入り承認文書の写し、修正条件を記した日付入り承認文書の日付入り承認文書の写し、又は既に承認した事項の取消し(治験の中止又は中断を含 む。)に関する日付入り文書の写し、及びこれらに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書を入手しなければならない。(a)に規定するその他の文書の入 手については、同規定を準用する。
(被験者に対する補償措置)
第14条 治験の依頼をしようとする者は、あらかじめ、治験に係る被験者に生じた健康被害(受託者の業務により生じたものを含む。)の補償のために、保険その他の必要な措置を講じておかなければならない。
1 治験の依頼をしようとする者は、治験に関連して被験者に生じた健康被害(治験に係る業務の一部を 委託した場合における当該委託業務により生じた健康被害を含む。)の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定めるとともに、その履行を確保 するために、保険その他の措置を講じておかなければならない。
2 本条は上記1を受けたものであり、( )書きの「受託者」は第12条の受託者、いわゆる開発業務受託機関を指す。
注1) 治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失は適切に補償されなければならない。その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにしなければならない(第1条の解説参照)。
注2) 開発業務受託機関は、治験依頼者とともに、当該受託業務により生じた健康被害の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め、当該手順書に従って健康被害の補償に関する業務を実施しなければならない(第12条参照)。
(治験国内管理人)
第15条 本邦内に住所を有しない治験の依頼をしようとする者は、治験薬による保健衛生上の危害の発生又は拡 大の防止に必要な措置を採らせるため、治験の依頼をしようとする者に代わって治験の依頼を行うことができる者を、本邦内に住所を有する者(外国法人で本邦 内に事務所を有するものの当該事務所の代表者を含む。)のうちから選任し、この者(以下「治験国内管理人」という。)に治験の依頼に係る手続を行わせなけ ればならない。
2―2 第二節 自ら治験を実施しようとする者による治験の準備に関する基準
(業務手順書等)
第15条の2 自ら治験を実施しようとする者は、治験実施計画書の作成、治験薬の管理、副作用情報等の収集、記録の保存その他の治験の実施の準備及び管理に係る業務に関する手順書を作成しなければならない。
2 自ら治験を実施しようとする者は、医師、歯科医師、薬剤師その他の治験の実施の準備及び管理に係る業務を行うことにつき必要な専門的知識を有する者を確保しなければならない。
<第1項>
1 自ら治験を実施しようとする者は、治験の準備に係る治験実施計画書の作成、治験薬概要書の作成、 治験薬の管理、副作用情報等の収集などの業務、治験の管理に係る治験薬の管理、副作用情報等の収集、モニタリング及び監査の実施、総括報告書の作成及び記 録の保存などの業務について手順書を作成しなければならない。
2 第1項の「手順書」とは、治験に係る業務が恒常的に適正に実施されるよう標準的な手順を定めた文 書である。なお、第15条の7第5号及び第6号、第26条の2第6項、第26条の5第2項、第26条の7第1項、第26条の9第1項、第39条第1項等に おける「手順書」も同じ意味である。
本基準における自ら治験を実施しようとする者及び自ら治験を実施する者に係る業務の全てについて手順書を作成しなければならない趣旨であり、本条の以下の解説において自ら治験を実施する者とあるのは、自ら治験を実施しようとする者を含むものである。
3 自ら治験を実施する者は、治験の実施並びにデータの作成、記録及び報告が本基準及び治験実施計画書を遵守して行われることを保証するために、手順書に基づく品質保証及び品質管理システムを履行し、保持する責任を有する。
なお、「治験の品質保証」とは、治験の実施、データ作成、文書化(記録化)及び報告が、治験実施計 画書及び本基準を遵守していることを保証するために設定された計画的かつ体系的な全活動を、「治験の品質管理」とは、治験関連の活動の質に求められる事項 を充足しているか否かを検証するために治験の品質保証システムの一環として行われる実務的な手法及び活動をいう。
4 自ら治験を実施する者は、治験に関連する全てのデータの信頼性とその適正な処理を保証するために、データ取扱いの各段階に品質管理を適用しなければならない。
5 自ら治験を実施する者は、第26条の2第6項に基づき、実施医療機関の長又は実施医療機関の治験 薬管理者が治験薬の取扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書を定めなければならない。当該手順書には、治験薬の受 領、取扱い、保管、管理、処方並びに未使用治験薬の被験者からの返却及び自ら治験を実施する者による処分が、適切かつ確実に行われるように規定しなければ ならない。
6 自ら治験を実施する者が作成すべき記録の保存に関する手順書には、実施医療機関及び当該治験に係 る審査を行った治験審査委員会において保存すべき記録(第34条及び第41条参照)について、その保存の必要がなくなった場合には、その旨を実施医療機関 の長及び実施医療機関の長を経由して治験審査委員会の設置者に通知することを含むこと。
なお、第26条の10第2項及び第3項に規定する治験の中断又は中止に関する自ら治験を実施する者 から実施医療機関の長への文書による通知に関する事項(当該通知を受けた実施医療機関の長から治験責任医師及び実施医療機関等設置治験審査委員会等への通 知については、第40条第2項に規定されている。)及び当該被験薬に係る製造販売承認を得た場合に、治験薬提供者から自ら治験を実施する者へのその旨を通 知する旨、治験薬提供者と契約を締結することについても規定されている必要がある。
1) 自ら治験を実施する者は、治験を中止又は中断する場合には、実施医療機関の長にその旨とその理由の詳細を速やかに文書で通知しなければならない(第26条の10第2項参照)。
2) 自ら治験を実施する者は、当該治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料が法第14 条第3項に規定する申請書に添付されないことを知り得た場合には、その旨とその理由の詳細を実施医療機関の長に速やかに文書で通知しなければならない(第 26条の10第3項参照)。
3) 医療機関の長は、自ら治験を実施する者が治験の中止又は中断若しくは当該治験により収集された 臨床試験の試験成績に関する資料を法第14条第3項に規定する申請書に添付しないことを知った旨を通知してきた場合には、実施医療機関等設置治験審査委員 会等に対し速やかにその旨を文書で通知するとともに、中止又は中断について文書で詳細に説明しなければならない(第40条第2項及び第3項参照)。
4) 治験薬提供者は、自ら治験を実施する者が治験を実施した治験薬に係る医薬品についての製造販売承認申請に関する情報を自ら治験を実施する者に提供すること。
7 自ら治験を実施する者は、治験分担医師に症例報告書の変更又は修正に関する手引きを提供するものとする。
8 自ら治験を実施する者は、当該治験を実施する実施医療機関以外の全ての関連施設及び原資料等の全 ての治験関連記録を、自ら治験を実施する者が指定したものによるモニタリング及び監査、並びに治験審査委員会及び規制当局による調査のための直接閲覧が可 能であるように全ての関係者との合意を治験が開始される前に得ておくものとし、これに関する規定が手順書に定められていること。
9 自ら治験を実施する者は、実施医療機関及び治験に係るその他の施設又は自ら治験を実施する者のスタッフが本基準及び治験実施計画書、手順書を遵守していない場合には、遵守を確保するべく迅速な措置を講じなければならない。
<第2項>
1 「治験の実施の準備及び管理に係る業務を行うことにつき必要な専門的知識を有する者」とは、治験 に関する医学的な問題について適切な助言を行う医学の専門家、並びに治験実施計画書、治験薬概要書等の作成・改訂、データの取扱い、統計解析の実施、総括 報告書の作成等、治験の全過程を通じて活用されるべき実施医療機関内部及び外部の専門家(例:生物統計学者、臨床薬理学者等)を含むものである。
2 自ら治験を実施する者は、治験に関する業務の総括的な監督、治験実施計画書、症例報告書の見本及 び治験薬概要書の作成及び改訂、データの取扱い、検証及び統計解析の実施並びに治験の中間報告書(必要な場合)及び総括報告書等の作成等、治験の全過程を 通じ、適格な者(例:生物統計学者、臨床薬理学者)を活用しなければならない。
3 自ら治験を実施しようとする者は、治験の準備において治験に関連する全ての業務を確定し、適格な者に割り当てるものとする。
注1) 第26条の4の規定により、多施設共同試験の場合には、自ら治験を実施する者は治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整する業務を治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱できることとなっている。
注2) 第26条の5の規定により、効果安全性評価委員会を設置することができることとなっている。
(毒性試験等の実施)
第15条の3 自ら治験を実施しようとする者は、被験薬の品質、毒性及び薬理作用に関する試験その他治験を実施するために必要な試験を終了していなければならない。
1 「被験薬の品質、毒性及び薬理作用に関する試験その他治験の実施をするために必要な試験」とは、 当該被験薬の物理的化学的性質、性状等に関する理化学試験等及び毒性、薬理作用、吸収、排泄等に関する動物試験等のいわゆる非臨床試験や臨床試験を指して いるが、当該試験の具体的な項目、内容等については、当該治験の内容(治験のフェーズ、治験薬の投与経路及び投与期間、被験者の選択基準等)等を考慮のう え、治験の実施時点における科学的水準に照らし適正なものであること。なお、自ら治験を実施する者は、必要な資料又は情報の提供について、治験薬提供者と 協議し、必要に応じ契約によりその実行を担保すること。
2 自ら治験を実施しようとする者は、治験実施計画書及び症例報告書の見本の作成並びに必要に応じて それらの改訂を行うが、その際当該治験の目的並びに当該治験で採用される投与対象集団、投与経路、用法・用量、投与期間、観察項目及び評価項目等の妥当性 を支持できるだけの品質、安全性及び有効性に関する十分なデータが理化学試験等、非臨床試験及び先行する臨床試験から得られており、当該治験の倫理的及び 科学的妥当性が裏付けられていることについて、原則当該自ら治験を実施する者が所属する実施医療機関に設置された実施医療機関設置治験審査委員会において 審議し、確認するよう、当該医療機関の長に依頼しなければならない。また、そのための手続きを文書で定める(第15条の2参照)ものとする。
(治験実施計画書)
第15条の4 自ら治験を実施しようとする者は、次に掲げる事項を記載した治験実施計画書を作成しなければならない。
1) 自ら治験を実施しようとする者の氏名及び職名並びに住所
2) 治験の実施の準備及び管理に係る業務の一部を委託する場合にあっては、当該受託者の氏名、住所及び当該委託に係る業務の範囲
3) 治験の実施に係る業務の一部を委託する場合にあっては、当該受託者の氏名、住所及び当該委託に係る業務の範囲
4) 実施医療機関の名称及び所在地
5) 治験の目的
6) 被験薬の概要
7) 治験薬提供者の氏名及び住所
8) 治験の方法
9) 被験者の選定に関する事項
10) 原資料の閲覧に関する事項
11) 記録(データを含む。)の保存に関する事項
12) 第26条の4の規定により治験調整医師に委嘱した場合にあっては、その氏名及び職名
13) 第26条の4の規定により治験調整委員会に委嘱した場合にあっては、これを構成する医師又は歯科医師の氏名及び職名
14) 第26条の5に規定する効果安全性評価委員会を設置したときは、その旨
2 自ら治験を実施しようとする者は、当該治験が被験者に対して治験薬の効果を有しないこと及び第50条第1項の同意を得ることが困難な者を対象にすることが予測される場合には、その旨及び次に掲げる事項を治験実施計画書に記載しなければならない。
1) 当該治験が第50条第1項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしなければならないことの説明
2) 当該治験において、予測される被験者への不利益が必要な最小限度のものであることの説明
3 自ら治験を実施しようとする者は、当該治験が第50条第1項又は第2項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしている場合には、その旨及び次に掲げる事項を治験実施計画書に記載しなければならない。
1) 当該被験薬が、生命が危険な状態にある傷病者に対して、その生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として、製造販売の承認を申請することを予定しているものであることの説明
2) 現在における治療方法では被験者となるべき者に対して十分な効果が期待できないことの説明
3) 被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあることの説明
4) 第26条の5に規定する効果安全性評価委員会が設置されている旨
4 自ら治験を実施しようとする者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、当該治験実施計画書を改訂しなければならない。
<第1項>
1 改正前のGCPにおいて、治験の依頼をしようとする者が作成するものとされていた治験実施計画書 は、GCPにおいては、自ら治験を実施しようとする者が実施する場合においては、当該治験を実施しようとする者が、第15条の3に掲げる必要な試験の結果 等に基づき作成する。この際、自ら治験を実施しようとする者は、治験実施計画書の内容を検討するために必要な治験薬概要書等の資料を、あらかじめ用意しな ければならない。治験実施計画書を作成する際、自ら治験を実施しようとする者は、第15条の7の規定に従って、治験実施計画書の内容及びこれに従って治験 を行うことについて、あらかじめ実施医療機関の長の承認を得なければならない。また、承認を得たことを証するため自ら治験を実施する者及び実施医療機関の 長は、治験実施計画書又はそれに代わる文書に記名なつ印し、又は署名しなければならない。
2 治験実施計画書には、作成及び改訂の日付、版番号を記載すること。
3 治験実施計画書(改訂版を含む。)に通常含まれているべき具体的事項については、中央薬事審議会答申注1)の10を参照すること。なお、治験実施計画書の具体的記載にあたって、「自ら治験を実施しようとする者」を「自ら治験を実施する者」と記載しても差し支えない。例えば、自ら治験を実施する者と記載して自ら治験を実施しようとする者の氏名、住所を記載して差し支えない。
注1) 中央薬事審議会答申(平成9年3月13日中薬審第40号)は、現行の薬事食品衛生審議会の改変前の組織である中央薬事審議会が答申した医薬品の臨床試験の実施の基準であり、本基準の内容が示されたものである。
注2) 一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を実施する場合は、中央薬 事審議会答申10―1の5)(モニター及び監査担当者の氏名、職名及び電話番号等)については、施設に特有の情報として、各実施医療機関を担当するモニ ター及び監査担当者の氏名、職名及び電話番号等ごとに治験実施計画書の分冊として差し支えない。また、当該各実施医療機関の長に対しては、当該分冊のう ち、当該各実施医療機関に係るもののみを提出することとして差し支えない。
注3) 自ら治験を実施しようとする者は、治験実施計画書及び症例報告書の見本の作成並びに必要に応 じてそれらの改訂を行うが、その際、当該治験の目的並びに当該治験で採用される投与対象集団、投与経路、用法・用量、投与期間、観察項目及び評価項目等の 妥当性を支持できるだけの品質、安全性及び有効性に関する十分なデータが理化学試験等、非臨床試験及び先行する臨床試験から得られており、当該治験の倫理 的及び科学的妥当性が裏付けられていることについて、原則、当該自ら治験を実施する者が所属する実施医療機関に設置された実施医療機関設置治験審査委員会 において審議し、確認するよう、当該医療機関の長に依頼しなければならない。また、そのための手続きを文書で定めるものとする(第15条の2参照)。
4 治験の実施の準備、管理及び実施に係る業務の一部を委託する場合にあっては、受託者の氏名(法人にあっては、その名称)、住所及び当該委託に係る業務の範囲も治験実施計画書に記載しなければならない。
5 治験実施計画書には、治験薬提供者たる者の氏名又は名称及び住所を明記すること。
<第2項>
1 次の2に掲げる場合を除き、被験者に対する直接の臨床的利益が予期されない非治療的治験においては、必ず被験者本人から同意を得なければならない(第50条第4項参照)。
2 非治療的治験において、次の1)から4)に掲げる事項が全て満たされる場合には、被験者となるべ き者の同意を得ることが困難な者を対象として、被験者となるべき者の代諾者による同意を得て治験を行うことができる。このような治験は、例外が正当化され る場合を除き、被験薬の適応となることが意図された疾病又は症状を有する患者において行われるべきである。また、治験責任医師又は治験分担医師は、このよ うな治験における被験者に対しては、特に綿密な観察を行い、もし不当な苦痛を受けていると見受けられた場合には治験を中止しなければならない。
1) 治験の目的が、本人による同意が可能な被験者による治験では達成されないこと。
2) 被験者に対する予見しうる危険性が低いこと。
3) 被験者の福祉に対する悪影響が最小限とされ、かつ低いこと。
4) 代諾者の同意に基づいて被験者を治験に組み入れる旨を明示した上で治験審査委員会に承認の申請がなされ、かかる被験者の参加を承認する旨が承認文書に記載されていること。
3 「当該治験が被験者に対して治験薬の効果を有しないこと、及び第50条第1項の同意を得ることが 困難な者を対象にすることが予測される場合」とは、例えば、同意の能力を欠く者を対象にした医薬品に係る治験において、これらの者を被験者として薬物動態 試験を行う必要がある場合が考えられる。
4 「当該治験において、予測される被験者への不利益が必要な最小限度のものであること」とは、被験者に対する予見しうる危険性が低いこと、被験者への肉体的又は精神的な悪影響が、それらを避けるための努力が行われた上で、十分に低いことをいう。
5 代諾者の同意に関しては第50条第3項を参照すること(被験者の理解力に応じて説明を行い、可能であれば被験者からも同意を得るべきである。)。
<第3項>
1 「当該治験が第50条第1項及び第2項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしている場合」とは、次のアからウに掲げる点から、被験者又はその代諾者となるべき者から事前に同意を得ることが困難である緊急状況下における救命的な治験(第55条参照)である。
ア 被験者の状態から被験者の同意を得ることができないこと。
イ 被験者の代諾者による同意が可能となる以前に、救急的に治験が開始される必要があること。
ウ 当該治験の被験者となりうる者をあらかじめ特定することが困難であること。また、この場合にあっ ても、治験責任医師等は速やかに被験者又は代諾者となるべき者に対して当該治験に関する説明を行い、当該治験への参加について同意を得ること(第55条第 2項参照)及び被験者の身元が明らかでない者は治験の対象から除かれることについて、第15条の4第1項第8号の「治験の方法」及び第9号の「被験者の選 定に関する事項」として治験実施計画書に記載すべきである。なお、治験責任医師がこの経過と結果を治験審査委員会に報告することについても記載されている こと。
2 第4号の「効果安全性評価委員会」は、治験の進行等を適切な間隔で評価し、治験の継続の適否等について自ら治験を実施しようとする者に提言するために設置されるものであること。
3 このような緊急状況下における救命的治験において、被験者となるべき者による事前の同意を得るこ とが不可能で、かつ、被験者となるべき者の代諾者と連絡が取れない場合にも治験が行われることが計画されている場合には、その旨及び次の事項が治験実施計 画書に記載されていなければならない。
1) 生命が危険な状態にある傷病者に対して、その生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として承認申請することを予定しているものであること。
2) 現在利用可能な治療方法では十分な効果が期待できないこと。
3) 被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあること。なお、そのことを支持す る適切なデータが得られている必要があること。また、当該治験への参加から生じ得る被験者に対する危険性が、現在利用可能な治療方法のリスク・ベネフィッ トに照らして合理的であること。
4) 第26条の5に規定する効果安全性評価委員会が設置されていること。
5) 治験責任医師又は治験分担医師が、速やかに、被験者(又は代諾者となるべき者)に対して当該治 験に関する説明を行い、当該治験への継続参加について同意を得ること(第55条第2項参照)及び被験者の身元が明らかでない場合は治験の対象から除かれる ことについて、第15条の4第1項第8号の「治験の方法」及び第9号の「被験者の選定に関する事項」として治験実施計画書に記載されていること。また、治 験責任医師がこの経過と結果を治験審査員会に報告することについても記載されていること。
<第4項>
1 自ら治験を実施する者は、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討しなければならない。治験実施計画書及び症例報告書の見本が改訂される場合も同様とする。
注) 治験実施計画書(改訂されたものを含む。)は、第15条の7の規定により自ら治験を実施しようとする者から実施医療機関の長に提出され、第32条の規定により治験審査委員会に提出される。
(治験薬概要書)
第15条の5 自ら治験を実施しようとする者は、第15条の3に規定する試験により得られた資料並びに被験薬の品質、有効性及び安全性に関する情報に基づいて、次に掲げる事項を記載した治験薬概要書を作成しなければならない。
1) 被験薬の化学名又は識別記号
2) 品質、毒性、薬理作用その他の被験薬に関する事項
3) 臨床試験が実施されている場合にあっては、その試験成績に関する事項
2 自ら治験を実施しようとする者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、当該治験薬概要書を改訂しなければならない。
<第1項>
1 自ら治験を実施しようとする者は、治験分担医師及びその他治験に関与する者が、治験実施計画書の 主要項目(投与量、投与回数・間隔、投与方法及び被験者の安全性を監視するための手順等)の合理的根拠を理解し、かつそれを遵守するための情報を提供する ために、治験薬概要書を作成しなければならない。また、治験薬概要書は治験実施期間中の被験者の臨床上の管理に必要な知識も提供するものでなければならな い。なお、治験薬提供者から治験薬の提供を受ける場合については、自ら治験を実施する者は、治験薬提供者から提供を受けた治験薬概要書の内容を確認しなけ ればならない。
2 自ら治験を実施しようとする者は、治験薬に係る品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために必要な情報を治験薬提供者からも収集、検討及び利用しなければならない。
3 自ら治験を実施しようとする者は、治験薬提供者が行う治験薬に係る品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために必要な情報の収集に協力しなければならない。
4 治験薬概要書に記載されるデータは、簡潔、客観的、公平な形で作成されなければならない。
5 治験薬概要書に記載すべき情報の種類や範囲は、被験薬の治験の段階に応じた適当なものでなければならない。被験薬が市販され、その薬理学的性質が一般の医師に広く理解されている場合には、広範な情報を掲載した概要書は必要ない場合もありうる。
6 自ら治験を実施しようとする者は、治験の実施に必要な非臨床試験及び臨床試験の成績をまとめた治験薬概要書を手順書に従って作成しなければならない。
7 第2号の「品質、毒性、薬理作用その他の被験薬に関する事項」とは、被験薬の物理的、化学的及び 製剤学的性質、製剤組成、薬理、毒性、薬物動態、薬物代謝に関連する非臨床試験の成績を指す。なお、自ら治験を実施する者は、必要な資料又は情報の提供に ついて、治験薬提供者と協議し、必要に応じ契約によりその実行を担保すること。
8 治験薬概要書には通常含まれているべき具体的事項については、中央薬事審議会答申※の11を参照すること。※第7条第1項の解説の2注1参照
<第2項>
1 自ら治験を実施しようとする者は、新たな情報が得られた場合等には、手順書に従って治験薬概要書を改訂しなければならない。
2 自ら治験を実施しようとする者は、新たな重要な情報が得られた場合には、治験薬概要書の改訂に先立って、実施医療機関の長及び規制当局にこれらの情報を報告するものとする。
注1) 第26条の6第3項において自ら治験を実施する者が被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他治験を適正に行うために重要な情報を知ったときに、必要に応じ、治験薬概要書を改訂しなければならないことが規定されている。
注2) 治験薬概要書(改訂されたものを含む。)は、第15条の7の規定により自ら治験を実施しようとする者から実施医療機関の長に提出され、第32条の規定により治験審査委員会に提出される。
(説明文書の作成)
第15条の6 自ら治験を実施しようとする者は、説明文書を作成しなければならない。
被験者の同意を得るに際しての説明文書は、自ら治験を実施しようとする者が作成すること。なお、自ら治験を実施しようとする者は、必要に応じ、必要な資料又は情報の提供について、治験薬提供者と協議し、契約によりその実行を担保すること。
注1) 自ら治験を実施しようとする者は、被験者から治験への参加の同意を得るために用いる説明文書を作成し、必要な場合にはこれを改訂するものとする。作成又は改訂された当該文書は、予め治験審査委員会の承認が得られていなければならない。
注2) 説明文書の改訂については、第54条第2項を参照すること。
注3) 説明文書に記載すべき事項については、第51条第1項を参照すること。
(実施医療機関の長への文書の事前提出等)
第15条の7 自ら治験を実施しようとする者は、あらかじめ、次に掲げる文書を実施医療機関の長に提出し、治験の実施の承認を得なければならない。
1) 治験実施計画書(第15条の4第4項の規定により改訂されたものを含む。)
2) 治験薬概要書(第15条の5第2項の規定により改訂されたものを含む。)
3) 症例報告書の見本
4) 説明文書
5) モニタリングに関する手順書
6) 監査に関する計画書及び業務に関する手順書
7) 治験分担医師となるべき者の氏名を記載した文書
8) 治験薬の管理に関する事項を記載した文書
9) この省令の規定により自ら治験を実施する者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項を記載した文書
10) 治験の費用に関する事項を記載した文書
11) 被験者の健康被害の補償に関する事項を記載した文書
12) 実施医療機関が自ら治験を実施する者の求めに応じて第41条第2項各号に掲げる記録(文書を含む。)を閲覧に供する旨を記載した文書
13) 実施医療機関がこの省令又は治験実施計画書に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、自ら治験を実施する者は治験を中止することができる旨を記載した文書
14) その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項を記載した文書
1 自ら治験を実施しようとする者は、治験実施計画書等の本条各号に規定する書類を提出し、あらかじめ、治験の実施について実施医療機関の長の承認を得なければならない。
2 実施医療機関において実施医療機関の長の承認を得る過程で、第30条に規定するとおり、当該実施医療機関において治験を行うことの適否について実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を聴かなければならない。
3 説明文書と同意文書は一体化した文書又は一式の文書として取り扱うこと(第2条の解説13の1)のイ)及びウ)を参照)。
4 第5号の「モニタリングに関する手順書」とは、モニタリングが適切に行われることを保証するため に自ら治験を実施する者が作成する手順書であり、その内容には、モニターを選定するための手続き(モニターの要件を含む。)、当該治験においてモニタリン グを行わせるモニターの氏名、モニタリングの具体的な方法、モニタリング報告書の取扱い等※が含まれていなければならない。※これらの事項に係る記録をい う。
5 第6号の「監査に関する計画書及び業務に関する手順書」とは、監査が適切に行われることを保証す るために自ら治験を実施する者が作成する計画書及び手順書であり、その内容には、監査担当者を選定するための手続き(監査担当者の要件を含む。)、当該治 験において監査を行わせる監査担当者の氏名、監査の具体的な方法、監査報告書・監査証明書の取扱い等※が含まれていなければならない。※これらの事項に係 る記録をいう。
6 モニタリング、監査が中立かつ公平に実施されることが確保されるべきである。
7 第8号の「治験薬の管理に関する事項」には、実施医療機関の長の指名した治験薬管理者が、第26条の2第6項の規定により提供された手順書に従って治験薬を適切に管理する旨を含むこと。
8 第9号の趣旨は、GCP中(第26条の6第2項、第26条の10第2項及び第3項、第32条第4 項及び第5項、第40条第1項から第4項まで、第45条第2項及び第4項並びに第48条第3項)に規定する通知が、適切な時期に適切な方法で行われなけれ ばならない旨である。
9 第10号の「治験の費用に関する事項」には、実施医療機関以外の者が治験の費用の一部を負担する場合(治験薬を提供する場合を含む。)の負担に関する具体的な取り決めの内容等が含まれる。
10 第11号の「補償」については、第15条の9に規定する措置等について記載すること。
11 第12号の「記録を閲覧に供する旨」とは、実施医療機関がモニター又は監査担当者に対して第 41条第2項各号に掲げる記録を直接閲覧させるための規定があらかじめ整備されており、治験が承認・実施された場合にはかかる規定に従って直接閲覧が行わ れることである。また、実施医療機関は、自ら治験を実施する者が行う治験の成績が承認申請資料として使用された際に法第14条第5項後段及び法第80条の 2第7項の規定によるGCP調査等の対象となり、これらの調査に供する必要があることについても理解する必要がある。
注) 治験責任医師等になるべき者の履歴書についても医療機関の長に提出すること。
(業務の委託)
第15条の8 自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関は、治験の実施の準備及び管理に係る業務の一部を委託する場合には、次に掲げる事項を記載した文書により当該受託者との契約を締結しなければならない。
1) 当該委託に係る業務の範囲
2) 当該委託に係る業務の手順に関する事項
3) 前号の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関が確認することができる旨
4) 当該受託者に対する指示に関する事項
5) 前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関が確認することができる旨
6) 当該受託者が自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関に対して行う報告に関する事項
7) 当該委託する業務に係る次条に規定する措置に関する事項
8) その他当該委託に係る業務について必要な事項
2 前項に規定する文書の契約の締結については、第12条第2項から第6項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関」と読み替えるものとする。
1 自ら治験を実施しようとする者による治験に関しては、自ら治験を実施しようとする者個人が治験の実施の準備及び管理に係る業務の一部の委託契約を締結することが適切でない場合には、実施医療機関が当該契約を締結することが適当である。
2 自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関は、治験の実施の準備及び管理に係る業務の一部を、医療機関外部に委託することができる。
この場合において、自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関と当該受託者は文書により、委託 業務の範囲、委託業務の手順に関する事項、自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関が、手順に基づき委託業務が適正かつ円滑に行われているかどうか を確認することができる旨等について記載した文書により契約を締結しなければならない。
3 当該受託者は、自ら治験を実施する者又は実施医療機関とともに、当該受託業務により生じた健康被害の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め、当該手順書に従って健康被害の補償に関する業務を実施しなければならない(第15条の9参照)。
4 自ら治験を実施する者又は実施医療機関が当該受託者に委託した治験に関連する業務については、当該受託者との間で取り交わした文書に全て明記されていなければならない。
5 治験の実施の準備及び管理に係る業務のうち、当該受託者に明確に委託されていないものは、全て自ら治験を実施する者又は実施医療機関が行うものとする。
6 受託者は、当該受託業務をGCPに従って行わなければならない。
7 自ら治験を実施しようとする者(自ら治験を実施する者)又は実施医療機関は、治験の実施の準備及 び管理に関する業務を適切な範囲において当該受託者に委託することができるが、治験データの品質と完全性に関する最終責任は常に自ら治験を実施する者が負 わなければならない。当該受託者は品質保証及び品質管理を履行するものとする。
(被験者に対する補償措置)
第15条の9 自ら治験を実施しようとする者は、あらかじめ、治験に係る被験者に生じた健康被害(受託者の業務により生じたものを含む。)の補償のために、保険その他の必要な措置を講じておかなければならない。
1 自ら治験を実施しようとする者は、治験に関連して被験者に生じた健康被害(治験の実施の準備、管 理又は実施に係る業務の一部を委託した場合に生じたものを含む。)に対する補償措置として、保険への加入の措置、副作用等の治療に関する医療体制の提供そ の他必要な措置を講ずること。
なお、自ら治験を実施する者及び当該自ら治験を実施する者の所属する実施医療機関の長は、治験に関連して被験者に生じた健康被害に対する補償措置を履行するために、補償に係る手順書を定めておかなければならない。
2 本条は上記1を受けたものであり、( )書きの「受託者」は第15条の8の受託者、いわゆる開発業務受託機関及び第39条の2の受託者、いわゆる治験施設支援機関を指す。
注1) 治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失は適切に補償されなければならない。その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにしなければならない(第1条の解説参照)。
注2) 治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合の補償措置については、必ずしも自ら治験を実施 する者による保険への加入に基づく金銭の支払いに限られるものではなく、副作用の治療に対しては、医療の提供及びその体制の提供という手段も考慮しうるも のである。また、障害手当、葬祭料等の金銭的な補償を行うか否か及び行う場合に許容される程度については、治験の計画の内容に応じて、当該治験に係る薬物 の種類、対象疾患の特性、治験による被験者の便益及びリスク等を評価し、個別に自ら治験を実施する者が考慮すべきものであるが、被験者に対し予め文書によ り具体的に説明するとともに文書により同意を得ておくことは最低限必要と考えられる。
注3) 開発業務受託機関は、自ら治験を実施する者及び当該自ら治験を実施する者の所属する実施医療 機関の長とともに、当該受託業務により生じた健康被害の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め、当該手順書に従って健康被害の補償に関 する業務を実施しなければならない(第15条の8参照)。
注4) 治験施設支援機関は、自ら治験を実施する者及び当該自ら治験を実施する者の所属する実施医療 機関の長とともに、当該受託業務により生じた健康被害の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め、当該手順書に従って健康被害の補償に関 する業務を実施しなければならない(第39条の2参照)。
3.第三章 治験の管理に関する基準
3―1 第一節 治験依頼者による治験の管理に関する基準
(治験薬の管理)
第16条 治験依頼者は、治験薬の容器又は被包に次に掲げる事項を邦文で記載しなければならない。
1) 治験用である旨
2) 治験依頼者の氏名及び住所(当該者が本邦内に住所を有しない場合にあっては、その氏名及び住所地の国名並びに治験国内管理人の氏名及び住所)
3) 化学名又は識別記号
4) 製造番号又は製造記号
5) 貯蔵方法、有効期間等を定める必要があるものについては、その内容
2 治験依頼者は、治験薬に添付する文書、その治験薬又はその容器若しくは被包(内袋を含む。)には、次に掲げる事項を記載してはならない。
1) 予定される販売名
2) 予定される効能又は効果
3) 予定される用法又は用量
3 治験依頼者は、被験者、治験責任医師等及び治験協力者が被験薬及び対照薬の識別をできない状態で実施医療機関に交付した治験薬について、緊急時に、治験責任医師等が被験薬及び対照薬の識別を直ちにできるよう必要な措置を講じておかなければならない。
4 治験依頼者は、輸送及び保存中の汚染や劣化を防止するため治験薬を包装して実施医療機関に交付しなければならない。
5 治験依頼者は、治験薬に関する次に掲げる記録を作成しなければならない。
1) 治験薬の製造年月日、製造方法、製造数量等の製造に関する記録及び治験薬の安定性等の品質に関する試験の記録
2) 実施医療機関ごとの治験薬の交付又は回収の数量及び年月日の記録
3) 治験薬の処分の記録
6 治験依頼者は、治験の契約の締結後遅滞なく、実施医療機関における治験薬の管理に関する手順書を作成し、これを実施医療機関の長に交付しなければならない。
7 治験依頼者は、必要に応じ、治験薬の溶解方法その他の取扱方法を説明した文書を作成し、これを治験責任医師等、治験協力者及び第39条第1項に規定する治験薬管理者に交付しなければならない。
8 第6項に規定する手順書の交付については、第10条第2項から第6項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは、「治験依頼者」と読み替えるものとする。
9 第7項に規定する文書の交付については、第10条第2項から第6項までの規定を準用する。この場合におい て、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「治験依頼者」と、「実施医療機関の長」とあるのは「治験責任医師等、治験協力者及び第39 条第1項に規定する治験薬管理者」と読み替えるものとする。
<第1項>
1 治験依頼者は、治験薬又はその容器若しくは被包に、次に掲げる事項を記載しなければならない。
1) 治験用である旨
2) 治験依頼者の氏名及び住所
3) 化学名又は識別記号
4) 製造番号又は製造記号
5) 貯蔵方法、有効期間等を定める必要のあるものについては、その内容
<第2項>
1 治験依頼者は、治験薬に添付する文書、その治験薬又はその容器若しくは被包(内袋を含む。)に、次に掲げる事項を記載してはならない。
1) 予定される販売名
2) 予定される効能又は効果
3) 予定される用法又は用量
<第3項>
1 治験依頼者は、盲検下の治験では、治験薬のコード化及び包装に際して、医療上の緊急時に当該治験薬がどの薬剤であるかを直ちに識別できるようにし、かつ盲検性が破られたことを検知できるようにしておかなければならない。
<第4項>
1 治験薬の包装形態は、輸送及び保存中に汚染や許容範囲外の劣化を防止し、使用の便宜を考慮したものでなければならない。
<第5項>
1 治験依頼者は、治験薬の製造に関する記録、安定性等の品質に関する試験の記録、治験薬の交付・回収の記録及び治験薬の処分の記録を作成しなければならない。治験薬の製造に関する記録には、治験薬GMPに定めれられた記録を含むこと。
2 治験依頼者は、治験薬が使用期間中安定であることを保証しなければならない。
3 治験依頼者は、必要な場合には、治験薬がその規格を満たしていることを再確認できるだけの十分な 量のロットサンプルを確保し、経時的にロットサンプルを分析した記録を作成、保存しなければならない。安定性が確保される限りは、ロットサンプルを治験 データの解析が終わるまでの期間保存しなければならない。
4 治験依頼者は、治験薬の適正な取扱いを保証するため、次の事項を行うものとする。
1) 適切な時期に治験薬が実施医療機関に交付されるようにすること。
2) 治験薬の出荷、受領、処分、返却及び廃棄の記録を保存すること。
3) 治験薬の回収及びその記録作成のためのシステムを保持すること(例:欠陥品の回収、治験終了後の回収、使用期限切れの治験薬の回収)。
4) 未使用の治験薬の処分及びその記録作成のためのシステムを保持すること。
<第6項>
1 治験依頼者は、実施医療機関の長又は実施医療機関の治験薬管理者が治験薬の取扱い及び保管、管理 並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書を定め、これを実施医療機関の長に交付しなければならない。当該手順書には、治験薬の受領、取扱 い、保管、管理、処方並びに未使用治験薬の被験者からの返却及び治験依頼者への返却又はその他の処分が、適切で確実に行われるために必要な指示が記載され ていなければならない。なお、当該手順書は、予め実施医療機関の長の承諾を得て治験薬管理者に直接交付することは差し支えない。
<第7項>
1 治験依頼者は、治験薬の許容される保存条件、使用期限、溶解液及び溶解方法並びに注入器具等取扱い方法を説明した文書を作成し、これを治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、治験薬管理者等(モニターを含む。)に交付しなければならない。
(治験薬の交付)
第17条 治験依頼者は、治験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所において製造された治験薬を実施医療機関に交付しなければならない。
2 治験依頼者は、治験薬を医薬品の販売業者その他の第三者を介在させることなく、直接実施医療機関に交付しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、この限りではない。
<第1項>
1 「治験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所」とは、治験薬GMPに定められた内容に適合する製造所をいう。
2 治験依頼者は、実施医療機関に対し治験薬を交付する責任を有する。
3 治験依頼者は、治験薬(実対照薬及びプラセボを含む。)が被験薬の開発段階に応じた適切な特徴を有し、治験薬GMPに従って製造され、該当する場合には、盲検性が維持されるような方法でコード化され、表示されていることを保証しなければならない。
<第2項>
1 治験依頼者は、原則として、治験薬を医薬品の販売業者その他の第三者を介在させることなく直接実 施医療機関に交付しなければならないが、治験依頼者の委託を受け、第12条に基づく業務の受託、第13条に基づく治験の契約をしている開発業務受託機関は 実施医療機関に交付できる。
2 「やむを得ない事由」とは、例えば、当該治験の内容上、治験薬を実施医療機関に緊急に交付する必要があり、かつ、その手段として運送業者等の第三者を用いざるを得ないこと等があげられる。
(多施設共同治験)
第18条 治験依頼者は、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関に対して治験の依頼をした場合には、 当該実施医療機関における当該治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整する業務を医師若しくは歯科医師(以下「治験調整医師」という。)又は 複数の医師若しくは歯科医師で構成される委員会(以下「治験調整委員会」という。)に委嘱することができる。
2 前項の規定により治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱する場合には、その業務の範囲、手順その他必要な事項を記載した文書を作成しなければならない。
<第1項>
1 治験依頼者は、多施設共同治験においては、治験調整医師を選定し又は治験調整委員会を設置することができる。
2 第1項の治験調整医師に委嘱される業務とは、例えば、治験実施計画書の内容の細目についての多施設間の調整や治験中に生じた治験実施計画書の解釈上の疑義の調整等、多施設共同治験における実施医療機関の調整に係る業務である。
3 治験調整医師は、当該治験の分野において十分な経験を有し、多施設間の調整を適切に行いうる者であること。治験責任医師の中から選定されることが考えられるが、必ずしも治験責任医師に限らないこと。
<第2項>
1 治験依頼者は、多施設共同治験に当たって次のことを保証しなければならない。
1) 全ての治験責任医師が、治験依頼者と合意し、治験審査委員会の意見に基づき各実施医療機関の長が承認した治験実施計画書を厳密に遵守して治験を実施していること。
2) 症例報告書が全施設において必要なデータが収集できるようにデザインされていること。追加的データを収集する治験責任医師にはそれを記載するために設計された補足的な症例報告書が併せて提出されなければならないこと。
3) 治験調整医師(治験調整医師を選定した場合)、治験調整委員会(治験調整委員会を設置した場合)及び治験責任医師の責務が治験開始前に文書で定められていること。
4) 全ての治験責任医師に対し、治験実施計画書の遵守方法、臨床上及び検査上の所見の評価に関する統一基準の遵守方法並びに症例報告書の記入方法が説明されていること。
5) 治験責任医師の間の連絡が容易であること。
(効果安全性評価委員会の設置)
第19条 治験依頼者は、治験の継続の適否又は治験実施計画書の変更について審議させるために効果安全性評価委員会を設置することができる。
2 治験依頼者は、前項の効果安全性評価委員会の審議に関する手順書を作成し、これに従って審議を行わせなければならない。
3 治験依頼者は、前項の審議を行ったときは、その審議の記録を作成し、これを保存しなければならない。
<第1項>
1 「効果安全性評価委員会」は、治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適当な 間隔で評価し、治験依頼者に治験の継続、変更又は中止を提言することを目的として、治験依頼者が設置することができる治験依頼者、治験責任医師及び治験調 整医師から独立した委員会であり、「独立データモニタリング委員会」とも呼ばれる。
<第2項>
1 治験依頼者は、効果安全性評価委員会と協議の上、審議に関する手順書を作成するものとする。
2 審議に関する手順書は、治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適切な間隔で適切に評価できるよう手順を定め、治験依頼者に治験の継続、変更、及び中止又は中断等の提言が適切に行われることを確保するためのものである。
<第3項>
1 治験依頼者は、効果安全性評価委員会の了承のもとに、全ての審議及び会合の記録を作成するものとし、治験依頼者がその記録を保存しなければならない。
(副作用情報等)
第20条 治験依頼者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために必要な情報を収集し、及び検討するとともに、実施医療機関の長に対し、これを提供しなければならない。
2 治験依頼者は、被験薬について法第80条の2第6項に規定する事項を知ったときは、直ちにその旨を治験責任医師及び実施医療機関の長に通知しなければならない。
3 治験依頼者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を 知ったときは、必要に応じ、治験実施計画書及び治験薬概要書を改訂しなければならない。この場合において、治験実施計画書の改訂について治験責任医師の同 意を得なければならない。
<第1項>
1 治験依頼者は、治験薬の安全性を継続的に評価する責任を有する。
2 治験依頼者は、被験者の安全に悪影響を及ぼし、治験の実施に影響を与え、又は治験継続に関する治験審査委員会の承認を変更する可能性のある情報を、治験に関与する全ての治験責任医師、実施医療機関の長に速やかに通知しなければならない。
<第2項>
1 治験依頼者は、法第80条の2第6項に基づき、薬事法施行規則第273条第1項に規定する重篤で予測できない副作用等を知ったときは、当該治験に関与する全ての治験責任医師、実施医療機関の長及び規制当局に速やかに通知しなければならない。
2 通知するに当たっては「治験中に得られる安全性情報の取り扱いについて」(平成7年3月20日付 薬審第227号)、「個別症例安全性報告を伝送するためのデータ項目及びメッセージ仕様について」(平成13年3月30日付医薬安発第39号・医薬審発第 334号)、「独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対する治験副作用等報告について」(平成16年3月30日付薬食発第0330001号)、「市販後副 作用等報告及び治験副作用等報告について」(平成18年3月31日付薬食審査発第0331022号・薬食安発第0331009号)、「治験副作用等報告に 関する報告上の留意点等について」(平成18年4月26日付薬食審査発第0426001号)等を参照のこと(通知すべき副作用等の範囲及び取扱いについて は薬事法施行規則第273条第1項の定めによること。)。
(参考)
○法第80条の2第6項(抜粋)
治験の依頼をした者又は自ら治験を実施した者は、当該治験の対象とされる薬物又は器具機械等につい て、当該薬物又は器具機械等の副作用によるものと疑われる疾病、障害又は死亡の発生、当該薬物又は器具機械等の使用によるものと疑われる感染症の発生その 他の治験の対象とされる薬物又は器具機械等の有効性及び安全性に関する事項で厚生労働省令で定めるものを知ったときは、その旨を厚生労働省令で定めるとこ ろにより厚生労働大臣に報告しなければならない。この場合において、厚生労働大臣は、当該報告に係る情報の整理又は当該報告に関する調査を行うものとす る。
○薬事法施行規則第273条第1項
治験の依頼をした者又は自ら治験を実施した者は、被験薬について次の各号に掲げる事項を知ったときは、それぞれ当該各号に定める期間内にその旨を厚生労働大臣に報告しなければならない。
1) 次に掲げる症例等の発生のうち、当該被験薬又は外国で使用されている物であって当該被験薬と成 分が同一性を有すると認められるもの(以下この条において「当該被験薬等」という。)の副作用によるものと疑われるもの又はそれらの使用によるものと疑わ れる感染症によるものであり、かつ、そのような症例等の発生又は発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が当該被験薬の治験薬概要書(当該被験薬の品質、 有効性及び安全性に関する情報等を記載した文書をいう。以下この条において同じ。)から予測できないもの 7日
イ 死亡
ロ 死亡につながるおそれのある症例
2) 次に掲げる事項(前号に掲げるものを除く。) 15日
イ 次に掲げる症例等の発生のうち、当該被験薬等の副作用によるものと疑われるもの又はそれらの使用によるものと疑われる感染症によるものであり、かつ、そのような症例等の発生又は発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が当該被験薬の治験薬概要書から予測できないもの
1 治療のために病院又は診療所への入院又は入院期間の延長が必要とされる症例
2 障害
3 障害につながるおそれのある症例
4 1から3まで並びに前号イ及びロに掲げる症例に準じて重篤である症例
5 後世代における先天性の疾病又は異常
ロ 前号イ又はロに掲げる症例等の発生のうち、当該被験薬等の副作用によるものと疑われるもの又はそれらの使用によるものと疑われる感染症によるもの
ハ 外国で使用されている物であって被験薬と成分が同一性を有すると認められるものに係る製造、輸入又は販売の中止、回収、廃棄その他保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置の実施
ニ 当該被験薬等の副作用若しくはそれらの使用による感染症によりがんその他の重大な疾病、障害若し くは死亡が発生するおそれがあること、当該被験薬等の副作用によるものと疑われる疾病等若しくはそれらの使用によるものと疑われる感染症の発生数、発生頻 度、発生条件等の発生傾向が著しく変化したこと又は当該被験薬等が治験の対象となる疾患に対して効能若しくは効果を有しないことを示す研究報告
<第3項>
1 治験依頼者は必要に応じ治験実施計画書及び症例報告書の見本の改訂を行うこと。なお、治験依頼者がこれらを改訂する場合には、第7条第5項の規定を参照のこと。
2 治験依頼者は、新たな情報が得られた場合等には、手順書に従って、治験薬概要書を改訂しなければ ならない。なお、新たな重要な情報が得られた場合には、治験薬概要書の改訂に先立って、治験責任医師、治験実施医療機関の長及び規制当局にこれらの情報を 報告するものとする(第8条第2項参照)。
(モニタリングの実施)
第21条 治験依頼者は、モニタリングに関する手順書を作成し、当該手順書に従ってモニタリングを実施しなければならない。
2 前項の規定によりモニタリングを実施する場合には、実施医療機関において実地に行わなければならない。ただし、他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合には、この限りではない。
<第1項>
1 治験依頼者は、被験者の人権、安全及び福祉が保護されていること、治験が最新の治験実施計画書及 び本基準を遵守して実施されていること、治験責任医師又は治験分担医師から報告された治験データ等が正確かつ完全で原資料等の治験関連記録に照らして検証 できることを確認するため、モニタリングを実施しなければならない。
2 治験依頼者は、適切な訓練を受け、治験を十分にモニタリングするのに必要な科学的及び臨床的知識を有するモニターを指名しなければならない。また、モニターの要件は、モニタリングに関する手順書に記載されていなければならない。
3 治験依頼者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に治験責任医師及び実施医療機関が原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供することを実施医療機関との治験の契約書及び治験実施計画書又は他の合意文書に明記しなければならない。
4 治験依頼者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に、被験者の原医療記録が直接閲覧されることについて、各被験者が文書により同意していることを確認しなければならない。
5 治験依頼者は、モニターが実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設を訪問し、原資料を直接 閲覧すること等により治験が適切にモニタリングされていることを保証しなければならない。また、治験の目的、デザイン、複雑さ、盲検性、被験者に対する危 険性のレベル、規模及びエンドポイント等を考慮してモニタリングの適切な範囲及び方法を決定するものとする。
6 モニターは、治験薬、治験実施計画書、説明・同意文書、治験依頼者の手順書及び本基準を熟知し、これに従わなければならない。
7 モニターは、治験依頼者が確定した手順書及び当該治験のモニタリングに関して治験依頼者が特に定める手順に従わなければならない。
8 モニターは、次の事項が当該治験及び当該治験の実施に係る施設に関して適切でかつ必要である場合には、治験依頼者の要求に従ってそれらを行うことにより、治験が適正に実施され、必要な事項が正確に記録されていることを保証しなければならない。
1) 治験依頼者と治験責任医師、実施医療機関及び治験に係るその他の施設との間の情報交換の主役を務めること。
2) 実施医療機関及び治験責任医師が治験を適切に実施するのに求められる要件を満たし、それが治験 期間を通して維持されていること、また検査室や必要な装置及びスタッフを含む設備が、治験を安全かつ適正に実施するのに十分であり、それが治験期間を通し て継続されていることを確認すること。
3) 治験薬に関し下記の点を確認すること。
i) 保存期間、保存条件が許容できるものであり、治験期間を通して十分な量が交付されていること。
ii) 治験薬が適格な被験者のみに、治験実施計画書で規定された用量で投与されていること。
iii) 被験者に対し、治験薬の適正な使用、取扱い、保存及び返却に関して必要な指示が与えられていること。
iv) 実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設での治験薬の取扱い及び保管、管理が本基準及び治験依頼者の定めるところに従って適切に行われ、記録されていること。
4) 治験責任医師及び治験分担医師が実施医療機関の長の指示、決定及び承認された治験実施計画書に従って治験を実施していることを確認すること。
5) 各被験者から、治験に参加する前に、治験への参加について自由意思による同意が文書により得られていることを確認すること。
6) 治験責任医師が治験を適正に実施し、本基準を遵守するのに必要な治験薬概要書の最新版等全ての文書及びその他の供給物を受領していることを確認すること。
7) 実施医療機関の長、治験責任医師、治験分担医師、治験協力者及び治験薬管理者等が治験について十分情報を得ていることを確認すること。
8) 治験責任医師、治験分担医師、治験協力者及び治験薬管理者等が治験実施計画書並びに治験依頼者 と実施医療機関及び治験責任医師との間のその他の合意文書に基づいて治験における各々の役割を果たしており、このような役割を事前に取り決められた者以外 に委任していないことを確認すること。
9) 治験責任医師及び治験分担医師が適格な被験者のみを治験に組み入れていることを確認すること。
10) 被験者の登録状況を確認し、治験依頼者に報告すること。
11) 正確かつ完全で、最新に至る原資料等の全ての治験関連記録が作成、保存されていることを確認すること。
12) 実施医療機関の長及び治験責任医師又は治験分担医師が本基準で要求される全ての報告、通知及び提出を行い、それらの文書が正確、完全で、適切な時期に行われ、読みやすく、日付が記載されており、該当する治験を識別できることを確認すること。
13) 症例報告書の内容と原資料等の治験関連記録類を相互に照合し、これらが正確であることを確認すること。その際、モニターは特に次の点を確認すること。
i) 治験実施計画書が要求するデータが症例報告書に正確に記載され、それらが原資料と一致していること。
ii) 用量又は治療法の変更があった場合には、その全てが各々の被験者について記録されていること。
iii) 有害事象、併用療法及び併発症が治験実施計画書に従って症例報告書に記載されていること。
iv) 被験者が規定どおりに来院しなかった日、実施されなかった試験及び検査が症例報告書に明確に記載されていること。
v) 登録された被験者の全ての中止例、脱落例が症例報告書に記載され、その理由等が説明されていること。
14) 治験責任医師に、症例報告書の記載ミス、記載漏れ又は判読不能事項を全て知らせること。ま た、適切な修正、追記又は削除がなされ、日付が記入され、それらが重大な場合にはその理由等が説明されており、かつ治験責任医師又は症例報告書を作成した 治験分担医師によって、捺印又は署名されていることを確認すること。
15) 全ての有害事象が、治験実施計画書、治験審査委員会、治験依頼者及び本基準によって要求されている期間内に適切に報告されていることを確認すること。
16) 実施医療機関において保存すべき必須文書をそれぞれの保存責任者が保存していることを確認すること。
<第2項>
1 モニタリングは、治験開始前、実施中及び終了後に治験責任医師、実施医療機関及び治験に係るその他の施設において実地に行う必要がある。
2 「他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合」とは、例えば、治験の方法(評 価項目等を含む。)が簡単であり、参加実施医療機関の数及び地域的分布が大規模であるなどのために医療機関等への訪問によるモニタリングが困難である治験 において、治験責任医師等又は治験協力者等の会合及びそれらの人々に対する訓練や詳細な手順書の提供、統計学的にコントロールされた方法でのデータの抽出 と検証、治験責任医師等との電話、ファックス等による交信等の手段を併用することにより、治験の実施状況を調査し、把握することが可能かつ妥当である例外 的な場合である。この例外的なモニタリングの方法は「中央モニタリング」と呼ばれる。
(モニターの責務)
第22条 モニタリングに従事する者(以下「モニター」という。)は、モニタリングの結果、実施医療機関における治験がこの省令又は治験実施計画書に従って行われていないことを確認した場合には、その旨を直ちに当該実施医療機関の治験責任医師に告げなければならない。
2 モニターは、モニタリングの実施の際、実施医療機関において実地に行い、又はこれと連絡を取ったときは、その都度次に掲げる事項を記載したモニタリング報告書を治験依頼者に提出しなければならない。
1) モニタリングを行った日時
2) モニタリングの対象となった実施医療機関
3) モニターの氏名
4) モニタリングの際に説明等を聴取した治験責任医師等の氏名
5) モニタリングの結果の概要
6) 前項の規定により治験責任医師に告げた事項
7) 前号に規定する事項について講じられるべき措置及び当該措置に関するモニターの所見
<第1項>
1 モニターは、モニタリングの結果、本基準、治験実施計画書及び手順書からの逸脱事項を確認した場合には、治験責任医師及び必要に応じて実施医療機関の長に直ちに伝えること。また、そのような逸脱の再発を防止するための適切な措置を講ずること。
<第2項>
1 モニターは、実施医療機関及び治験に係るその他の施設への訪問又は治験に関連した連絡を行う度に、治験依頼者にモニタリング報告書を提出しなければならない。
2 モニタリング報告書には、日時、場所(実施医療機関名)、モニターの氏名、治験責任医師又はその 他の接触した相手の氏名、モニターが点検した内容の要約及び重要な発見事項あるいは事実、逸脱及び欠陥、結論、治験責任医師等に告げた事項並びに講じられ た若しくは講じられる予定の措置及び本基準等の遵守を確保するために推奨される措置に関するモニターの見解等が記載されていなければならない。
3 治験依頼者は、モニタリング報告書に関して行った点検とフォローアップについて、治験依頼者が指名する者に文書化させなければならない。
(監査)
第23条 治験依頼者は、監査に関する計画書及び業務に関する手順書を作成し、当該計画書及び手順書に従って監査を実施しなければならない。
2 監査に従事する者(以下「監査担当者」という。)は、医薬品の開発に係る部門及びモニタリングを担当する部門に属してはならない。
3 監査担当者は、監査を実施した場合には、監査で確認した事項を記録した監査報告書及び監査が実施されたことを証明する監査証明書を作成し、これを治験依頼者に提出しなければならない。
<第1項>
1 監査の目的は、治験の品質保証のために、治験が本基準、治験実施計画書及び手順書を遵守して行われているか否かを通常のモニタリング及び治験の品質管理業務とは独立・分離して評価することにある。
2 治験依頼者は、治験のシステム及び個々の治験に対する監査のそれぞれについて、監査の対象、方法 及び頻度並びに監査報告書の様式と内容を記述した監査手順書を作成し、監査が当該手順書及び当該手順書に基づいた監査計画に従って行われることを保証しな ければならない。また、監査担当者の要件は当該手順書中に記載されていなければならない。
3 治験のシステムに対する監査は、治験依頼者、実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設における治験のシステムが適正に構築され、かつ適切に機能しているか否かを評価するために行うものである。
4 個々の治験に対する監査は、当該治験の規制当局に対する申請上の重要性、被験者数、治験の種類と 複雑さ、被験者に対する治験の危険性のレベル及びモニタリング等で見出されたあらゆる問題点を考慮して、治験依頼者、実施医療機関及び治験の実施に係るそ の他の施設に対する監査の対象及び時期等を決定した上で行うものとする。
5 監査担当者も必要に応じて実施医療機関及び治験に係るその他の施設を訪問し、原資料を直接閲覧することにより治験が適切に実施されていること及びデータの信頼性が十分に保たれていることを確認することが求められる。
6 治験依頼者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に治験責任医師及び実施医療機関が原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供することを実施医療機関との治験の契約書及び治験実施計画書又は他の合意文書に明記しなければならない。
7 治験依頼者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に、被験者の原医療記録が直接閲覧されることについて、各被験者が文書により同意していることを確認しなければならない。
<第2項>
1 治験依頼者は、治験の依頼及び治験の実施に直接係る業務とは無関係の者で、教育・訓練と経験により監査を適切に行いうる要件を満たしている者を監査担当者として指名しなければならない。
<第3項>
1 監査担当者は、監査で発見した事項を文書に記載しなければならない。
2 監査担当者は、上記1の監査の記録に基づき監査報告書を作成し、記名捺印又は署名の上、治験依頼 者に提出しなければならない。監査報告書には、報告書作成日、被監査部門名、監査の対象、監査実施日、監査結果(必要な場合には改善提案を含む。)及び当 該報告書の提出先が記載されていなければならない。
3 監査機能の独立性と価値を保つために、規制当局は、通常の調査の際には監査報告書の閲覧を求めないこととする。ただし、重大なGCP不遵守が認められる場合には、監査報告書の閲覧を求めることができる。上記1の監査の記録についても同様とする。
4 監査担当者は、監査を行った治験について、監査が実施されたことを証明する監査証明書を作成し、治験依頼者に提出しなければならない。
(治験の中止等)
第24条 治験依頼者は、実施医療機関がこの省令、治験実施計画書又は治験の契約に違反することにより適正な 治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、当該実施医療機関との治験の契約を解除し、当該実施医療機関における治験を中 止しなければならない。
2 治験依頼者は、治験を中断し、又は中止する場合には、速やかにその旨及びその理由を実施医療機関の長に文書により通知しなければならない。
3 治験依頼者は、当該治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料を法第14条第3項に規定する申請書に添付しないことを決定した場合には、その旨及びその理由を実施医療機関の長に文書により通知しなければならない。
4 第2項及び前項に規定する文書による通知については、第10条第2項から第6項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは、「治験依頼者」と読み替えるものとする。
<第1項>
1 治験依頼者は、モニタリング及び監査によって治験責任医師、実施医療機関又は治験に係るその他の 施設による重大又は継続した不遵守が発見された場合には、当該治験責任医師、実施医療機関又は治験に係るその他の施設の治験への参加を打ち切らなければな らない。なお、不遵守のため治験責任医師、実施医療機関又は治験に係るその他の施設の参加を打ち切った場合には、治験依頼者は規制当局に速やかに報告する ものとする。
2 被験者の緊急の危険を回避するため、その他医療上やむを得ない理由のために治験実施計画書に従わなかった場合(第46条参照)を除く。
<第2項>
1 治験依頼者は、治験を中断し、又は中止する場合には、その旨及びその理由の詳細を治験に関与する全ての実施医療機関の長及び規制当局に速やかに文書で通知しなければならない。
<第3項>
1 治験依頼者は、治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料を承認申請書に添付しないこ と、すなわち、被験薬の開発(効能・効果、用法・用量又は製剤のいずれかあるいは全てについて)を中止する場合には、その旨とその理由の詳細を治験に関与 する全ての実施医療機関の長及び治験に係るその他の施設に速やかに文書で通知しなければならない。
(総括報告書)
第25条 治験依頼者は、治験を終了し、又は中止したときは、総括報告書(治験の結果等を取りまとめた文書をいう。以下同じ。)を作成しなければならない。
1 治験依頼者は、治験を終了したとき、又は中止したときは、その結果等を取りまとめた総括報告書を手順書に従って作成しなければならない。
2 総括報告書の構成及び内容については、「治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン」(平成8年5月1日付薬審第335号)に従ったものであること。
3 総括報告書は、規制当局の求めに応じて提出できるよう保存しておかなければならない。
4 総括報告書には、第23条第3項に規定する当該治験に係る監査証明書を添付して保存すること。
(記録の保存等)
第26条 治験依頼者は、次に掲げる治験に関する記録(文書及びデータを含む。)を被験薬に係る医薬品につい ての製造販売の承認を受ける日(第24条第3項の規定により通知したときは、通知した日後3年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過し た日のうちいずれか遅い日までの期間適切に保存しなければならない。
1) 治験実施計画書、契約書、総括報告書その他この省令の規定により治験依頼者が作成した文書又はその写し
2) 症例報告書、第32条第6項の規定により通知された文書その他この省令の規定により実施医療機関の長又は治験責任医師等から入手した記録
3) モニタリング、監査その他の治験の依頼及び管理に係る業務の記録(前2号及び第5号に掲げるものを除く。)
4) 治験を行うことにより得られたデータ
5) 第16条第5項に規定する記録
2 本邦内に住所を有しない治験依頼者は、治験国内管理人に第16条第5項に規定する記録を前項に定める期間保存させなければならない。
<第1項>
1 治験依頼者は、本条の規定により、第1項各号に掲げる治験に関する記録を被験薬に係る医薬品の製造販売承認を受ける日又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間適切に保存しなければならない。
また、被験薬に係る医薬品が承認を受けた場合には、薬事法施行規則第101条の規定により、承認を 受けた日から5年間(再審査に係るものであって、再審査が終了するまでの期間が承認を受けた日から5年を超えるものにあっては再審査が終了するまでの期 間)適切に保存しなければならない。
(参考)薬事法施行規則第101条
(資料の保存)
第101条 承認取得者は、次の各号に掲げる資料を、それぞれ当該各号に掲げる期間保存しなければならない。ただし、資料の性質上その保存が著しく困難であると認められるものにあっては、この限りでない。
1) 法第14条の規定による承認の申請に際して提出した資料の根拠となった資料 承認を受けた日か ら5年間。ただし、法第14条の4第1項の規定による再審査を受けなければならない医薬品又は医療機器(承認を受けた日から再審査が終了するまでの期間が 5年を超えるものに限る。)に係る資料にあっては、再審査が終了するまでの期間
従って、治験依頼者は、次の1)又は2)の日のうちいずれか遅い日までの間保存しなければならない。
1) 当該被験薬に係る製造販売承認日から5年が経過した日(開発が中止された場合には開発中止が決 定された日から3年が経過した日)。ただし、薬事法の規定により承認後の再審査を受けなければならない医薬品で、かつ再審査が終了するまでの期間が5年を 超えるものについては、再審査が終了する日。
2) 治験の中止又は終了後3年が経過した日
2 本条の「記録」には、磁気媒体等に記録されたデータを含むこと。データを適切に保存するためには、セキュリティシステムの保持、データのバックアップの実施等が必要である。
3 治験依頼者は、データの処理に当たって、電子データ処理システム(遠隔操作電子データシステムを含む。)を用いる場合には、次の事項を実施しなければならない。
1) 電子データ処理システムが、完全性、正確性、信頼性及び意図された性能についての治験依頼者の要件を満たしていることを保証し、文書化すること(すなわちバリデーションされること。)。
2) 当該システムを使用するための手順書を整備すること。
3) 当該システムが、入力済みのデータを消去することなしに修正が可能で、データ修正の記録をデータ入力者及び修正者が識別されるログとして残せる(すなわち監査証跡、データ入力証跡、修正証跡が残る)ようにデザインされていることを保証すること。
4) データのセキュリティ・システムを保持すること。
5) データのバックアップを適切に行うこと。
6) データの修正を行う権限を与えられた者の名簿を作成し、管理すること。
7) 盲検化が行われている場合には、盲検性が保持されるようにすること。
4 治験依頼者は、処理中にデータの変換を行う場合には、処理前のデータと処理後のデータを常に対比し得ることを保証しなければならない。
5 治験依頼者は、各被験者について報告された全てのデータの識別を可能にする明確な被験者識別コードを用いなければならない。
<第2項>
1 本邦内に住所を有しない治験依頼者は、治験国内管理人に治験薬の製造や安定性等の品質などに関する第16条第5項に規定する記録を保存させなければならない。
2 治験国内管理人は、治験薬による保健衛生上の危害の発生又は拡大の防止に必要な措置を採らせるた め、治験の依頼をしようとする者に代わって治験の依頼を行うことのできる者である(第15条参照)趣旨に鑑み、第1項の1)から4)までの記録又はその写 しを適切に保存すること。
3―2 第二節 自ら治験を実施する者による治験の管理に関する基準
(治験薬の管理)
第26条の2 自ら治験を実施する者は、治験薬の容器又は被包に次に掲げる事項を邦文で記載しなければならない。
1) 治験用である旨
2) 自ら治験を実施する者の氏名及び職名並びに住所
3) 化学名又は識別記号
4) 製造番号又は製造記号
5) 貯蔵方法、有効期間等を定める必要があるものについては、その内容
2 自ら治験を実施する者は、治験薬に添付する文書、その治験薬又はその容器若しくは被包(内袋を含む。)には、次に掲げる事項を記載してはならない。
1) 予定される販売名
2) 予定される効能又は効果
3) 予定される用法又は用量
3 自ら治験を実施する者は、被験者、治験分担医師及び治験協力者が被験薬及び対照薬の識別をできない状態で入手した治験薬について、緊急時に、治験分担医師が被験薬及び対照薬の識別を直ちにできるよう必要な措置を講じておかなければならない。
4 自ら治験を実施する者は、輸送及び保存中の汚染や劣化を防止するため必要な措置を講じておかなければならない。
5 自ら治験を実施する者は、治験薬に関する次に掲げる記録を作成し、又は入手しなければならない。
1) 治験薬の製造年月日、製造方法、製造数量等の製造に関する記録及び治験薬の安定性等の品質に関する試験の記録
2) 治験薬を入手し、又は治験薬提供者から提供を受けた場合にはその数量及び年月日の記録
3) 治験薬の処分の記録
6 自ら治験を実施する者は、治験の実施の承認後遅滞なく、実施医療機関における治験薬の管理に関する手順書を作成し、これを実施医療機関の長に交付しなければならない。
7 自ら治験を実施する者は、必要に応じ、治験薬の溶解方法その他の取扱方法を説明した文書を作成し、これを治験分担医師、治験協力者及び第39条第1項に規定する治験薬管理者に交付しなければならない。
<第3項>
1 自ら治験を実施する者は、盲検下の治験では、治験薬のコード化及び包装に際して、医療上の緊急時に当該治験薬がどの薬剤であるかを直ちに識別できるようにし、かつ盲検性が破られたことを検知できるようにしておかなければならない。
<第4項>
1 自ら治験を実施する者は、治験薬を入手し、又は治験薬提供者から治験薬の提供を受ける場合には、第4項の規定に従って輸送及び保存中の汚染や劣化を防止するため必要な措置を講じなければならない。
<第5項>
1 第5項の記録については、自ら治験薬を製造しない場合においては、治験薬提供者等から入手するこ と。また、第1号の記録には、治験薬GMPに定められた記録を含むこと。なお、この場合には、治験薬GMP中、「治験依頼者」を「自ら治験を実施する者」 に、「第17条第1項」を「第26条の3」に、「第24条第3項」を「第26条の10第3項」に読み替えるものとする。なお、第1号の記録内容が確認でき る文書がある場合については、自ら治験を実施する者は、これらの記録に代えて当該文書を入手することで足るものとする。
2 自ら治験を実施する者が自ら治験薬を製造しない場合には、予定される使用期間中安定である治験薬を使用すること。
3 自ら治験を実施する者が自ら治験薬を製造しない場合において、治験薬がその規格を満たしているこ とを再確認できるだけの十分な量のロットサンプルを確保し、経時的にロットサンプルを分析した記録が保存されている治験薬を使用すること。安定性が確保さ れる限りは、ロットサンプルを治験データの解析が終わるまでの期間保存されていること。
4 自ら治験を実施する者が自ら治験薬を製造しない場合において、自ら治験を実施する者は、治験薬の適正な取扱いを保証するため、次の事項を行うものとする。
1) 適切な時期に治験薬を入手できるようにすること。
2) 治験薬の受領、被験者からの返却及び処分の記録を保存すること。
3) 治験薬の返品・処分及びその記録作成のためのシステムを保持すること(例:欠陥品の返品、使用期限切れの治験薬の処分)。
4) 未使用の治験薬の処分及びその記録作成のためのシステムを保持すること。
<第6項>
1 第6項の「治験薬の管理に関する手順書」には、治験薬の受領、取扱い、保管、処方並びに未使用治 験薬の被験者からの返却及び未使用治験薬の処分が適切かつ確実に行われるよう、治験薬の管理に関わる者が従うべき事項を規定しなければならない。なお、当 該手順書は、予め実施医療機関の長の承諾を得て治験薬管理者に直接交付することは差し支えない。
<第7項>
1 自ら治験を実施する者は、治験薬の許容される保存条件、使用期限、溶解液及び溶解方法並びに注入器具等取扱い方法を説明した文書を作成し、これを治験分担医師、治験協力者、治験薬管理者等(モニターを含む。)に交付しなければならない。
なお、自ら治験を実施する者は、厚生労働大臣に治験計画の届出が受理されるまで、治験薬の提供を受 けてはならない。ただし、「薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律の一部の施行について」(平成15年5月15日付医薬発第 0515017号)の記のVの(2)のイに掲げる薬物にあっては、治験計画の届出提出後30日を経過した後でなければ、治験薬の提供を受けてはならないこ と。
(治験薬の品質の確保)
第26条の3 自ら治験を実施する者は、治験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所において製造された治験薬を用いて治験を実施しなければならない。
「治験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採 られている製造所」とは、治験薬GMPに定められた内容に適合する製造所をいう。なお、自ら治験を実施する者が自ら治験薬を製造しない場合においては、自 ら治験を実施する者は、GCPの要件を満たす治験薬の提供を受けられるよう、治験薬の品質確保に関して、治験薬提供者との間で文書等により、明確な取り決 め等を行うこと。
(多施設共同治験)
第26条の4 自ら治験を実施する者は、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を 実施する場合には、当該実施医療機関における当該治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整する業務を治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱す ることができる。
2 前項の規定により治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱する場合には、その業務の範囲、手順その他必要な事項を記載した文書を作成しなければならない。
<第1項>
1 治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱される業務とは、例えば、治験実施計画書の内容の細目についての多施設間の調整や治験中に生じた治験実施計画書の解釈上の疑義の調整等、多施設共同治験における実施医療機関間の調整に係る業務である。
2 治験調整医師又は治験調整委員会は、当該治験の分野において十分な経験を有し、多施設間の調整を適切に行いうる者であること。治験責任医師の中から選定されることが考えられるが、必ずしも治験責任医師に限らない。
3 多施設共同治験において治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱することができる「治験の細目につ いて調整する業務」には、法第80条の2第2項に規定する治験の計画の届出、GCP第26条の6第2項及び第48条の第3項に規定する他の実施医療機関の 治験責任医師への副作用情報の通知に関する業務及び薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号。以下「施行規則」という。)第273条に規定する厚生労働 大臣への副作用等報告の業務を含むことと解される。
<第2項>
1 自ら治験を実施する者は、多施設共同治験に当たって次のことを保証しなければならない。
1) 全ての治験責任医師が、治験実施計画書に合意し、治験審査委員会の意見に基づき各実施医療機関の長が承認した治験実施計画書を厳密に遵守して治験を実施していること。
2) 症例報告書が全施設において必要なデータが収集できるようにデザインされていること。追加的データを収集する治験責任医師にはそれを記載するために設計された補足的な症例報告書が併せて提出されなければならないこと。
3) 治験調整医師(治験調整医師を選定した場合)、治験調整委員会(治験調整委員会を設置した場合)及び治験責任医師の責務が治験開始前に文書で定められていること。
4) 全ての治験責任医師に対し、治験実施計画書の遵守方法、臨床上及び検査上の所見の評価に関する統一基準の遵守方法並びに症例報告書の記入方法が協議されていること。
5) 治験責任医師の間の連絡が容易であること。
6) 治験調整医師又は治験調整委員会は、多施設共同治験ごとの状況を考慮し、モニタリング、監査、治験薬の管理方法及び記録の保存等について、各実施医療機関の間で治験の品質においてばらつきが生じないよう調整すること。
(効果安全性評価委員会の設置)
第26条の5 自ら治験を実施する者は、治験の継続の適否又は治験実施計画書の変更について審議させるために効果安全性評価委員会を設置することができる。
2 自ら治験を実施する者は、前項の効果安全性評価委員会の審議に関する手順書を作成し、これに従って審議を行わせなければならない。
3 自ら治験を実施する者は、前項の審議を行ったときは、その審議の記録を作成し、これを保存しなければならない。
<第1項>
効果安全性評価委員会は、治験の継続の適否又は治験実施計画書の変更について審議するための委員会 であり、治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適切な間隔で評価するものである。また、自ら治験を実施する者、治験責任医師等、治験 調整医師、治験審査委員会の委員、治験薬提供者及び実施医療機関の長は効果安全性評価委員会の委員になることはできない。
<第2項>
1 自ら治験を実施する者は、効果安全性評価委員会と協議の上、審議に関する手順書を作成するものとする。
2 審議に関する手順書は、治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適切な間隔で適切に評価できるよう手順を定め、自ら治験を実施する者に治験の継続、変更、及び中止又は中断等の提言が適切に行われることを確保するためのものである。
<第3項>
1 自ら治験を実施する者は、効果安全性評価委員会の了承のもとに、全ての審議及び会合の記録を作成するものとし、自ら治験を実施する者がその記録を保存しなければならない。
(副作用情報等)
第26条の6 自ら治験を実施する者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために必要な情報を収集し、及び検討するとともに、実施医療機関の長に対し、これを提供しなければならない。
2 自ら治験を実施する者は、被験薬について法第80条の2第6項に規定する事項を知ったときは、直ちにその 旨を実施医療機関の長(一の実施計画書に基づき共同で複数の実施医療機関において治験を実施する場合には他の実施医療機関の治験責任医師を含む。)に通知 しなければならない。
3 自ら治験を実施する者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、治験実施計画書及び治験薬概要書を改訂しなければならない。
<第1項>
1 自ら治験を実施する者は、治験薬の安全性を継続的に評価する責任を有する。
2 自ら治験を実施する者は、被験者の安全に悪影響を及ぼし、治験の実施に影響を与え、又は治験継続に関する治験審査委員会の承認を変更する可能性のある情報を、実施医療機関の長に速やかに通知しなければならない。
3 自ら治験を実施する者は、当該治験薬に係る品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために必要な情報を治験薬提供者からも収集、検討及び利用しなければならない。
4 自ら治験を実施する者は、治験薬提供者が行う当該治験薬に係る品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために必要な情報の収集に協力しなければならない。
<第2項>
1 第2項の「法第80条の2第6項に規定する事項」とは、施行規則第273条第1項に規定する事項である。
2 通知するに当たっては「治験中に得られる安全性情報の取り扱いについて」(平成7年3月20日付 薬審第227号)、「独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対する治験副作用等報告について」(平成16年3月30日付薬食発第0330001号)、 「「独立行政法人医薬品医療機器総合機構設立後の自ら治験を実施した者による治験副作用等報告について」の改正について」(平成17年10月25日付薬食 審査発第1025005号)及び「治験副作用等報告に関する報告上の留意点等について」(平成18年4月26日付薬食審査発第0426001号)等を参照 のこと(通知すべき副作用等の範囲及び取扱いについては薬事法施行規則第273条第1項の定めによること。)。
(参考)
○法第80条の2第6項(抜粋)
治験の依頼をした者又は自ら治験を実施した者は、当該治験の対象とされる薬物又は器具機械等につい て、当該薬物又は器具機械等の副作用によるものと疑われる疾病、障害又は死亡の発生、当該薬物又は器具機械等の使用によるものと疑われる感染症の発生その 他の治験の対象とされる薬物又は器具機械等の有効性及び安全性に関する事項で厚生労働省令で定めるものを知ったときは、その旨を厚生労働省令で定めるとこ ろにより厚生労働大臣に報告しなければならない。この場合において、厚生労働大臣は、当該報告に係る情報の整理又は当該報告に関する調査を行うものとす る。
○薬事法施行規則第273条第1項
治験の依頼をした者又は自ら治験を実施した者は、被験薬について次の各号に掲げる事項を知ったときは、それぞれ当該各号に定める期間内にその旨を厚生労働大臣に報告しなければならない。
1) 次に掲げる症例等の発生のうち、当該被験薬又は外国で使用されている物であって当該被験薬と成 分が同一性を有すると認められるもの(以下この条において「当該被験薬等」という。)の副作用によるものと疑われるもの又はそれらの使用によるものと疑わ れる感染症によるものであり、かつ、そのような症例等の発生又は発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が当該被験薬の治験薬概要書(当該被験薬の品質、 有効性及び安全性に関する情報等を記載した文書をいう。以下この条において同じ。)から予測できないもの 7日
イ 死亡
ロ 死亡につながるおそれのある症例
2) 次に掲げる事項(前号に掲げるものを除く。) 15日
イ 次に掲げる症例等の発生のうち、当該被験薬等の副作用によるものと疑われるもの又はそれらの使用によるものと疑われる感染症によるものであり、かつ、そのような症例等の発生又は発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が当該被験薬の治験薬概要書から予測できないもの
1 治療のために病院又は診療所への入院又は入院期間の延長が必要とされる症例
2 障害
3 障害につながるおそれのある症例
4 1から3まで並びに前号イ及びロに掲げる症例に準じて重篤である症例
5 後世代における先天性の疾病又は異常
ロ 前号イ又はロに掲げる症例等の発生のうち、当該被験薬等の副作用によるものと疑われるもの又はそれらの使用によるものと疑われる感染症によるもの
ハ 外国で使用されている物であって被験薬と成分が同一性を有すると認められるものに係る製造、輸入又は販売の中止、回収、廃棄その他保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置の実施
ニ 当該被験薬等の副作用若しくはそれらの使用による感染症によりがんその他の重大な疾病、障害若し くは死亡が発生するおそれがあること、当該被験薬等の副作用によるものと疑われる疾病等若しくはそれらの使用によるものと疑われる感染症の発生数、発生頻 度、発生条件等の発生傾向が著しく変化したこと又は当該被験薬等が治験の対象となる疾患に対して効能若しくは効果を有しないことを示す研究報告
<第3項>
1 第3項の規定により治験実施計画書の改訂を行う場合には、第15条の4第1項に定める手続を準用すること。
2 自ら治験を実施する者は、新たな情報が得られた場合等には、手順書に従って、治験薬概要書を改訂 しなければならない。なお、新たな重要な情報が得られた場合には、治験薬概要書の改訂に先立って、治験実施医療機関の長及び規制当局にこれらの情報を報告 するものとする(第15条の5第2項参照)。
(モニタリングの実施)
第26条の7 自ら治験を実施する者は、モニタリングに関する手順書を作成し、第30条第1項に規定する実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を踏まえて、当該手順書に従って、モニタリングを実施させなければならない。
2 モニターは、当該モニタリングの対象となる実施医療機関において当該治験に従事してはならない。
3 第1項の規定によりモニタリングを実施する場合には、実施医療機関において実地に行わなければならない。ただし、他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合には、この限りではない。
<第1項>
1 自ら治験を実施する者は、被験者の人権、安全及び福祉が保護されていること、治験が最新の治験実 施計画書及び本基準を遵守して実施されていること、治験責任医師又は治験分担医師から報告された治験データ等が正確かつ完全で原資料等の治験関連記録に照 らして検証できることを確認するため、モニタリングを実施させなければならない。
2 モニターは、モニタリングの実施に必要な科学的及び臨床的知識を有する者であり、その要件は第1項の「モニタリングに関する手順書」に記載されていなければならない。
3 自ら治験を実施する者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に治験責任医師及び実施医療機関が原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供することを実施医療機関の長の承認文書及び治験実施計画書又は他の合意文書に明記しなければならない。
4 自ら治験を実施する者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に、被験者の原医療記録が直接閲覧されることについて、各被験者が文書により同意していることを確認しなければならない。
5 自ら治験を実施する者は、モニターが実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設を訪問し、原 資料を直接閲覧すること等により治験が適切にモニタリングされていることを保証しなければならない。また、治験の目的、デザイン、複雑さ、盲検性、被験者 に対する危険性のレベル、規模及びエンドポイント等を考慮してモニタリングの適切な範囲及び方法を決定するものとする。
6 モニターは、治験薬、治験実施計画書、説明・同意文書、自ら治験を実施する者の手順書及び本基準を熟知し、これに従わなければならない。
7 モニターは、自ら治験を実施する者が作成し治験審査委員会で承認された手順書及び当該治験のモニタリングに関して自ら治験を実施する者が特に定める手順に従わなければならない。
8 モニターは、次の事項が当該治験及び当該治験の実施に係る施設に関して適切でかつ必要である場合には、自ら治験を実施する者の要求に従ってそれらを行うことにより、治験が適正に実施され、必要な事項が正確に記録されていることを保証しなければならない。
1) 実施医療機関及び治験責任医師が治験を適切に実施するのに求められる要件を満たし、それが治験 期間を通して維持されていること、また検査室や必要な装置及びスタッフを含む設備が、治験を安全かつ適正に実施するのに十分であり、それが治験期間を通し て継続されていることを確認すること。
2) 治験薬に関し下記の点を確認すること。
i) 保存期間、保存条件が許容できるものであり、治験期間を通して十分な量が入手されていること。
ii) 治験薬が適格な被験者のみに、治験実施計画書で規定された用量で投与されていること。
iii) 被験者に対し、治験薬の適正な使用、取扱い、保存及び返却に関して必要な指示が与えられていること。
iv) 実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設での治験薬の取扱い及び保管、管理が本基準及び自ら治験を実施する者の定めるところに従って適切に行われ、記録されていること。
3) 治験責任医師及び治験分担医師が実施医療機関の長の指示、決定及び承認された治験実施計画書に従って治験を実施していることを確認すること。
4) 各被験者から、治験に参加する前に、治験への参加について自由意思による同意が文書により得られていることを確認すること。
5) 治験責任医師が治験を適正に実施し、本基準を遵守するのに必要な治験薬概要書の最新版等全ての文書及びその他の供給物を受領していることを確認すること。
6) 実施医療機関の長、治験分担医師、治験協力者及び治験薬管理者等が治験について十分情報を得ていることを確認すること。
7) 治験責任医師、治験分担医師、治験協力者及び治験薬管理者等が治験実施計画書並びに実施医療機関の長の承認文書及びその他の合意文書に基づいて治験における各々の役割を果たしており、このような役割を事前に取り決められた者以外に委任していないことを確認すること。
8) 治験責任医師及び治験分担医師が適格な被験者のみを治験に組み入れていることを確認すること。
9) 正確かつ完全で、最新に至る原資料等の全ての治験関連記録が作成、保存されていることを確認すること。
10) 実施医療機関の長及び治験責任医師又は治験分担医師が本基準で要求される全ての報告、通知及び提出を行い、それらの文書が正確、完全で、適切な時期に行われ、読みやすく、日付が記載されており、該当する治験を識別できることを確認すること。
11) 症例報告書の内容と原資料等の治験関連記録類を相互に照合し、これらが正確であることを確認すること。その際、モニターは特に次の点を確認すること。
i) 治験実施計画書が要求するデータが症例報告書に正確に記載され、それらが原資料と一致していること。
ii) 用量又は治療法の変更があった場合には、その全てが各々の被験者について記録されていること。
iii) 有害事象、併用療法及び併発症が治験実施計画書に従って症例報告書に記載されていること。
iv) 被験者が規定どおりに来院しなかった日、実施されなかった試験及び検査が症例報告書に明確に記載されていること。
v) 登録された被験者の全ての中止例、脱落例が症例報告書に記載され、その理由等が説明されていること。
12) 治験責任医師に、症例報告書の記載ミス、記載漏れ又は判読不能事項を全て知らせること。ま た、適切な修正、追記又は削除がなされ、日付が記入され、それらが重大な場合にはその理由等が説明されており、かつ治験責任医師又は症例報告書を作成した 治験分担医師によって、捺印又は署名されていることを確認すること。
13) 全ての有害事象が、治験実施計画書、治験審査委員会及び本基準によって要求されている期間内に適切に報告されていることを確認すること。
14) 実施医療機関において保存すべき必須文書をそれぞれの保存責任者が保存していることを確認すること。
<第2項>
1 自ら治験を実施する者は、実施医療機関に属する者をモニターに指定する場合には、当該治験の実施(実施の準備及び管理を含む。)に従事しない者を選任すること。
2 自ら治験を実施する者は、当該実施医療機関内の者をモニターに指定する場合には、モニターは当該治験に従事していない第三者を指定するべきである。また、医療機関外部の第三者機関を利用することも可能である。
<第3項>
1 モニタリングは、治験開始前、実施中及び終了後に治験責任医師、実施医療機関及び治験に係るその他の施設において実地に行う必要がある。
2 「他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合」とは、例えば、多施設共同治験 において治験の方法(評価項目等を含む。)が簡単であるが、参加実施医療機関の数及び地域的分布が大規模であるような治験において、治験責任医師等又は治 験協力者等の会合及びそれらの人々に対する訓練や詳細な手順書の提供、統計学的にコントロールされた方法でのデータの抽出と検証、治験責任医師等との電 話、ファックス等による連絡等の手段を併用することにより、治験の実施状況を調査し把握することが可能かつ適当である例外的な場合である。
(モニターの責務)
第26条の8 モニターは、モニタリングの結果、実施医療機関における治験がこの省令又は治験実施計画書に従って行われていないことを確認した場合には、その旨を直ちに当該実施医療機関の治験責任医師に告げなければならない。
2 モニターは、モニタリングを実地に実施したときは、その都度次に掲げる事項を記載したモニタリング報告書を自ら治験を実施する者及び当該モニタリングに係る実施医療機関の長に提出しなければならない。
1) モニタリングを行った日時
2) モニターの氏名
3) モニタリングの際に説明等を聴取した治験責任医師等の氏名
4) モニタリングの結果の概要
5) 前項の規定により治験責任医師に告げた事項
6) 前号に規定する事項について講じられるべき措置及び当該措置に関するモニターの所見
<第1項>
1 モニターは、モニタリングの結果、本基準、治験実施計画書及び手順書からの逸脱事項を確認した場合には、治験責任医師及び必要に応じて実施医療機関の長に直ちに伝えること。また、そのような逸脱の再発を防止するための適切な措置を講ずること。
<第2項>
1 モニターは、実施医療機関において実地にモニタリングを行い、原資料を直接閲覧すること等により 治験が適切に実施されていること及びデータの信頼性が十分に保たれていることを確認し、その都度モニタリング報告書を自ら治験を実施する者及び実施医療機 関の長に提出することが求められる。
2 モニタリング報告書には、日時、場所(実施医療機関名)、モニターの氏名、治験責任医師又はその 他の接触した相手の氏名、モニターが点検した内容の要約及び重要な発見事項あるいは事実、逸脱及び欠陥、結論、治験責任医師等に告げた事項並びに講じられ た若しくは講じられる予定の措置及び本基準等の遵守を確保するために推奨される措置に関するモニターの見解等が記載されていなければならない。
3 自ら治験を実施する者は、モニタリング報告書に関して行った点検とフォローアップについて、自ら治験を実施する者が指名する者に文書化させなければならない。
(監査)
第26条の9 自ら治験を実施する者は、監査に関する計画書及び業務に関する手順書を作成し、第30条第1項に規定する実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を踏まえて、当該計画書及び手順書に従って、監査を実施させなければならない。
2 監査担当者は、当該監査に係る治験を実施する医療機関において当該治験の実施(その準備及び管理を含む。)及びモニタリングに従事してはならない。
3 監査担当者は、監査を実施した場合には、監査で確認した事項を記録した監査報告書及び監査が実施されたことを証明する監査証明書を作成し、これを自ら治験を実施する者及び実施医療機関の長に提出しなければならない。
<第1項>
1 監査の目的は、治験の品質保証のために、治験が本基準、治験実施計画書及び手順書を遵守して行われているか否かを通常のモニタリング及び治験の品質管理業務とは独立・分離して評価することにある。
2 自ら治験を実施する者は、治験のシステム及び個々の治験に対する監査のそれぞれについて、監査の 対象、方法及び頻度並びに監査報告書の様式と内容を記述した監査手順書を作成し、監査が当該手順書及び当該手順書に基づいた監査計画に従って行われること を保証しなければならない。また、監査担当者の要件は、第1項の「業務に関する手順書」に記載されていなければならない。監査の方法(直接閲覧の頻度を含 む。)は、治験の内容(治験のデザイン、実施期間等)を考慮して手順書中に適切に設定すること。
3 治験のシステムに対する監査は、実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設における治験のシステムが適正に構築され、かつ適切に機能しているか否かを評価するために行うものである。
4 個々の治験に対する監査は、当該治験の規制当局に対する申請上の重要性、被験者数、治験の種類と 複雑さ、被験者に対する治験の危険性のレベル及びモニタリング等で見出されたあらゆる問題点を考慮して、実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設に 対する監査の対象及び時期等を決定した上で行うものとする。
5 監査担当者も必要に応じて実施医療機関において実地に監査を行い、原資料を直接閲覧すること等により治験が適切に実施されていること及びデータの信頼性が十分に保たれていることを確認することが求められる。
6 自ら治験を実施する者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に実施医療機関が原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供することを実施医療機関の長の承認文書及び治験実施計画書又は他の合意文書に明記しなければならない。
7 自ら治験を実施する者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に、被験者の原医療記録が直接閲覧されることについて、各被験者が文書により同意していることを確認しなければならない。
<第2項>
1 自ら治験を実施する者は、教育・訓練と経験により監査を適切に行いうる要件を満たしている者を監査担当者として指名しなければならない。
2 自ら治験を実施する者は、実施医療機関に属する者を監査担当者に指定する場合には、当該治験の実施(実施の準備及び管理を含む。)及びモニタリングに従事しない者を選任すること。
<第3項>
1 監査担当者は、監査で発見した事項を文書に記載しなければならない。
2 監査担当者は、監査で確認した事項を記録した監査報告書及び監査証明書を自ら治験を実施する者及 び実施医療機関の長に提出することが求められる。監査報告書には、監査担当者が記名捺印又は署名の上、報告書作成日、被監査部門名、監査の対象、監査実施 日、監査結果(必要な場合には改善提案を含む。)及び当該報告書の提出先が記載されていなければならない。
3 監査機能の独立性と価値を保つために、規制当局は、通常の調査の際には監査報告書の閲覧を求めないこととする。ただし、重大なGCP不遵守が認められる場合には、監査報告書の閲覧を求めることができる。上記1の監査の記録についても同様とする。
(治験の中止等)
第26条の10 自ら治験を実施する者は、実施医療機関がこの省令又は治験実施計画書に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、当該実施医療機関における治験を中止しなければならない。
2 自ら治験を実施する者は、治験を中断し、又は中止する場合には、速やかにその旨及びその理由を実施医療機関の長に文書により通知しなければならない。
3 自ら治験を実施する者は、当該治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料が法第14条第3項に規定する申請書に添付されないことを知り得た場合には、その旨及びその理由を実施医療機関の長に文書により通知しなければならない。
<第1項>
1 自ら治験を実施する者は、モニタリング等により指摘を受ける等実施医療機関がGCP又は治験実施計画書に違反し、適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合には、治験を中止しなければならない。
なお、不遵守のため治験を中止した場合には、自ら治験を実施する者は規制当局に速やかに報告するものとする。
2 被験者の緊急の危険を回避するため、その他医療上やむを得ない理由のために治験実施計画書に従わなかった場合(第46条参照)を除く。
<第2項>
1 自ら治験を実施する者は、治験を中断し、又は中止する場合には、その旨及びその理由を実施医療機関の長に文書により通知することが求められる。
2 自ら治験を実施する者は、治験を中断し、又は中止する場合には、その旨及びその理由を規制当局にも文書により通知することが求められる。
<第3項>
1 当該治験により収集された臨床試験成績に関する資料が承認申請書に添付されないことを知り得た場合にも、その旨及びその理由を実施医療機関の長に文書により通知することが求められる。
2 治験薬提供者は、自ら治験を実施する者が治験を実施した治験薬に係る医薬品についての製造販売の承認申請に関する情報を自ら治験を実施する者に提供すること。
(総括報告書)
第26条の11 自ら治験を実施する者は、治験を終了し、又は中止したときは、総括報告書を作成しなければならない。
1 自ら治験を実施する者は、治験を終了したとき、又は中止したときは、その結果等を取りまとめた総括報告書を手順書に従って作成しなければならない。
2 総括報告書は、「治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン」(平成8年5月1日付薬審第335号)に従って個々の医療機関毎に作成することとするが、多施設共同治験にあっては、各自ら治験を実施する者が共同で作成することができる。
3 総括報告書は、規制当局の求めに応じて提出できるよう保存しておかなければならない。
4 総括報告書には、第26条の9第3項に規定する当該治験に係る監査証明書を添付して保存すること。
(記録の保存等)
第26条の12 自ら治験を実施する者は、次に掲げる治験に関する記録(文書及びデータを含む。)を、治験薬 提供者が被験薬に係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日(第26条の10第3項の規定により通知したときは、通知した日後3年を経過した日)又は 治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間適切に保存しなければならない。
1) 治験実施計画書、承認書、総括報告書その他この省令の規定により自ら治験を実施する者が作成した文書又はその写し
2) 症例報告書、第32条第7項の規定により通知された文書その他この省令の規定により実施医療機関の長又は治験分担医師から入手した記録
3) モニタリング、監査その他の治験の実施の基準及び管理に係る業務の記録(前2号及び第5号に掲げるものを除く。)
4) 治験を行うことにより得られたデータ
5) 第26条の2第5項に規定する記録
1 自ら治験を実施する者は、本条の規定により各号に掲げる治験に関する記録を保存するほか、治験薬に係る医薬品が承認を受けた場合には、当該記録を施行規則第101条の規定に従って保存しなければならない。
なお、当該記録の保存については、自ら治験を実施する者がその所属する実施医療機関の長にその業務 を依頼することができる。また、当該自ら治験を実施する者がその所属する実施医療機関に所属しなくなった場合については、その所属する実施医療機関の長が 当該記録の保存業務を担うことができる。
(参考)薬事法施行規則第101条
(資料の保存)
第101条 承認取得者は、次の各号に掲げる資料を、それぞれ当該各号に掲げる期間保存しなければならない。ただし、資料の性質上その保存が著しく困難であると認められるものにあっては、この限りでない。
1) 法第14条の規定による承認の申請に際して提出した資料の根拠となった資料 承認を受けた日か ら5年間。ただし、法第14条の4第1項の規定による再審査を受けなければならない医薬品又は医療機器(承認を受けた日から再審査が終了するまでの期間が 5年を超えるものに限る。)に係る資料にあっては、再審査が終了するまでの期間
従って、自ら治験を実施する者は、次の1)又は2)の日のうちいずれか遅い日までの間保存しなければならない。
1) 当該被験薬に係る製造販売承認日から5年が経過した日(申請書に添付されないことを知り得た場 合にはその旨の通知がされた日から3年が経過した日)。ただし、薬事法の規定により承認後の再審査を受けなければならない医薬品で、かつ再審査が終了する までの期間が5年を超えるものについては、再審査が終了する日。
2) 治験の中止又は終了後3年が経過した日
2 本条の「記録」には、磁気媒体等に記録されたデータを含むこと。データを適切に保存するためには、セキュリティシステムの保持、データのバックアップの実施等が必要であること。
3 自ら治験を実施する者は、実施医療機関及び当該治験に係る審査を行った治験審査委員会において保存すべき記録について、その保存の必要がなくなった場合には、その旨を実施医療機関の長及び治験審査委員会の設置者に通知しなければならない。
4 自ら治験を実施する者は、データの処理に当たって、電子データ処理システム(遠隔操作電子データシステムを含む。)を用いる場合には、次の事項を実施しなければならない。
1) 電子データ処理システムが、完全性、正確性、信頼性及び意図された性能についての自ら治験を実施する者の要件を満たしていることを保証し、文書化すること(すなわちバリデーションされること。)。
2) 当該システムを使用するための手順書を整備すること。
3) 当該システムが、入力済みのデータを消去することなしに修正が可能で、データ修正の記録をデータ入力者及び修正者が識別されるログとして残せる(すなわち監査証跡、データ入力証跡、修正証跡が残る)ようにデザインされていることを保証すること。
4) データのセキュリティ・システムを保持すること。
5) データのバックアップを適切に行うこと。
6) データの修正を行う権限を与えられた者の名簿を作成し、管理すること。
7) 盲検化が行われている場合には、盲検性が保持されるようにすること。
5 自ら治験を実施する者は、処理中にデータの変換を行う場合には、処理前のデータと処理後のデータを常に対比し得ることを保証しなければならない。
6 自ら治験を実施する者は、各被験者について報告された全てのデータの識別を可能にする明確な被験者識別コードを用いなければならない。
4.第四章 治験を行う基準
4―1 第一節 治験審査委員会
(治験審査委員会の設置)
第27条 実施医療機関の長は、治験を行うことの適否その他の治験に関する調査審議を行わせるため、実施医療 機関ごとに一の治験審査委員会を設置しなければならない。ただし、当該実施医療機関が小規模であること、医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者の 確保が困難であることその他の事由により当該実施医療機関に治験審査委員会を設置することができない場合において、当該治験審査委員会の設置に代えて次に 掲げる治験審査委員会に当該調査審議を行わせるときはこの限りでない。
1) 当該実施医療機関の長が他の医療機関の長と共同で設置した治験審査委員会
2) 民法(明治29年法律第89号)第34条の規定により設立された法人が設置した治験審査委員会
3) 特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人が設置した治験審査委員会
4) 医療関係者により構成された学術団体が設置した治験審査委員会
5) 他の医療機関の長が設置した治験審査委員会(第1号に掲げるものを除く。)
2 前項第2号から第4号までに掲げる治験審査委員会は、その設置をする者(以下「治験審査委員会の設置者」という。)が次に掲げる要件を満たすものでなければならない。
1) 定款、寄付行為その他これらに準ずるものにおいて、治験審査委員会を設置する旨の定めがあること。
2) その役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。次号において同じ。)のうちに医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療関係者が含まれていること。
3) その役員に占める次に掲げる者の割合が、それぞれ3分の1以下であること。
イ 特定の医療機関の職員その他の当該医療機関と密接な関係を有する者
ロ 特定の法人の役員又は職員その他の当該法人と密接な関係を有する者
4) 治験審査委員会の設置及び運営に関する業務を適確に遂行するに足りる財産的基礎を有していること。
5) 財産目録、貸借対照表、損益計算書、事業報告書その他の財務に関する書類をその事務所に備えて置き、一般の閲覧に供していること。
6) その他治験審査委員会の業務の公正かつ適正な遂行を損なうおそれがないこと。
<第1項>
1 実施医療機関の長は、実施医療機関が小規模であること、医療又は臨床試験に関する専門的知識を有 する者を治験審査委員会の委員として確保することが困難であること等の理由により自らの実施医療機関に治験審査委員会を設置することができない場合を除 き、治験の審査を行うため、治験審査委員会を自らの実施医療機関に設置するものとする。
2 「医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者の確保が困難」な場合には、医療又は臨床試験に 関する専門的知識を有する者であって、治験の開始から終了に至るまで継続的に治験に関する調査審議を行うために必要な時間的余裕を有するものを確保するこ とが困難な場合を含むこと。
3 「実施医療機関ごとに一の治験審査委員会を設置しなければならない」とは、各実施医療機関において、治験の開始から終了に至るまで継続的に治験に関する調査審議を行う治験審査委員会を設置するという趣旨である。
4 実施医療機関の長が、当該実施医療機関に治験審査委員会を設置しなくてもよい場合として新たに 「医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者の確保が困難であること」を追加するとともに、ただし書の規定により治験審査委員会を設置する者として、 特定非営利活動法人を追加した。
5 医療機関の長は、実施医療機関が小規模であること、医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する 者を治験審査委員会の委員として確保することが困難であること等の理由により自らの実施医療機関に治験審査委員会を設置することができない場合には、次の いずれかの治験審査委員会に代えることができる。
1) 当該実施医療機関の長が他の医療機関の長と共同で設置した治験審査委員会
2) 民法第34条の規定により設立された法人(以下「公益法人」という。)が設置した治験審査委員会
3) 特定非営利活動促進法の規定により設立された特定非営利活動法人が設置した治験審査委員会
4) 医療関係者により構成された学術団体が設置した治験審査委員会
5) 他の医療機関の長が設置した治験審査委員会(他の複数の医療機関の長の協議により共同で設置した治験審査委員会を含む。)
6 治験審査委員会は新たに行おうとする治験ごとに設置すると解釈されるものであるが、実施医療機関 において既に他の治験に関する調査審議を行わせるため治験審査委員会が設置されている場合には、各号に掲げる治験審査委員会を調査審議の対象となる治験に 関する治験審査委員会とすることが適当であるか否かを実施医療機関の長及び当該既に設置されている治験審査委員会が協議の上、判断すること。この場合にお いて、実施医療機関の長及び当該既に設置されている治験審査委員会が各号に掲げる治験審査委員会に調査審議を行わせることが適当であると判断する場合に は、両者協議の上、適切な治験審査委員会を選択すること。また、各号に掲げる治験審査委員会に調査審議を行わせることが適当であると判断する根拠及び選択 する治験審査委員会が適切であることの根拠に係る協議の記録を作成しておくことが望ましい。
7 新たに行おうとする治験以外の治験に関する調査審議を行う治験審査委員会が既に当該実施医療機関 に設置されている場合には、少なくとも以下の点を考慮し、既に設置されている治験審査委員会を新たに行おうとする治験に関する治験審査委員会として扱うこ との適否の判断を行うこと。
ア 当該既に設置されている治験審査委員会が、新たに行おうとする治験に関する調査審議を十分に行うために必要な専門性を有しているか否か。
イ アにおいて専門性が不足している場合、不足している専門性は外部から科学的な意見を聴くことのみにより補完されるものであるか否か、外部から倫理的妥当性についての意見も含めて聴くことにより補完されるものであるか否か。
ウ アにおいて不足している専門性について、例えば、既に設置されている治験審査委員会の委員に新たに専門家を加える等の方法により補完することはできないか。
エ アにおいて不足している専門性を補完する方法としてウにおいて考慮したものは、治験の開始から終了に至るまで継続的に治験に関する調査審議を行うことができる者であるか否か。
オ アにおいて不足している専門性を補完する方法としてウにおいて考慮したものが、新たに行おうとす る治験に関して各号に掲げる治験審査委員会に調査審議を行わせることである場合には、当該治験審査委員会において、当該実施医療機関に固有の事項を十分に 勘案して調査審議を行うことができるか否か。
8 実施医療機関における治験審査委員会の設置に代えて調査審議を行わせる治験審査委員会は、調査審議の対象となる治験について専門的見地から十分に審議できるものでなければならない。
9 実施医療機関における治験審査委員会の設置に代えて調査審議を行わせる治験審査委員会は、以下の事項を適切に判断できるものでなければならない。
ア 実施医療機関が十分な臨床観察及び試験検査を行うことができるか否か。
イ 緊急時に必要な措置を採ることができるか否か。
ウ 治験責任医師及び治験分担医師が当該治験を実施する上で適格であるか否か。
エ その他調査審議の対象となる治験が倫理的及び科学的に妥当であるか否か及び当該治験が当該実施医療機関において実施又は継続するのに適当であるか否か。
10 実施医療機関における治験審査委員会の設置に代えて調査審議を行わせる治験審査委員会は、9の アからエまでの判断を行うに当たっては、当該実施医療機関の職員又は当該実施医療機関において他の治験に関する調査審議を行わせるために設置された治験審 査委員会から、9のアからエまでの判断を行うために必要な情報を入手する等によりこれを的確に行うこと。
<第2項>
1 治験審査委員会の業務の公正かつ適正な遂行を確保するため、治験審査委員会を設置する者のうち、前項第2号から第4号までに掲げる治験審査委員会を設置する者の満たすべき要件を規定した。
2 第1号においては、治験審査委員会の設置及び運営は、公益事業、特定非営利活動に係る事業等とし て行われるべきものであり、収益事業として行われるべきではないことから、定款又は寄付行為、前項第4号の学術団体(以下「学会」という。)のうち法人格 を有しないものにあってはこれらに準ずるものにおいて、治験審査委員会を設置及び運営する旨を公益事業、特定非営利活動に係る事業等として明記すること。 なお、治験審査委員会の設置及び運営に係る具体的内容については、定款又は寄付行為の細則等に明記することで差し支えない。
治験審査委員会の設置及び運営が公益法人又は特定非営利活動法人の目的を達成するために必要な事業であるか否かは、あらかじめ、それぞれ当該法人の主務官庁又は所轄庁に確認しておくことが適当である。
3 第3号は、被験者の安全性や治験の信頼性が損なわれる恐れがないよう役員構成について一定の要件を求めたものである。
ア 第3号イの「当該医療機関と密接な関係を有する者」には、当該医療機関を設置する者(法人である場合は、その役員)、当該医療機関の長その他当該医療機関と雇用関係のある者などが含まれる。
イ 第3号ロの「特定の法人」には、営利法人のみならず、民法第34条の規定により設立された公益法 人、特定非営利活動法人その他の非営利法人を含む。また、「当該法人と密接な関係を有する者」には、当該法人の役員及び職員のほか、当該法人の子会社の役 員、職員等当該法人に対し、従属的地位にある者を含む。
4 第4号の趣旨は、治験審査委員会を設置する者(以下「治験審査委員会の設置者」という。)は、会 費収入、財産の運用収入、恒常的な賛助金収入等の安定した収入源を有するものであること。ただし、製薬企業、開発業務受託機関(CRO)、治験施設支援機 関(SMO)、医薬品に係る業界団体等からの賛助金(物品の贈与、便宜の供与等を含む。)等については、治験審査委員会による治験の実施又は継続の適否に ついての意見に影響が及ばないと一般に認められる範囲にとどめること。
5 第5号は、法人格を有しない学会においては、第5号に掲げる書類に準ずる財務に関する書類を事務所に備えて置き、一般の閲覧に供することが必要である。
6 第6号の「その他治験審査委員会の業務の公正かつ適正な遂行を損なうおそれがないこと」には以下の事項が含まれる。
ア 治験審査委員会の設置者の役員に、当該治験審査委員会による調査審議の対象となる治験の実施医療 機関の長、治験依頼者の役員、職員その他の治験依頼者と密接な関係を有する者、自ら治験を実施する者その他の自ら治験を実施する者と密接な関係を有する 者、治験責任医師、治験分担医師又は治験協力者を含んでいないこと。なお、「当該治験審査委員会による調査審議の対象となる治験の実施医療機関の長」につ いては、実施医療機関の長が第27条第1項の規定による理由から当該実施医療機関に治験審査委員会を設置できない場合には、実施医療機関ごとに治験審査委 員会を設置しなければならないこと及び実施医療機関の長が治験審査委員会の委員を選任することの原則から、第27条第1項第1号の治験審査委員会を設置す ることが望ましい。
ただし、第27条第1項第1号の治験審査委員会を設置することができない場合であって、当該実施医療機関の長が役員となっている公益法人、特定非営利活動法人又は学会が設置する治験審査委員会に調査審議を行わせざるを得ない場合は、この限りでない。
イ 治験審査委員会の設置者の役員に、当該治験審査委員会による調査審議の対象となる治験との関連の 有無を問わず、製薬企業、開発業務受託機関(CRO)、治験施設支援機関(SMO)、医薬品に係る業界団体等の医薬品の開発に関わる営利法人や営利団体の 役員、職員その他の当該法人又は団体と密接な関係を有する者を含んでいないこと。
ウ 治験審査委員会の設置者の役員に、公益法人、特定非営利活動法人及び学会のうち、当該法人等の事 業として当該治験審査委員会による調査審議の対象となる治験における薬物の開発に関連する事業を行うものの役員、職員又は会員その他当該法人等と密接な関 係を有する者を含んでいないこと。
エ 治験審査委員会の設置者の役員構成は、アからウに定めるほか、被験者の安全性や治験の信頼性が損なわれる恐れがあるとの疑念を抱かせるものでないこと。
オ 治験審査委員会の設置者が収益事業を行う場合においては、当該収益事業は、以下の条件を満たす必要があること。
@ 治験審査委員会の設置及び運営に必要な財産、資金、要員、施設等を圧迫するものでないこと。
A 収益事業の経営は健全なものであり、赤字を生じないこと。
B 収益事業からの収入については、公益法人、特定非営利活動法人又は学会の健全な運営のための資金等に必要な額を除き、治験審査委員会の設置及び運営を含む公益事業、特定非営利活動に係る事業等に用いられなければならないこと。
カ 治験審査委員会の運営を有償で行う場合は、実施医療機関からの審査料を対価とすること。この場合 においては対価の引下げ、治験審査委員会の質の向上のための人的投資等により収入と支出の均衡を図り、公益法人、特定非営利活動法人又は学会の健全な運営 に必要な額以上の利益を生じないようにすること。
キ 役員、社員又は職員等の人件費、退職金等は、公益法人、特定非営利活動法人又は学会の資産及び収 支の状況並びに民間の給与水準と比べて不当に高額に過ぎないものであること。また、治験審査委員会の委員への報酬(旅費、日当等を含む。)は、一般の標準 的な額から不当に高額に過ぎないものとすること。さらに、人件費の管理費に占める割合が適正なものであること。
ク 治験の開始から終了に至るまで、継続的に治験に関する調査審議を行う体制を整えていること。特定非営利活動法人及び法人格を有しない学会においては、合併の規定を設けることが望ましい。
ケ 治験審査委員会の設置者の行う事業として、調査審議の対象となる治験に係る薬物の開発に関わっていないこと。この場合の「調査審議の対象となる治験に係る薬物の開発」とは、当該治験の広告業務、治験施設支援機関の業務等を含む。
コ 調査審議の対象となる治験に関連する製薬企業、開発業務受託機関(CRO)、治験施設支援機関 (SMO)その他当該治験と利害関係を有する者からの賛助金等(物品の贈与、便宜の供与等を含む。)を受けていないこと。ただし、適切な利益相反マネジメ ントの実施等により、治験審査委員会による治験の実施又は継続に係る意見に影響が及ばないと一般に認められる場合はこの限りでない。
サ 調査審議の対象となる治験に関連する営利企業の株式を保有していないこと。ただし、適切な利益相反マネジメントの実施等により、治験審査委員会による治験の実施又は継続に係る意見に影響が及ばないと一般に認められる場合はこの限りでない。
シ 治験審査委員会の設置者が公益法人である場合にあっては、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」(平成8年9月20日閣議決定)に定める基準に適合していること。
(治験審査委員会の構成等)
第28条 治験審査委員会は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。
1) 治験について倫理的及び科学的観点から十分に審議を行うことができること。
2) 5名以上の委員からなること。
3) 委員のうち、医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者以外の者(次号及び第5号の規定により委員に加えられている者を除く。)が加えられていること。
4) 委員のうち、実施医療機関と利害関係を有しない者が加えられていること。
5) 委員のうち、治験審査委員会の設置者と利害関係を有しない者が加えられていること。
2 治験審査委員会の設置者は、次に掲げる事項について記載した手順書及び委員名簿を作成し、当該手順書に従って業務を行わせなければならない。
1) 委員長の選任方法
2) 会議の成立要件
3) 会議の運営に関する事項
4) 第31条第1項の適否の審査の実施時期に関する事項
5) 会議の記録に関する事項
6) 記録の保存に関する事項
7) その他必要な事項
3 治験審査委員会の設置者は、治験審査委員会の事務を行う者を選任しなければならない。
<第1項>
1 治験審査委員会は、治験について倫理的、科学的及び医学的観点から審議及び評価するのに必要な資格及び経験を、委員会全体として保持できる適切な数の委員により構成するものとし、次に掲げる条件を全て満たさなければならない。
1) 少なくとも5人の委員からなること。
2) 少なくとも委員の1人は、医学・歯学・薬学等の自然科学以外の領域に属していること。
3) 少なくとも委員(2)に定める委員を除く。)の1人は、実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設と関係を有していないこと。
4) 少なくとも委員(2)に定める委員を除く。)の1人は、治験審査委員会の設置者と関係を有していないこと。
2 治験審査委員会の委員は、実施医療機関の長又は第27条第1項第2号から第5号までの治験審査委員会の設置者が選任すること。
3 委員の数は、少なくとも5名と規定しているが、委員の数がこれよりも多い場合には、同項第3号、第4号又は第5号の委員の数を増やす等により、委員構成を適正な割合に保つことが必要である。
4 実施医療機関の長は、自らが設置する治験審査委員会に出席することはできるが、委員になること並びに審議及び採決に参加することはできない。
5 実施医療機関の職員等は、「実施医療機関と利害関係を有しない者」に該当しない。
ただし、例えば、実施医療機関が複数の学部を有する大学の医学部の附属病院である場合に、他学部(法学部等)の教員で実施医療機関と業務上の関係のない場合には、「実施医療機関と利害関係を有しない者」の対象と考えられる。
6 治験審査委員会の委員の構成要件として、「委員のうち、治験審査委員会の設置者と利害関係を有しない者が加えられていること」を追加した。
7 第4号及び第5号に該当する委員は、同一人物であることもあり得るが、別人であるか複数であることが望ましい。
8 治験審査委員会の設置者の役員、職員又は会員等は、「治験審査委員会の設置者と利害関係を有しない者」に該当しない。
9 治験審査委員会の各委員は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則、GCP省令、薬事法(昭和35年法律第145号)、その他治験に係る法令及び行政通知等の内容を理解していることが求められる。
10 治験審査委員会は、男女両性で構成されることが望ましい。
11 治験審査委員会は、委員以外の特別な分野の専門家に出席を求め、その協力を得ることができる。
<第2項>
1 治験審査委員会の設置者は、治験審査委員会と協議の上、通常の手続きに関する手順書及び委員名簿 を作成すること。なお、手順書には、以下の事項を含む手続きを規定するものとする。また、専門治験審査委員会にあっては、治験の実施又は継続の適否の判断 の前提となる特定の専門的事項に関する調査審議の手続きについて以下の事項を準用すること。
1) 委員長の選任方法
2) 会議の成立要件
3) 会議の運営に関する事項
ア) 会議の開催日程を決定し、委員に通知し、会議を運営すること。
イ) 治験審査委員会が、次の事項について実施医療機関の長に速やかに文書をもって確実に通知すること。
・治験に関する治験審査委員会の決定
・決定の理由
・委員会の決定に対する異議申立て手続き
ウ) 治験に関する治験審査委員会の意見に関する事項(原則として、次のいずれかに該当するかを示す等)
・承認する。
・修正の上で承認する。
・却下する。
・既に承認した事項を取り消す(治験の中止又は中断を含む。)。
なお、専門治験審査委員会においては、治験の実施又は継続の適否の判断の前提となる特定の専門的事項について、上記の意見の提示のしかたが適切でない場合は、上記以外の陳述等により意見を述べることも妨げられるものではない。
エ) 治験審査委員会により既に承認された進行中の治験に関わる軽微な変更に関して、迅速審査と承認を行う場合の条件(迅速審査の適用範囲、判断する者、審査方法、次回に開催される治験審査委員会への報告等)を定めること。
なお、この場合の「進行中の治験に関わる軽微な変更」とは、治験の実施に影響を与えない範囲で、被 験者に対する精神的及び身体的侵襲の可能性がなく、被験者への危険を増大させない変更をいう。具体的には、治験依頼者の組織・体制の変更、治験の期間が1 年を越えない場合の治験契約期間の延長、実施(契約)症例数の追加又は治験分担医師の追加・削除等が該当する。
オ) その他会議の運営について必要な事項
4) 第31条第1項の継続審査(治験を継続して行うことの適否に関する審議)の実施時期に関する事項
ア) 継続審査について、適切な頻度を決定すること。
イ) 治験審査委員会は、実施中の各治験について、被験者に対する危険の程度に応じて、治験の期間が1年を超える場合には少なくとも1年に1回以上の頻度で治験が適切に実施されているか否かを継続的に審査すること。必要に応じて、治験の実施状況について調査を行うこと。
5) 会議の記録に関する事項
6) 記録の保存に関する事項
7) その他の必要な事項
ア) 治験審査委員会が治験の実施を承認し、これに基づく医療機関の長の指示、決定が文書で通知される前に被験者を治験に参加させないよう求める規定を定めること。
イ) 被験者に対する緊急の危険を回避するためなど医療上やむを得ない場合、又は変更が事務的事項に 関するものである場合(例:モニターの変更や電話番号の変更)を除き、治験審査委員会から承認の文書を得る前に治験実施計画書からの逸脱又は変更を開始し ないよう求める規定を定めること。
ウ) 治験責任医師又は治験依頼者が以下の事項を実施医療機関の長を経由して治験審査委員会に速やかに文書で報告するよう求める規定を定めること。
・被験者に対する緊急の危険を回避するなど医療上やむを得ない事情のために行った治験実施計画書からの逸脱又は変更
・被験者に対する危険を増大させるか又は治験の実施に重大な影響を及ぼす治験に関するあらゆる変更
・全ての重篤で予測できない副作用等
・被験者の安全又は当該治験の実施に悪影響を及ぼす可能性のある新たな情報
・治験期間中、審査の対象となる文書が追加、更新又は改訂された場合は、これを速やかに提出するよう求める規定を定めること。
エ) 被験者に対して直接の臨床的利益が期待できない非治療的な治験であって、被験者の同意を得るこ とが困難な者を対象とすることが予測される治験(第7条第2項又は第15条の4第2項参照)について承認する場合には、かかる被験者の参加を承認する旨を 承認文書に記載する旨の規定を定めること。
オ) 緊急状況下における救命的治験において、被験者による事前の同意を得ることが不可能で、かつ、 被験者の代諾者と連絡がとれない場合にも治験が行われることが予測される治験(第7条第3項、第15条の4第3項及び第55条第2項参照)について承認す る場合には、かかる場合に、治験責任医師等が速やかに被験者又は代諾者となるべき者に対して説明した経緯と結果を治験審査委員会に報告するよう承認文書に 記載する旨の規定を定めること。
カ) 第32条第3項の規定により、治験審査委員会が事態の緊急性ゆえに速やかに意見を述べなければならない事項について、あらかじめ第28条第2項に規定する手順書により明確にしておくことが適当であること。
2 第2号の「会議の成立要件」は、少なくとも第1項の要件を満たし、第1項第3号、第4号及び第5 号の委員の出席の扱いを明確にしておく必要がある。被験者の人権に係る事項を調査審議する治験審査委員会の責務に鑑み、これらの委員の出席は、会議の成立 に欠かせないものであること。また、「会議の成立要件」には、審議及び採決には過半数ただし最低でも5名以上の委員の出席が必要である旨を明確にしておく 必要がある。
3 治験審査委員会は、調査審議を行おうとするすべての治験について適切に対応した手順書及び委員名簿を備えていなければならない。
4 治験審査委員会の設置者が、多数の委員候補を常時確保し、その中から新たに調査審議を行おうとす る治験ごとに適切な委員を選任し、委員名簿を作成することは差し支えない。この場合、当該名簿の委員構成は治験の開始から終了に至るまで一貫性のある調査 審議を行うことができるものであること。
5 第3号の「会議の運営に関する事項」には、既に承認された進行中の治験に係る軽微な変更について迅速審査を行う場合の条件等の事項が含まれていること。
6 第5号の「会議の記録」には、審議の結論(承認、不承認等)だけでなく、審議及び採決に参加した委員名簿及び議事要旨が記載されていなければならない。
<第3項>
1 治験審査委員会の設置者は、治験審査委員会の事務を行う者を選任し、又はその組織を設けるものとする(以下「治験審査委員会事務局」という。)。
2 「治験審査委員会事務局」は、第38条の「治験に係る業務に関する事務を行う者」が兼ねることができる。
(治験審査委員会の会議)
第29条 次に掲げる委員は、審査の対象となる治験に係る審議及び採決に参加することができない。
1) 治験依頼者の役員又は職員その他の治験依頼者と密接な関係を有する者
2) 自ら治験を実施する者又は自ら治験を実施する者と密接な関係を有する者
3) 実施医療機関の長、治験責任医師等又は治験協力者
2 審議に参加していない委員は、採決に参加することができない。
<第1項>
1 当該治験の治験依頼者又は治験責任医師と関係のある委員は、治験審査委員会における当該治験に関する事項の審議及び採決に参加できない。
2 「その他の治験依頼者と密接な関係を有する者」とは、例えば、治験依頼者の親会社又は子会社の役員若しくは職員、及び当該治験の準備、依頼又は管理に係る業務の一部を受託する開発業務受託機関の職員等がこれに該当する。
3 「自ら治験を実施しようとする者又は自ら治験を実施する者と密接な関係を有する者」とは、例え ば、自ら治験を実施する者の上司又は部下等がそれに該当するものと考えられる。なお、自ら治験を実施する者と実施医療機関内で共同研究を行っている者につ いては、当該共同研究が当該治験と関係がないことが確認できる場合には、それに該当しないと考えられる。また、治験薬提供者又は例えば、当該治験薬提供者 から継続的に報酬を得ている者その他当該治験薬提供者と密接な関係を有する者はそれに該当するものと考えられる。
4 治験責任医師は、その関与する治験について、治験審査委員会に情報を提供することは許されるが、当該治験の審議及び採決には参加できない。治験分担医師及び治験協力者も同様である。
5 実施医療機関の長は、他の実施医療機関の長が設置した治験審査委員会、公益法人が設置した治験審 査委員会、特定非営利活動法人が設置した治験審査委員会、医療関係者により構成された学術団体が設置した治験審査委員会の委員になることはできるが、自ら の医療機関が行う治験についての審議及び採決には参加することはできない。
<第2項>
1 治験審査委員会の採決には、審議に参加した委員のみが参加を許されるものとする。
2 治験審査委員会は、あらかじめ開催が通知され、手順書に規定する定足数以上の委員が出席した会議においてその意思を決定するものとする。
(治験審査委員会の審査)
第30条 実施医療機関の長は、当該実施医療機関において治験を行うことの適否について、あらかじめ、実施医 療機関設置治験審査委員会(第27条第1項本文の規定により設置した治験審査委員会をいう。以下同じ。)又は同項ただし書の規定により調査審議を行わせる こととした治験審査委員会(以下「実施医療機関等設置治験審査委員会」と総称する。)の意見を聴かなければならない。
2 実施医療機関の長は、第27条第1項ただし書の規定により同項第2号から第5号までに掲げる治験審査委員会に調査審議を行わせることとする場合には、あらかじめ、次に掲げる事項を記載した文書により当該治験審査委員会の設置者との契約を締結しなければならない。
1) 当該契約を締結した年月日
2) 当該実施医療機関及び当該治験審査委員会の設置者の名称及び所在地
3) 当該契約に係る業務の手順に関する事項
4) 当該治験審査委員会が意見を述べるべき期限
5) 被験者の秘密の保全に関する事項
6) その他必要な事項
3 前項の契約の締結については、第12条第2項から第6項までの規定を準用する。この場合において、これら の規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「実施医療機関の長」と、「受託者」とあるのは「第27条第1項ただし書の規定により調査審議を行わせ る治験審査委員会(同項第1号に掲げる治験審査委員会を除く。)の設置者」と読み替えるものとする。
4 実施医療機関の長は、第1項の規定により実施医療機関設置治験審査委員会の意見を聴くに当たり、治験を行 うことの適否の判断の前提となる特定の専門的事項を調査審議させるため必要があると認めるときは、当該実施医療機関設置治験審査委員会の承諾を得て、当該 専門的事項について当該実施医療機関設置治験審査委員会以外の治験審査委員会(第27条第1項各号に掲げるもの(同項第2号から第4号までに掲げるものに あっては、同条第2項各号に掲げる要件を満たすものに限る。)に限る。)の意見を聴くことができる。
5 実施医療機関の長は、前項の規定により意見を聴いた治験審査委員会(以下「専門治験審査委員会」という。)が意見を述べたときは、速やかに当該意見を実施医療機関設置治験審査委員会に報告しなければならない。
6 実施医療機関の長は、第4項の規定により専門治験審査委員会(第27条第1項第1号に掲げる治験審査委員会を除く。)の意見を聴く場合には、あらかじめ、次に掲げる事項を記載した文書により当該専門治験審査委員会の設置者との契約を締結しなければならない。
1) 当該契約を締結した年月日
2) 当該実施医療機関及び当該専門治験審査委員会の設置者の名称及び所在地
3) 当該契約に係る業務の手順に関する事項
4) 当該専門治験審査委員会が調査審議を行う特定の専門的事項の範囲及び当該専門治験審査委員会が意見を述べるべき期限
5) 被験者の秘密の保全に関する事項
6) その他必要な事項
7 前項の契約の締結については、第12条第2項から第6項までの規定を準用する。この場合において、これら の規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「実施医療機関の長」と、「受託者」とあるのは「第30条第5項に規定する専門治験審査委員会(第27 条第1項第1号に掲げる治験審査委員会を除く。)の設置者」と読み替えるものとする。
8 実施医療機関の長は、当該実施医療機関において治験を行うことの適否について、実施医療機関等設置治験審 査委員会以外の治験審査委員会(第27条第1項各号に掲げるもの(同項第2号から第4号までに掲げるものにあっては、同条第2項各号に掲げる要件を満たす ものに限る。)に限る。以下「第三者治験審査委員会」という。)の意見を聴くことができる。
9 実施医療機関の長は、前項の規定により第三者治験審査委員会(第27条第1項第1号に掲げる治験審査委員会を除く。)の意見を聴く場合には、あらかじめ、次に掲げる事項を記載した文書により当該第三者治験審査委員会の設置者との契約を締結しなければならない。
1) 当該契約を締結した年月日
2) 当該実施医療機関及び当該第三者治験審査委員会の設置者の名称及び所在地
3) 当該契約に係る業務の手順に関する事項
4) 当該第三者治験審査委員会が意見を述べるべき期限
5) 被験者の秘密の保全に関する事項
6) その他必要な事項
10 前項の契約の締結については、第12条第2項から第6項までの規定を準用する。この場合において、これ らの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「実施医療機関の長」と、「受託者」とあるのは「第30条第8項に規定する第三者治験審査委員会(第 27条第1項第1号に掲げる治験審査委員会を除く。)の設置者」と読み替えるものとする。
11 実施医療機関の長は、第1項、第4項又は第8項の規定により、第27条第1項第2号から第5号までに掲げる治験審査委員会に意見を聴くときは、第28条第2項に規定する当該治験審査委員会の手順書及び委員名簿を入手しなければならない。
<第1項>
1 実施医療機関の長は、当該実施医療機関において治験を行うことの適否について、あらかじめ、第 27条第1項の規定による当該治験を行うことの適否等の調査審議を行わせるために設置した治験審査委員会(実施医療機関設置治験審査委員会)又は当該治験 審査委員会の設置に代えて当該調査審議を行わせることとした治験審査委員会(実施医療機関設置治験審査委員会を含めて「実施医療機関等設置治験審査委員 会」と総称する。)の意見を聴かなければならない。
2 実施医療機関の長は、治験を行うことの適否について実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を聴く際は、第32条第1項各号に掲げられた文書を当該治験審査委員会に提出すること。
3 実施医療機関の長は、実施医療機関設置治験審査委員会を設置した場合には、当該医療機関における治験の実施について当該治験審査委員会に意見を求めるものとする。
4 実施医療機関の長は、実施医療機関が小規模であること、医療又は臨床試験に関する専門的知識を有 する者の確保が困難であること等の理由により実施医療機関設置治験審査委員会を設置することができない場合であって、複数の医療機関の長の協議により共同 で治験審査委員会を設置した場合には、当該医療機関における治験について当該共同で設置した治験審査委員会に意見を求めるものとする。
5 実施医療機関の長は、実施医療機関が小規模であること、医療又は臨床試験に関する専門的知識を有 する者の確保が困難であること等の理由により実施医療機関設置治験審査委員会を設置することができず、かつ共同の治験審査委員会を設置しない場合には、当 該医療機関における治験の実施について、第27条第1項第2号から第5号までに規定する治験審査委員会に意見を求めるものとする。
注1) 実施医療機関の長は、治験責任医師に対して治験の実施を了承する前に、治験審査委員会に治験 の実施について意見を求めるため、治験依頼者、自ら治験を実施しようとする者又は治験責任医師から提出された治験審査委員会の審査の対象となる文書(第 32条第1項参照)の最新のものを治験審査委員会に提出するものとする。
注2) 多施設共同治験や治験の特性からみて専門的事項の意見聴取を行う等の場合において、実施医療 機関の長は、第27条第1項本文の規定により設置した実施医療機関設置治験審査委員会に意見を聴く場合に、当該実施医療機関設置治験審査委員会が審議を行 うにあたり有用と判断したときは、実施医療機関設置治験審査委員会以外の外部の機関の意見を参考に審議を行うことができる。ただし、この場合において、当 該実施医療機関の長は、当該外部機関の意見を参考にしたか否かにかかわらず、実施医療機関設置治験審査委員会の意見に基づき、治験の依頼を受け、治験の実 施を承認し、治験の契約を解除し、又は治験を中止させることなどを行うこと。
<第2項>
1 実施医療機関の長は、実施医療機関の長以外の者が設置した実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を聴くこととする場合には、当該治験審査委員会の設置者と契約を締結しなければならない。
2 実施医療機関の長及び実施医療機関等設置治験審査委員会の設置者は、当該治験審査委員会が適正に治験の実施又は継続の適否等について意見を述べるために必要な情報の授受の手順等について、あらかじめ契約に盛り込んでおく必要がある(第3号)。
3 調査審議の対象となる治験の特性に応じて、当該治験の実施又は継続の適否等についての意見を実施医療機関等設置治験審査委員会が述べるべき期限について、あらかじめ契約に盛り込んでおく必要がある(第4号)。
4 被験者の秘密の保全を担保するために講ずる措置の内容等について、あらかじめ契約に盛り込んでおく必要がある(第5号)。
<第3項>
1 本条第2項の規定による契約は、電磁的方法により行うことができる。
<第4項>
1 実施医療機関の長が治験の実施又は継続の適否について調査審議を行わせるために実施医療機関設置 治験審査委員会に意見を聴く場合において、実施医療機関の長が、特定の専門的事項について他の治験審査員会の意見を聴く必要があると認めるときは、当該他 の治験審査委員会の意見を聴くことができる。なお、第4項の規定により意見を聴く治験審査委員会については、第27条第1項各号(第2号から第4号までに 掲げるものにあっては、第27条第2項に規定する要件を満たすものに限る。)に掲げる治験審査委員会に該当するものでなければならない。
2 実施医療機関の長は、治験の実施の適否の判断の前提となる特定の専門的事項について他の治験審査 委員会の意見を聴くことが必要であると判断するに当たっては、当該治験の実施の適否について調査審議を行わせるために実施医療機関設置治験審査委員会の意 見を聴くことが適当である。この場合において、実施医療機関の長及び当該治験審査委員会が他の治験審査委員会の意見を聴くことが適当であると判断する場合 には、両者協議の上、適切な治験審査委員会を選択すること。
3 実施医療機関の長は、第4項の規定により専門的事項について他の治験審査委員会の意見を聴くに当たっては、少なくとも以下の点を考慮する必要がある。
ア 第1項に規定する実施医療機関設置治験審査委員会が、調査審議の対象となる治験の実施又は継続の適否について調査審議を十分に行うに足りる専門性を有しているか否か。
イ アにおいて専門性が不足している場合、不足している専門性は外部から科学的な意見を聴くことのみにより補完されるものであるか否か、外部から倫理的妥当性についての意見も含めて聴くことにより補完されるものであるか否か。
ウ アにおいて不足している専門性について、例えば、実施医療機関設置治験審査員会の委員に新たに専門家を加える等の方法により補完することはできないか。
エ アにおいて不足している専門性を補完する方法としてウにおいて考慮したものは、治験の開始から終了に至るまで継続的に治験に関する調査審議を行うことができる者であるか否か。
オ アにおいて不足している専門性を補完する方法としてウにおいて考慮したものが、他の治験審査委員 会に特定の専門的事項についての調査審議を行わせることである場合には、当該他の治験審査委員会と実施医療機関設置治験審査委員会の間で無用な審議の重複 を避ける一方で、必要な情報は共有するといった適切な役割分担と連携が可能であるか否か。
4 治験の実施又は継続の適否の判断の前提となる特定の専門的事項を調査審議させる治験審査委員会は、当該事項を専門的見地から十分に審議できるものでなければならない。
<第6項>
1 実施医療機関の長は、第4項の規定により特定の専門的事項について当該実施医療機関の長以外の者が設置した治験審査委員会の意見を聴く場合には、当該治験審査委員会の設置者と文書による契約を締結しなければならない。
2 実施医療機関の長及び専門治験審査委員会を設置する者は、当該専門治験審査委員会が適正に特定の専門的事項についての意見を述べるために必要な情報の授受の手順等について、あらかじめ契約に盛り込んでおく必要がある(第3号)。
3 専門治験審査委員会が調査審議を行う対象となる特定の専門的事項の範囲及び当該専門的事項の特性に応じて専門治験審査委員会が意見を述べるべき期限について、あらかじめ契約に盛り込んでおく必要がある(第4号)。
4 専門治験審査委員会の設置者が被験者の秘密の保全を担保するために講ずる措置の内容等についてあらかじめ契約に盛り込んでおく必要がある(第5号)。
<第7項>
1 第6項の規定による契約は、電磁的方法により行うことができる。
<第8項>
1 実施医療機関の長は、適当と判断する場合には、第1項の規定により意見を聴く実施医療機関等設置 治験審査委員会に加えて、第三者治験審査委員会に治験を行うことの適否についての意見を聴くことができる。なお、第三者治験審査委員会については、第27 条第1項各号(第2号から第4号までに掲げるものにあっては、第27条第2項に規定する要件を満たすものに限る。)に掲げる治験審査委員会に該当するもの でなければならない。
<第9項>
1 実施医療機関の長は、第三者治験審査委員会の意見を聴くこととする場合には、当該第三者治験審査委員会の設置者と契約を締結しなければならない。
2 実施医療機関の長及び第三者治験審査委員会(第8項に規定する第三者治験審査委員会をいう。以下 同じ。)を設置する者は、当該第三者治験審査委員会が適正に治験の実施の適否について意見を述べるために必要な情報の授受の手順等について、あらかじめ契 約に盛り込んでおく必要がある(第3号)。
3 治験の特性に応じて、当該治験の実施の適否について第三者治験審査委員会が意見を述べるべき期限について、あらかじめ契約に盛り込んでおく必要がある(第4号)。
4 被験者の秘密の保全を担保するために講ずる措置の内容等についてあらかじめ契約に盛り込んでおく必要がある(第5号)。
<第10項>
1 本条第9項の規定による契約は、電磁的方法により行うことができる。
<第11項>
1 実施医療機関の長は、第27条第1項第2号から第5号に掲げる治験審査委員会に意見を聴くとき は、第28条第2項に規定する当該治験審査委員会の標準業務手順書及び委員名簿をあらかじめ入手しておかなければならない。なお、第4項又は第8項の規定 に従い第1項に規定する治験審査委員会に加えて、他の治験審査委員会にも意見を求める場合においても同様とする。
2 治験審査委員会の設置者は、実施医療機関の長(当該治験審査委員会の設置者でない実施医療機関の 長が当該治験審査委員会に意見を求める場合)、治験依頼者又は自ら治験を実施しようとする者から、治験審査委員会の標準業務手順書及び委員名簿の提示を求 められた場合には、これに応じなければならない。
注) 継続審査等については第31条を参照のこと。
(継続審査等)
第31条 実施医療機関の長は、治験の期間が1年を越える場合には、1年に1回以上、当該実施医療機関におい て治験を継続して行うことの適否について前条第1項の規定により意見を聴いた実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を、当該治験を継続して行うことの適 否の判断の前提となる特定の専門的事項について前条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合にあっては当該専門治験審査委員会の意見 を聴かなければならない。
2 実施医療機関の長は、第20条第2項、第26条の6第2項並びに第48条第2項及び第3項の規定により通 知を受けたとき、第54条第3項の規定により報告を受けたときその他実施医療機関の長が必要があると認めたときは、当該実施医療機関において治験を継続し て行うことの適否について前条第1項の規定により意見を聴いた実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を、当該治験を継続して行うことの適否の判断の前提 となる特定の専門的事項について前条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合にあっては当該専門治験審査委員会の意見を聴かなければ ならない。
3 前2項の規定により専門治験審査委員会の意見を聴く場合については、前条第5項の規定を準用する。
4 実施医療機関の長は、第26条の8第2項に規定するモニタリング報告書を受け取ったとき又は第26条の9 第3項に規定する監査報告書を受け取ったときは、当該実施医療機関において治験が適切に行われているかどうか又は適切に行われたかどうかについて、前条第 1項の規定により意見を聴いた実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を聴かなければならない。
<第1項>(第28条第2項第4号参照)
1 実施医療機関の長は、治験の期間が1年を越える場合には、1年に1回以上、当該実施医療機関にお いて治験を継続して行うことの適否について第30条第1項の規定により意見を聴いた実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を聴くほか、当該治験を継続し て行うことの適否の判断の前提となる特定の専門的事項について第30条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合には、当該専門治験審 査委員会の意見を聴かなければならない。
2 実施医療機関等設置治験審査委員会及び第30条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員 会がある場合には当該専門治験審査委員会は、実施中の各治験について、被験者に対する危険の程度に応じて、少なくとも1年に1回の頻度で治験が適切に実施 されているか否かを継続的に審査するものとする。また、必要に応じて、治験の実施状況について調査を行うものとする。
3 継続審査を行う治験審査委員会は第30条第1項の規定により意見を聴いた実施医療機関等設置治験審査委員会及び第30条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合には当該専門治験審査委員会である。
<第2項>
1 実施医療機関の長は、副作用情報等の報告等を受けたときは、当該実施医療機関において治験を継続 して行うことの適否について第30条第1項の規定により意見を聴いた実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を聴くほか、当該治験を継続して行うことの適 否の判断の前提となる特定の専門的事項について第30条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合には、当該専門治験審査委員会の意見 を聴かなければならない。
2 実施医療機関等設置治験審査委員会又は専門治験審査委員会の意見を聴く場合には、これらの治験審 査委員会が事態の緊急性に応じて速やかに意見を述べることができるよう、実施医療機関の長は、第30条第2項若しくは第30条第6項の規定による契約又は 第28条第2項に規定する手順書において治験審査委員会との連絡方法等について明らかにしておくことが必要である。
3 実施医療機関の長は、重篤で予測できない副作用等について治験依頼者から通知を受けた場合(第 20条第2項参照)、重篤な有害事象について治験責任医師から報告又は通知を受けた場合(第48条第2項)、及び治験に継続して参加するかどうかについて 被験者の意思に影響を与えるものと認められる情報を入手し、説明文書を改訂した旨治験責任医師から報告を受けた場合(第54条第3項参照)、その他実施医 療機関の長が、必要であると認めたときは第30条第1項の規定により意見を聴いた実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を、第30条第4項の規定により 意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合には当該専門治験審査委員会の意見を聴くこと。
注1) 実施医療機関の長は、治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書(第32条第 1項参照)を最新のものにしなければならない。治験依頼者から追加、更新又は改訂された当該文書が提出された場合には治験審査委員会及び治験責任医師に、 治験責任医師から追加、更新又は改訂された当該文書が提出された場合には治験審査委員会及び治験依頼者に、それらの当該文書の全てを速やかに提出しなけれ ばならない。
注2) 治験依頼者は、治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書のうち、治験依頼者が提出すべき文書を最新のものにしなければならない。当該文書が追加、更新又は改訂された場合には、その全てを速やかに実施医療機関の長に提出すべきものとする。
注3) 治験責任医師は、治験実施前及び治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書の うち、治験責任医師が提出すべき文書を最新のものにしなければならない。当該文書が追加、更新又は改訂された場合には、その全てを速やかに実施医療機関の 長に提出すべきものとする。
4 実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者の行う治験について治験中の副作用に関する報告を受け たとき、治験薬の副作用によると疑われる死亡その他重篤な有害事象の発生を認め治験責任医師から報告を受けた場合その他必要と認めるときは、治験の継続の 適否について実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を、第30条第4項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合には当該専門治験審査委員 会の意見を聴くことが求められる。
<第3項>
1 実施医療機関の長は、第1項又は第2項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会が意見を述べたときは、速やかに当該意見を実施医療機関設置治験審査委員会に報告しなければならない。
<第4項>
1 実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者の行う治験について、モニタリングの報告書又は監査報告書を受け取ったときは、当該実施医療機関における治験の実施の適切性について、実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を聴くことが求められる。
なお、本項の趣旨は、モニタリング又は監査が適切に実施されたことを確認するための規定であり、自 ら治験を実施する者が行う治験が適切に行われたことについて、モニタリング又は監査に関して、実施医療機関等設置治験審査委員会による確認も合わせて実施 することにより、モニタリング、監査及び実施医療機関等設置治験審査委員会が相互に点検する趣旨のものである。
(治験審査委員会の責務)
第32条 実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会は、第30条第1項又は第8項の規定に より実施医療機関の長から意見を聴かれたときは、審査の対象とされる治験が倫理的及び科学的に妥当であるかどうかその他当該治験が当該実施医療機関におい て行うのに適当であるかどうかを、次に掲げる資料に基づき審査し、文書により意見を述べなければならない。
1) 第10条第1項各号又は第15条の7各号に掲げる文書
2) 被験者の募集の手順に関する資料
3) 第7条第5項又は第15条の4第4項に規定する情報その他治験を適正に行うために重要な情報を記載した文書
4) 治験責任医師等となるべき者の履歴書
5) その他当該治験審査委員会が必要と認める資料
2 専門治験審査委員会は、第30条第4項の規定により実施医療機関の長から意見を聴かれたときは、審査の対 象とされる特定の専門的事項について前項各号に掲げる資料(当該専門治験審査委員会が必要と認めるものに限る。)に基づき審査し、文書により意見を述べな ければならない。
3 実施医療機関等設置治験審査委員会及び専門治験審査委員会は、前条第1項又は第2項の規定により実施医療 機関の長から意見を聴かれたときは、実施医療機関等設置治験審査委員会にあっては当該実施医療機関において当該治験が適切に行われているかどうかを調査し た上、当該実施医療機関において治験を継続して行うことの適否を審査し、文書により意見を、専門治験審査委員会にあっては意見を聴かれた特定の専門的事項 について調査をした上、当該治験を継続して行うことの適否の判断の前提となる専門的事項を審査し、文書により意見を、それぞれ意見を聴かれた事項に係る事 態の緊急性に応じて速やかに述べなければならない。
4 実施医療機関等設置治験審査委員会は、前条第4項の規定により、実施医療機関の長から意見を聴かれたときは、当該実施医療機関において当該治験が適切に行われているかどうか又は適切に行われていたかどうかについて審査し、文書により意見を述べなければならない。
5 第30条第4項の規定により実施医療機関の長が専門治験審査委員会の意見を聴いた場合においては、実施医 療機関設置治験審査委員会は、第1項又は第3項の規定により意見を述べるに当たり、同条第5項(前条第3項において準用する場合を含む。)の規定により報 告された当該専門治験審査委員会の意見を踏まえて、これを行わなければならない。
6 実施医療機関の長は、第1項の規定による実施医療機関等設置治験審査委員会若しくは第三者治験審査委員会 の意見又は第3項の規定による実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を治験の依頼をしようとする者又は治験依頼者及び治験責任医師となるべき者又は治験 責任医師に文書により通知しなければならない。
7 実施医療機関の長は、第1項の規定による実施医療機関等設置治験審査委員会若しくは第三者治験審査委員会 の意見又は第3項若しくは第4項の規定による実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を自ら治験を実施しようとする者又は自ら治験を実施する者に文書によ り通知しなければならない。
8 第6項に規定する文書による通知については、第10条第2項から第6項までの規定を準用する。この場合に おいて、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「実施医療機関の長」と、「実施医療機関の長」とあるのは「治験の依頼をしようとする者 又は治験依頼者」と読み替えるものとする。
<第1項><第2項>
1 治験審査委員会は、全ての被験者の人権、安全及び福祉を保護しなければならない。社会的に弱い立場にある者を被験者とする可能性のある治験には特に注意を払わなければならない。
2 治験審査委員会は、その責務の遂行のために、審査対象として以下の文書の最新のものを実施医療機関の長から入手しなければならない(専門治験審査委員会にあっては、専門治験審査委員会が必要と認めるものに限る。)。
1) 治験の依頼をしようとする者による治験においては第10条第1項各号に掲げる文書。
ア) 治験実施計画書
イ) 治験薬概要書
ウ) 症例報告書の見本
エ) 説明文書(説明文書と同意文書は一体化した文書又は一式の文書として取扱われたい(第2条の解説の10の1)のウ)を参照。)
オ) 治験責任医師及び治験分担医師の氏名を記載した文書
カ) 治験の費用の負担について説明した文書
キ) 被験者の健康被害の補償について説明した文書
2) 自ら治験を実施しようとする者による治験においては第15条の7各号に掲げる文書。
ア) 治験実施計画書(第15条の4第4項の規定により改訂されたものを含む。)
イ) 治験薬概要書(第15条の5第2項の規定により改訂されたものを含む。)
ウ) 症例報告書の見本
エ) 説明文書
オ) モニタリングに関する手順書
カ) 監査に関する計画書及び業務に関する手順書
キ) 治験分担医師となるべき者の氏名を記載した文書
ク) 治験薬の管理に関する事項を記載した文書
ケ) この省令の規定により自ら治験を実施する者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項を記載した文書
コ) 治験の費用に関する事項を記載した文書
サ) 被験者の健康被害の補償に関する事項を記載した文書
シ) 実施医療機関が自ら治験を実施する者の求めに応じて第41条第2項各号に掲げる記録(文書を含む。)を閲覧に供する旨を記載した文書
ス) 実施医療機関がこの省令又は治験実施計画書に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、自ら治験を実施する者は治験を中止することができる旨を記載した文書
セ) その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項を記載した文書
注) 第20条第3項又は第26条の6第3項により治験実施計画書・治験薬概要書が、第54条第2項により説明文書が改訂される場合がある。
3) 被験者の募集手順(広告等)に関する資料。
4) 被験者の安全等に係る報告(第7条第5項又は第15条の4第4項に規定する情報その他治験を適正に行うために重要な情報を記載した文書(第31条第2項参照)。
5) 治験責任医師等となるべき者の履歴書。なお、「治験責任医師等となるべき者の履歴書」には、当該治験責任医師等の学歴とともに、治験総括医師、治験担当医師その他医学的な専門家として治験に参加した経歴等や学会の認定医等の情報も含んだものであることが望ましい。
6) その他治験審査委員会が必要と認める資料(被験者への支払い(支払いがある場合)、予定される治験費用に関する資料及び健康被害に対する補償に関する資料等。)。
3 治験審査委員会は、第30条第1項、第4項又は第8項の規定により、意見を聴かれたときは、倫理 的、科学的及び医学的妥当性の観点から治験の実施について適切な期間内に審査を行い、その意見を文書で表明し、実施医療機関の長に通知しなければならな い。文書には審査対象の治験、審査した資料、審査日及び当該治験に対する治験審査委員会の意見が原則として次の1)から3)のいずれに該当するかについて 明確に示されていなければならない。
1) 承認する
2) 修正の上で承認する
3) 却下する
なお、専門治験審査委員会においては、治験の実施の適否の判断の前提となる特定の専門的事項について、上記の意見の提示のしかたが適切でない場合は、上記以外の陳述等により意見を述べることも妨げられるものではない。
4 治験審査委員会は、実施医療機関が十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ、かつ、緊急時に必要な措置を採ることができるなど、当該治験を適切に実施することができるか否かを検討するものとする。
5 治験審査委員会は、治験責任医師及び治験分担医師が当該治験を実施する上で適格であるか否かをその最新の履歴書等により検討するものとする。
6 治験審査委員会は、被験者の人権、安全及び福祉を保護する上で追加の情報が意味のある寄与をすると判断した場合には、説明文書に求められる事項(第51条参照)以上の情報を被験者に提供するように要求することができる。
7 被験者の代諾者の同意に基づき、被験者に対して直接の臨床的利益が予期されない非治療的な治験が 行われることが計画されている場合(第7条第2項、第15条の4第2項参照)には、治験審査委員会は、提出された治験実施計画書及びその他の文書が、関連 する倫理的問題を適切に配慮しており、かつ第7条第2項又は第15条の4第2項の規定に従っているものであることを確認しなければならない。なお、治験審 査委員会の承認文書中に、同意を得ることが困難な者を対象とすることを承認する旨が明記されていなければならない(第28条第2項参照)。
8 被験者及びその代諾者の事前の同意を得ることが不可能な緊急状況下における救命的治験が行われる ことが計画されている場合(第7条第3項、第15条の4第3項参照)には、治験審査委員会は、提出された治験実施計画書及びその他の文書が、関連する倫理 的問題を適切に配慮しており、かつ第7条第3項又は第15条の4第3項の規定に従っているものであることを確認しなければならない。なお、治験審査委員会 の承認文書中に、被験者及び代諾者の同意なしに治験に加わった者の人権、安全及び福祉を保護する方法が明記されていなければならない(第28条第2項参 照)。
9 治験審査委員会は、被験者に対する支払いがある場合には、その支払額及び支払方法を審査し、これ らが被験者に治験への参加を強制したり、不当な影響を及ぼさないことを確認しなければならない。被験者への支払いは参加期間等によって案分されなければな らず、被験者が治験を完遂しなければ支払いが全くなされないような方法は不適当である。
10 治験審査委員会は、被験者に対する支払いがある場合には、その支払方法、支払金額、支払時期等の情報が説明文書に記述されていることを確認し、参加期間等による案分の方法が明記されていることを確認しなければならない。
11 治験審査委員会は、治験依頼者から支払われることが予定されている治験費用又は自ら治験を実施する者が確保する治験費用について、その内容及び支払方法又は確保の方法を審査し、これらが適正であるか否かを確認しなければならない。
12 専門治験審査委員会は、第30条第4項の規定により実施医療機関の長から意見を聴かれた場合に は、当該意見を聴かれた専門的事項の科学的、倫理的妥当性について意見を述べなければならない。なお、専門治験審査委員会においては、治験の実施の適否の 判断の前提となる特定の専門的事項に関する調査審議について3から11までを準用する。
<第3項>
1 実施医療機関等設置治験審査員会及び専門治験審査委員会は、第31条第1項又は第2項の規定により意見を聴かれた場合には、それぞれ意見を聴かれた事項に係る事態の緊急性に応じて速やかに意見を述べなければならない。
2 治験審査委員会は、第31条第1項又は第2項の規定により実施医療機関の長から治験の継続の適否 について意見を聴かれたときは、当該治験の実施状況について必要に応じて調査した上、倫理的、科学的及び医学的妥当性の観点から、治験の継続について事態 の緊急性に応じて速やかに審査を行い、その意見を文書で表明し、実施医療機関の長に通知しなければならない。文書には審査対象の治験、審査した資料、審査 日及び当該治験に対する治験審査委員会の意見が原則として次の1)から3)のいずれに該当するかについて明確に示されていなければならない。
1) 承認する
2) 修正の上で承認する
3) 既に承認した事項を取り消す(治験の中止又は中断を含む。)
なお、専門治験審査委員会においては、治験の継続の適否の判断の前提となる特定の専門的事項について、上記の意見の提示のしかたが適切でない場合は、上記以外の陳述等により意見を述べることも妨げられるものではない。
3 実施医療機関等設置治験審査委員会及び専門治験審査委員会が、事態の緊急性ゆえに速やかに意見を述べなければならない事項について、あらかじめ第28条第2項に規定する手順書により明確にしておくことが適当である。
<第4項>
1 実施医療機関等設置治験審査委員会は、自ら治験を実施する者が実施する治験について、実施医療機 関の長から意見を聴かれたときは、当該治験が適切に行われているかどうか又は適切に行われていたかどうかについて適切な期間内に審査し、文書により実施医 療機関の長に意見を述べることが求められる。
なお、本項の趣旨は、モニタリング又は監査が適切に実施されたことを確認するための規定であり、自 ら治験を実施する者が行う治験が適切に行われたことについて、モニタリング又は監査に関して、実施医療機関等設置治験審査委員会による確認も合わせて実施 することにより、モニタリング、監査及び実施医療機関等設置治験審査委員会が相互に点検する趣旨のものである。
<第5項>
1 実施医療機関設置治験審査委員会は、第30条第4項の規定により実施医療機関の長が専門治験審査 委員会の意見を聴いた場合には、第30条第5項(第31条第3項において準用する場合を含む。)の規定により実施医療機関の長から報告された専門治験審査 委員会の意見を踏まえて、当該実施医療機関における地域的特性、当該実施医療機関において被験者となる集団の特性等その他当該実施医療機関に固有の事項に ついて考慮した上で、当該治験を実施又は継続することの適否についての意見を述べなければならない。
2 実施医療機関の長に対して治験の実施又は継続の適否について最終的な意見を述べる治験審査委員会は、第30条第1項の規定により意見を聴く実施医療機関設置治験審査委員会である。
3 実施医療機関設置治験審査委員会は、専門治験審査委員会の意見を十分に尊重した上で、治験の実施又は継続の適否についての意見を述べること。
<第6項><第7項>
1 実施医療機関の長は、実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会が治験の実施を 承認する決定を下し、その旨を通知してきた場合には、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定を、当該治験審査委員会の日付入り承認文書の写しととも に、治験の依頼をしようとする者による治験においては治験の依頼をしようとする者及び治験責任医師となるべき者に、自ら治験を実施しようとする者による治 験においては自ら治験を実施しようとする者に、文書で通知するものとする。
2 実施医療機関の長は、実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会が治験実施計画 書、症例報告書の見本、説明文書並びにその他の手順について、何らかの修正を条件に治験の実施を承認する決定を下し、その旨を通知してきた場合には、これ に基づく実施医療機関の長の指示、決定を、当該治験審査委員会の修正条件を記した日付入り承認文書の写しとともに、治験の依頼をしようとする者による治験 においては治験の依頼をしようとする者及び治験責任医師となるべき者に、自ら治験を実施しようとする者による治験においては自ら治験を実施しようとする者 に、文書で通知するものとする。
3 実施医療機関の長は、実施医療機関等設置治験審査委員会が治験の実施を却下する決定を下し、その 旨を通知してきた場合には、治験の実施を了承することはできない。また、第30条第8項の規定に基づき複数の治験審査委員会に意見を求めた場合には、いず れかの治験審査委員会が却下とした治験については、その実施を了承することはできない。
実施医療機関の長は、治験の実施を了承できない旨の実施医療機関の長の決定を、実施医療機関等設置 治験審査委員会又は第三者治験審査委員会の日付入り決定の文書の写しとともに、治験の依頼をしようとする者による治験においては治験の依頼をしようとする 者及び治験責任医師となるべき者に、自ら治験を実施しようとする者による治験においては自ら治験を実施しようとする者に、速やかに文書で通知しなければな らない。また、実施医療機関の長は、実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会の決定について、治験の依頼をしようとする者による治験に おいては治験の依頼をしようとする者及び治験責任医師となるべき者に、自ら治験を実施しようとする者による治験においては自ら治験を実施しようとする者 に、文書で詳細に説明しなければならない。
4 実施医療機関の長は、実施医療機関等設置治験審査委員会が実施中の治験の継続審査等において、治 験の継続を承認する決定を下し、又は治験実施計画書、症例報告書の見本、説明文書並びにその他の手順について何らかの修正を条件に治験の継続を承認する決 定を下し、その旨を通知してきた場合には、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定を、当該治験審査委員会の日付入り承認文書の写し又は修正条件を記し た日付入り承認文書の写しとともに、治験依頼者による治験においては治験依頼者及び治験責任医師に、自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を 実施する者に、文書で通知するものとする。
5 実施医療機関の長は、実施医療機関等設置治験審査委員会が実施中の治験の継続審査等において、治 験審査委員会が既に承認した事項の取消し(治験の中止又は中断を含む。)の決定を下し、その旨を通知してきた場合には、これに基づく実施医療機関の長の指 示、決定を、実施医療機関等設置治験審査委員会の取消しに関する日付入り文書の写しとともに、治験依頼者による治験においては治験責任医師及び治験依頼者 に、自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を実施する者に、速やかに通知するものとする。また、実施医療機関の長は、実施医療機関等設置治験 審査委員会の決定について、治験依頼者による治験においては治験責任医師及び治験依頼者に、自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を実施する 者に、文書で詳細に説明しなければならない。
(治験審査委員会の意見)
第33条 実施医療機関は、第30条第1項又は第8項の規定により意見を聴いた実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会が、治験を行うことが適当でない旨の意見を述べたときは、治験の依頼を受け、又は治験の実施を承認してはならない。
2 実施医療機関は、第31条第1項又は第2項の規定により意見を聴いた実施医療機関等設置治験審査委員会が、治験を継続して行うことが適当でない旨の意見を述べたときは、治験の契約を解除し、又は治験を中止しなければならない。
3 実施医療機関の長は、第31条第4項の規定により意見を聴いた実施医療機関等設置治験審査委員会が、当該実施医療機関において当該治験が適切に行われていない旨又は適切に行われていなかった旨の意見を述べたときは、必要な措置を講じなければならない。
<第1項>
1 実施医療機関の長は、第30条第1項又は第8項の規定により意見を聴いたいずれかの治験審査委員会が治験の実施を却下する決定を下し、その旨を通知してきた場合には、治験の実施を了承することはできない。すなわち、治験の依頼を受けてはならない。
2 実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会が治験を行うことが適切でない旨の意見を述べたときは、実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者による治験の実施を承認してはならない。
<第2項>
1 実施医療機関の長は、第31条第1項又は第2項の規定により意見を聴いた実施医療機関等設置治験審査委員会が治験を継続して行うことが適当でない旨の意見を述べたときは、治験の継続を了承することはできない。すなわち、治験の契約を解除しなければならない。
2 実施医療機関等設置治験審査委員会が治験を継続して行うことが適切でない旨の意見を述べたときは、実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者の実施する治験を中止させることが求められる。
<第3項>
1 実施医療機関等設置治験審査委員会が、当該治験が適切に行われていない旨又は適切に行われていなかった旨の意見を述べたときは、実施医療機関は、治験を中止させることを含め、必要な措置を講ずることが求められる。
(記録の保存)
第34条 治験審査委員会を設置した者は、第28条第2項に規定する手順書及び委員名簿、第30条第2項、第 6項及び第9項の規定による契約に関する資料、第32条第1項各号に掲げる資料、同条第2項に規定する資料、第40条第1項から第4項までの規定による実 施医療機関等設置治験審査委員会及び専門治験審査委員会に対する通知並びに治験審査委員会の会議の記録を被験薬に係る医薬品についての製造販売の承認を受 ける日(第24条第3項又は第26条の10第3項に規定する通知を受けたときは、通知を受けた日)又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうち いずれか遅い日までの期間保存しなければならない。
1 治験審査委員会の設置者は、手順書、委員名簿(委員の職業資格及び所属を含む。)、第30条第2 項、第6項及び第9項の規定による契約書、第32条第1項各号に掲げる提出された資料、第32条第2項の規定による専門治験審査委員会が必要と認めた資 料、第40条第1項から第4項までの規定による実施医療機関等設置治験審査委員会及び専門治験審査委員会への通知並びに会議の記録を、1)又は2)の日の うちいずれか遅い日までの期間保存しなければならない。ただし、治験依頼者又は自ら治験を実施する者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存 期間及び保存方法について治験依頼者又は自ら治験を実施する者と協議するものとする。これらの記録は、規制当局の要請に応じて提示できるようにしておかな ければならない。
1) 当該被験薬にかかる製造販売承認日(第24条第3項又は第26条の10第3項の規定により、開発を中止した又は臨床試験の試験成績に関する資料が申請書に添付されないことを決定した旨の通知を受けた場合にはその通知を受けた日)
2) 治験の中止又は終了後3年が経過した日
4―2 第二節 実施医療機関
(実施医療機関の要件)
第35条 実施医療機関は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。
1) 十分な臨床観察及び試験検査を行う設備及び人員を有していること。
2) 緊急時に被験者に対して必要な措置を講ずることができること。
3) 実施医療機関設置治験審査委員会が設置されていること(第27条ただし書の場合を除く。)。
4) 治験責任医師等、薬剤師、看護師その他治験を適正かつ円滑に行うために必要な職員が十分に確保されていること。
1 実施医療機関は、十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ、かつ、緊急時に必要な措置を採ることができるなど、当該治験を適切に実施しうるものでなければならない。通常、次の条件を満たすことが必要である。
1) 実施医療機関設置治験審査委員会が設置されていること(医療機関が小規模であること、医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者の確保が困難であること等の理由により実施医療機関設置治験審査委員会を設置することができない場合を除く。)。
2) 当該治験を安全に、かつ、科学的に実施するための設備が備わっていること。
3) 治験責任医師、治験分担医師、当該治験に関係する薬剤師、検査技師、放射線技師、栄養士及び看護職員等必要な職員が十分揃っていること。
4) 治験薬管理者が治験薬の性質及び治験実施計画書を理解し、当該治験薬の適切な保管、管理及び調剤等を実施し得ること。
5) 記録等の保存を適切に行い得ること。
2 「治験責任医師等、薬剤師、看護師その他治験を適正かつ円滑に行うために必要な職員」とは、治験 に直接関与する治験責任医師等及び治験協力者のみを限定的に指すものではないこと。必要な人員が十分に確保されているか否かは、実施医療機関全体として治 験を適正かつ円滑に実施することができるかどうかを、治験の内容等に応じて判断すべきである。また、記録等の保存を適切に行い得るかどうかも含むものであ ること。
(実施医療機関の長)
第36条 実施医療機関の長は、治験に係る業務に関する手順書を作成しなければならない。
2 実施医療機関の長は、当該実施医療機関における治験がこの省令、治験実施計画書、治験依頼者が治験を依頼 する場合にあっては治験の契約書、自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては第15条の7第1項第5号から第11号までに規定する文書及び前項 の手順書に従って適正かつ円滑に行われるよう必要な措置を講じなければならない。
3 実施医療機関の長は、被験者の秘密の保全が担保されるよう必要な措置を講じなければならない。
<第1項><第2項>
1 実施医療機関の長は、治験の実施に必要な手続きについて文書により定めるものとする。「治験に係 る業務に関する手順書」は、実施医療機関ごとに定められているべきである。なお、この手順書は個々の治験ごとに作成する必要はなく、治験に係る業務が恒常 的に又は均質にかつ適正に実施されるよう標準的な手順を定めたものであること。
2 「必要な措置」には、実施医療機関における治験分担医師及び治験協力者の指名、実施医療機関において適切な情報伝達を行わせること等が挙げられる。
1) 実施医療機関の長は、治験責任医師が治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者 に分担させる場合には、治験責任医師が作成したリストに基づき治験分担医師及び治験協力者を指名するものとする(第43条第1項参照)。実施医療機関の長 は、指名した治験分担医師及び治験協力者のリストを治験責任医師及び治験依頼者による治験においては治験依頼者に提出するとともに、その写しを保存しなけ ればならない。
2) 実施医療機関の長は、治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書(第32条第1 項及び第2項参照)を最新のものにしなければならない。治験依頼者による治験においては治験依頼者から、若しくは自ら治験を実施する者による治験において は自ら治験を実施する者から、追加、更新又は改訂された当該文書が提出された場合には治験審査委員会及び治験責任医師に、治験責任医師から、追加、更新又 は改訂された当該文書が提出された場合には治験審査委員会及び治験依頼者による治験においては治験依頼者に、それらの当該文書の全てを速やかに提出しなけ ればならない。
3) 治験責任医師は、実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会が治験の実施を承 認し、又は何らかの修正を条件に治験の実施を承認し、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定が文書で通知された後に(第32条第6項及び第7項参 照)、その指示、決定に従って治験を開始しなければならない。
4) 治験責任医師は、実施医療機関等設置治験審査委員会が実施中の治験の継続を承認し、又は何らか の修正を条件に治験の継続を承認し、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定が文書で通知された場合には(第32条第6項及び第7項参照)、その指示、 決定に従って治験を継続しなければならない。
5) 治験責任医師は、実施医療機関等設置治験審査委員会が実施中の治験に関して承認した事項を取消 し(治験の中止又は中断を含む。)、これに基づく実施医療機関の長の指示、決定が文書で通知された場合には(第32条第6項及び第7項参照)、その指示、 決定に従わなければならない。
6) 実施医療機関の長は、治験の依頼をしようとする者又は治験依頼者から次の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じなければならない。
ア) 治験の依頼をしようとする者は、実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会が治験の実施を承認した場合には、実施医療機関との間で治験の契約を締結する前に、実施医療機関の長から次の文書を入手しなければならない。
@ 実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会の名称と所在地が記された文書
A 実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会が本基準に従って組織され、活動している旨を当該治験審査委員会が自ら確認した文書
B 実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会の日付入り承認文書の写し(審議・採 決の出席者リストを含む。)及びこれに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書、並びに治験の依頼をしようとする者が変更の有無等の確認のために必要と する場合には、審査に用いられた治験実施計画書、症例報告書の見本等の文書(第32条第1項参照)
イ) 治験の依頼をしようとする者は、実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会が 治験実施計画書、症例報告書の見本、説明文書並びにその他の手順について、何らかの修正を条件に治験の実施を承認した場合には、実施医療機関との間で治験 の契約を締結する前に、実施医療機関の長から、当該治験審査委員会の修正条件を記した日付入り承認文書の写し及びこれに基づく実施医療機関の長の指示、決 定の文書を入手しなければならない。ア)に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用する。
ウ) 治験の依頼をしようとする者は、実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会が 治験の実施を却下した場合には、実施医療機関の長から、当該治験審査委員会の日付入り決定の文書の写し及びこれに基づく実施医療機関の長の決定の文書を入 手しなければならない。ア)に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用する。
エ) 治験依頼者は、実施医療機関の長から、実施中の治験に関する全ての継続審査等による実施医療機 関等設置治験審査委員会の日付入り承認文書の写し、修正条件を記した日付入り承認文書の写し又は既に承認した事項の取消し(治験の中止又は中断を含む。) に関する日付入り文書の写し、及びこれらに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書を入手しなければならない。ア)に規定するその他の文書の入手につい ては、同規定を準用する。
7) 実施医療機関の長は、自ら治験を実施しようとする者又は自ら治験を実施する者から次の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じなければならない。
ア) 自ら治験を実施しようとする者は、実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会が治験の実施を承認した場合には、治験計画届出を規制当局に提出する前に、実施医療機関の長から次の文書を入手しなければならない。
@ 実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会の名称と所在地が記された文書
A 実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会が本基準に従って組織され、活動している旨を当該治験審査委員会が自ら確認した文書
B 実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会の日付入り承認文書の写し及びこれに 基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書、並びに自ら治験を実施しようとする者が変更の有無等の確認のために必要とする場合には、審査に用いられた治験 実施計画書、症例報告書の見本等の文書(第32条第1項参照)
イ) 自ら治験を実施しようとする者は、実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会 が治験実施計画書、症例報告書の見本、説明文書並びにその他の手順について、何らかの修正を条件に治験の実施を承認した場合には、治験計画届を規制当局に 提出する前に、実施医療機関の長から、当該治験審査委員会の修正条件を記した日付入り承認文書の写し及びこれに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書 を入手しなければならない。ア)に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用する。
ウ) 自ら治験を実施しようとする者は、実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会 が治験の実施を却下した場合には、実施医療機関の長から、当該治験審査委員会の日付入り決定の文書の写し及びこれに基づく実施医療機関の長の決定の文書を 入手しなければならない。ア)に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用する。
エ) 自ら治験を実施する者は、実施医療機関の長から、実施中の治験に関する全ての継続審査等による 実施医療機関等設置治験審査委員会の日付入り承認文書の写し、修正条件を記した日付入り承認文書の写し又は既に承認した事項の取消し(治験の中止又は中断 を含む。)に関する日付入り文書の写し、及びこれらに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書を入手しなければならない。ア)に規定するその他の文書の 入手については、同規定を準用する。
8) 実施医療機関の長及び治験責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関連し た臨床上問題となる全ての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証するものとする。また、治験責任医師又は治験分担医師は、有害事象 に対する医療が必要となったことを知った場合には、被験者にその旨を伝えなければならない。
9) 実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては第15条の7第1項 第5号から第14号までに規定する文書及び手順書に従って適正かつ円滑に行われるよう必要な措置を講ずることが求められる。なお、「必要な措置」には、実 施医療機関において治験分担医師及び治験協力者を指名し、当該リストを自ら治験を実施する者に提出すること、実施医療機関において適切に情報伝達を行わせ ること等が挙げられる。
<第3項>
1 実施医療機関の長は、被験者の秘密の保全が担保されるような必要な措置を講じなければならない。 法第80条の2第10項の規定により、自ら治験を実施する者が、モニタリング、監査の際に得た被験者の秘密を漏らしてはならない旨及びこれらの地位にあっ た者についても同様である旨を含むこと。
(モニタリング等への協力)
第37条 実施医療機関の長は、治験依頼者が実施し、又は自ら治験を実施する者が実施させるモニタリング及び 監査並びに実施医療機関等設置治験審査委員会及び専門治験審査委員会(専門治験審査委員会にあっては、第30条第4項の規定により意見を聴く場合に限る。 以下「実施医療機関等設置治験審査委員会等」という。)並びに第三者治験審査委員会(同条第8項の規定により意見を聴く場合に限る。以下同じ。)による調 査に協力しなければならない。
2 実施医療機関の長は、前項のモニタリング、監査又は調査が実施される際には、モニター、監査担当者又は実施医療機関等設置治験審査委員会等及び第三者治験審査委員会の求めに応じ、第41条第2項各号に掲げる治験に関する記録を閲覧に供しなければならない。
<第1項><第2項>
1 実施医療機関の長は、治験依頼者によるモニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局によ る調査を受け入れ、協力しなければならない。これらの場合には、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は規制当局の求めに応じ、原資料等の全ての治験関 連記録を直接閲覧に供しなければならない。なお、実施医療機関の長は、これらによる調査が適切かつ速やかに行われるよう協力することが求められる。
注1) モニタリングには、治験の実施を開始する前に、実施医療機関及び治験責任医師等が治験を適切に実施するのに求められる要件を満たしているか否かを確認することが含まれる。
注2) 治験責任医師は、治験依頼者によるモニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局によ る調査を受け入れ、協力しなければならない。治験責任医師は、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は規制当局の求めに応じて、原資料等の全ての治験関 連記録を直接閲覧に供しなければならない(第42条参照)。なお、治験責任医師は、これらによる調査が適切かつ速やかに行われるよう協力することが求めら れる。
2 実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者の指定する者によるモニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局による調査を受け入れ、協力しなければならない。なお、実施医療機関の長は、これらによる調査が適切かつ速やかに行われるよう協力することが求められる。
(治験事務局)
第38条 実施医療機関の長は、治験に係る業務に関する事務を行う者を選任しなければならない。
1 医療機関の長は、治験の実施に関する事務及び支援を行う者を指定し、又はその組織を設けるものとする(以下「治験事務局」という。)。
2 「治験に係る業務に関する事務」とは、実施医療機関の長の指示により、以下にあげる実施医療機関 設置治験審査委員会又は第27条第1項第1号に掲げる他の医療機関の長と共同で設置した治験審査委員会の委員の指名に関する業務、治験の契約の手続きに関 する業務、治験の実施に必要な手順書を作成すること等である。
1) 実施医療機関設置治験審査委員会又は第27条第1項第1号に掲げる他の医療機関の長と共同で設置した治験審査委員会の委員の指名に関する業務
2) 治験の契約に係る手続き等の業務
3) 治験の実施に必要な手順書を作成すること。
4) 治験審査委員会の審査の対象となる文書(第32条第1項及び第2項参照)及びその他の通知又は 報告が、治験依頼者又は治験責任医師から実施医療機関の長に提出された場合には、それらを当該治験審査委員会、治験依頼者又は治験責任医師に提出するこ と。当該文書が追加、更新又は改訂された場合にも同様とする。
5) 治験審査委員会の意見に基づく実施医療機関の長の指示、決定に関する通知文書を作成し、治験責任医師及び治験依頼者に伝達すること。
6) 記録の保存(治験審査委員会事務局を兼ねる場合には、第34条に定める記録を含む。)
7) その他治験に関する業務の円滑化を図るために必要な事務及び支援。例えば、実施医療機関内の治験に関与する部門との連携、治験責任医師等の履歴書等の管理、治験依頼者への文書の発送等が該当する。
3 治験事務局は、実施医療機関の長により設置される治験審査委員会事務局を兼ねることができる。
(治験薬の管理)
第39条 実施医療機関の長は、第16条第6項又は第26条の2第6項の手順書を治験薬管理者(治験薬を管理する者をいう。)に交付しなければならない。
2 前項の治験薬管理者は、第16条第6項又は第26条の2第6項の手順書に従って治験薬を適切に管理しなければならない。
<第1項><第2項>
1 実施医療機関における治験薬の管理責任は、実施医療機関の長が負う。
2 実施医療機関の長は、実施医療機関において治験薬を適正に管理させるために、治験薬管理者を選任しなければならない。
3 治験薬管理者は、治験薬を保管管理する薬剤師又は医師若しくは歯科医師とする。ただし、原則として薬剤師とする。
4 実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者の実施する治験においても、実施医療機関において治験薬を適正に管理させるために、治験薬管理者を選任しなければならない。治験薬管理者は、原則として薬剤師とすること。
5 治験薬管理者には薬剤師を当て、実施医療機関で実施される全ての治験の治験薬を管理させることを原則とする。
6 実施医療機関の長又は治験薬管理者は、治験依頼者あるいは自ら治験を実施する者の定めるところにより(第16条第6項、第7項並びに第26条の2第6項及び第7項参照)、また本基準を遵守して治験薬を保管、管理しなければならない。
7 実施医療機関の長又は治験薬管理者は、治験依頼者が治験薬の取扱い及び保管、管理並びにそれらの 記録に際して従うべき指示を記載した手順書(第16条第6項参照)に従い、実施医療機関に治験依頼者から交付された治験薬の受領、実施医療機関での在庫、 被験者毎の使用状況及び未使用治験薬の治験依頼者への返却又はそれに代わる処分に関して、記録を作成し、保存しなければならない。これらの記録には、日 付、数量、製造番号又は製造記号、使用期限(必要な場合)並びに治験薬及び被験者識別コードを含むものとする。さらに、治験実施計画書に規定された量の治 験薬が被験者に投与され、また治験依頼者から受領した全ての治験薬の数量が正しく管理されたことを示す記録を作成し、保存しなければならない。
8 実施医療機関の長又は治験薬管理者は、自ら治験を実施する者が治験薬の取扱い及び保管、管理並び にそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書(第26条の2第6項参照)に従い、実施医療機関での在庫、被験者毎の使用状況及び処分に関して、記 録を作成し、保存しなければならない。これらの記録には、日付、数量、製造番号又は製造記号、使用期限(必要な場合)並びに治験薬及び被験者識別コードを 含むものとする。さらに、治験実施計画書に規定された量の治験薬が被験者に投与され、また自ら治験を実施する者から受領した全ての治験薬の数量が正しく管 理されたことを示す記録を作成し、保存しなければならない。
9 治験依頼者又は自ら治験を実施する者が実施医療機関の長に第1項の手順書を交付する場合において、予め実施医療機関の長の承諾を得て治験薬管理者に直接交付することは差し支えない。
(業務の委託等)
第39条の2 実施医療機関(自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては、治験責任医師又は実施医 療機関。以下この条において同じ。)は、治験の実施に係る業務の一部を委託する場合には、次に掲げる事項を記載した文書により当該業務を受託する者との契 約を締結しなければならない。
1) 当該委託に係る業務の範囲
2) 当該委託に係る業務の手順に関する事項
3) 前号の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを実施医療機関が確認することができる旨
4) 当該受託者に対する指示に関する事項
5) 前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを実施医療機関が確認することができる旨
6) 当該受託者が実施医療機関に対して行う報告に関する事項
7) その他当該委託に係る業務について必要な事項
1 治験の実施に係る業務を委託する場合、治験依頼者による治験の場合には実施医療機関が、自ら治験を実施する者による治験の場合には治験責任医師又は実施医療機関が、当該業務の受託者と契約を締結しなければならない。
2 自ら治験を実施する者による治験に関しては、治験責任医師個人が実施医療機関における業務の委託契約を締結することが適切でない場合には、実施医療機関が当該契約を締結することが適当である。
3 実施医療機関(自ら治験を実施しようとする者が治験を実施する場合にあっては、治験責任医師又は 実施医療機関)は、実施医療機関における治験の実施の業務の一部を医療機関外部に委託することができる。この場合において、実施医療機関(自ら治験を実施 しようとする者が治験を実施する場合にあっては、治験責任医師又は実施医療機関)と当該受託者は文書により、委託業務の範囲、委託業務の手順に関する事 項、実施医療機関(自ら治験を実施しようとする者が治験を実施する場合にあっては、治験責任医師又は実施医療機関)が、手順書に基づき委託業務が適正かつ 円滑に行われているかどうかを確認することができる旨等について記載した文書により契約を締結しなければならない。
4 当該受託者は、実施医療機関(自ら治験を実施しようとする者が治験を実施する場合にあっては、治 験責任医師又は実施医療機関)とともに、当該受託業務により生じた健康被害に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め、当該手順書に従って健康 被害の補償に関する業務を実施しなければならない(第15条の9参照)。
5 実施医療機関(自ら治験を実施しようとする者が治験を実施する場合にあっては、治験責任医師又は実施医療機関)が当該受託者に委託した治験に関する業務については、当該受託者との間で取り交わした文書に全て明記されていなければならない。
6 治験に関する業務のうち、当該受託者に明確に委託されていないものは、全て実施医療機関(自ら治験を実施しようとする者が治験を実施する場合にあっては、治験責任医師又は実施医療機関)が行うものとする。
7 受託者は、当該受託業務をGCPに従って行わなければならない。
(治験の中止等)
第40条 実施医療機関の長は、第20条第2項の規定により治験依頼者から又は第26条の6第2項の規定により自ら治験を実施する者から通知を受けたときは、直ちにその旨を実施医療機関等設置治験審査委員会等に文書により通知しなければならない。
2 実施医療機関の長は、第24条第2項の規定により治験依頼者から若しくは第26条の10第2項の規定によ り自ら治験を実施する者から治験を中断し、若しくは中止する旨の通知を受けたとき又は第24条第3項の規定により治験依頼者から申請書に添付しないことを 決定した旨の通知若しくは第26条の10第3項の規定により自ら治験を実施する者から申請書に添付されないことを知った旨の通知を受けたときは、速やかに その旨及びその理由を治験責任医師及び実施医療機関等設置治験審査委員会等に文書により通知しなければならない。
3 実施医療機関の長は、第49条第2項の規定により治験責任医師から治験を中断し、又は中止する旨の報告を受けた場合は、速やかにその旨及びその理由を実施医療機関等設置治験審査委員会等及び治験依頼者に文書により通知しなければならない。
4 実施医療機関の長は、第49条第3項の規定により治験責任医師から治験を終了する旨の報告を受けたときは、その旨及びその結果の概要を実施医療機関等設置治験審査委員会等及び治験依頼者に通知しなければならない。
5 第3項に規定する文書による通知については、第10条第2項から第6項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「実施医療機関の長」と、「実施医療機関の長」とあるのは「治験依頼者」と読み替えるものとする。
<第1項>
1 実施医療機関の長は、第20条第2項に基づき治験依頼者が、重篤で予測できない副作用等法第80条の2第6項に規定する事項を実施医療機関の長に通知してきた場合には、直ちにこれを実施医療機関等設置治験審査委員会等に通知しなければならない(第31条第2項参照)。
注) 治験依頼者は、全ての重篤で予測できない副作用等を当該治験に関与する全ての治験責任医師、実施医療機関の長及び規制当局に速やかに報告しなければならない(第20条第2項参照)。
2 実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者から治験中の副作用等に関する通知を受け取ったときは、直ちにその旨を実施医療機関等設置治験審査委員会等に文書により通知しなければならない。
<第2項>
1 実施医療機関の長は、治験依頼者が治験の中止又は中断(第24条第2項参照)、若しくは被験薬の 開発の中止(第24条第3項参照)を決定し、その旨を通知してきた場合には治験責任医師及び実施医療機関等設置治験審査委員会等に対し、速やかにその旨を 文書で通知するとともに、中止又は中断について文書で詳細に説明しなければならない。
2 実施医療機関の長は、自ら治験を実施する者から、治験を中断し、若しくは中止する旨の通知、又は 治験の成績が承認申請書に添付されないことを知った旨の通知を受けたときは、速やかにその旨及びその理由を実施医療機関等設置治験審査委員会等に文書によ り通知しなければならない。
<第3項>
1 実施医療機関の長は、治験責任医師が治験を中止又は中断し(第49条第2項参照)、その旨を報告 してきた場合には、実施医療機関等設置治験審査委員会等及び治験依頼者に対し、速やかにその旨を通知するとともに、中止又は中断について文書で詳細に説明 しなければならない。
<第4項>
1 実施医療機関の長は、治験責任医師が治験の終了を報告してきた場合(第49条第3項参照)には、 実施医療機関等設置治験審査委員会等及び治験依頼者に対し、その旨を文書で通知するとともに、治験責任医師から提出された報告書に基づき、治験結果の概要 を報告しなければならない。
(記録の保存)
第41条 実施医療機関の長は、記録保存責任者を置かなければならない。
2 前項の記録保存責任者は、次に掲げる治験に関する記録(文書を含む。)を被験薬に係る医薬品についての製 造販売の承認を受ける日(第24条第3項又は第26条の10第3項の規定により通知を受けたときは、通知を受けた日後3年を経過した日)又は治験の中止若 しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間保存しなければならない。
1) 原資料
2) 契約書又は承認書、同意文書及び説明文書その他この省令の規定により実施医療機関に従事する者が作成した文書又はその写し
3) 治験実施計画書、第32条第1項から第3項までの規定により実施医療機関等設置治験審査委員会等及び第三者治験審査委員会から入手した文書その他この省令の規定により入手した文書
4) 治験薬の管理その他の治験に係る業務の記録
<第1項>
1 実施医療機関の長は、実施医療機関において保存すべき記録(文書を含む。)の保存に際しては、それぞれの記録ごとに記録保存責任者を定めて保存するものとする。
2 治験責任医師は、治験の実施に係る文書を実施医療機関の長の指示に従って保存しなければならない。
<第2項>
1 記録保存責任者は、実施医療機関において保存すべき必須文書を、次の1)又は2)の日のうちいず れか遅い日までの期間保存しなければならない。ただし、治験依頼者又は自ら治験を実施する者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び 保存方法について治験依頼者又は自ら治験を実施する者と協議するものとする。
1) 当該被験薬に係る製造販売承認日(第24条第2項及び第3項又は第26条の10第2項及び第3 項の規定により開発の中止若しくは治験の成績が承認申請書に添付されない旨の通知を受けた場合には開発中止が決定された若しくは申請書に添付されない旨の 通知を受けた日から3年が経過した日)
2) 治験の中止又は終了後3年が経過した日
2 実施医療機関の長又は記録保存責任者は、これらの記録がこの保存義務期間中に紛失又は廃棄されることがないように、また求めに応じて提示できるような措置を講じなければならない。
4―3 第三節 治験責任医師
(治験責任医師の要件)
第42条 治験責任医師は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。
1) 治験を適正に行うことができる十分な教育及び訓練を受け、かつ、十分な臨床経験を有すること。
2) 治験実施計画書、治験薬概要書及び第16条第7項又は第26条の2第7項に規定する文書に記載されている治験薬の適切な使用方法に精通していること。
3) 治験を行うのに必要な時間的余裕を有すること。
1 治験責任医師は、教育・訓練及び経験によって、治験を適正に実施しうる者でなければならない。ま た、治験責任医師は、このことを証明する最新の履歴書及びその他の適切な文書、及び治験分担医師を置く場合には当該治験分担医師の履歴書を、治験依頼者に よる治験においては治験依頼者に、自ら治験を実施する者による治験においては実施医療機関の長に提出するものとする。
治験責任医師は、本基準を熟知し、これを遵守しなければならない。
2 治験責任医師は、治験実施計画書、最新の治験薬概要書、製品情報及び、第16条第7項又は第26条の2第7項に規定する文書に記載されている治験薬の適切な使用方法に十分精通していなければならない。
3 治験責任医師は、モニタリング及び監査並びに治験審査委員会並びに規制当局による調査を受け入れ なければならない。治験責任医師は、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は規制当局の求めに応じて、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供しな ければならない。なお、直接閲覧に関する事項は、治験実施計画書に記載されるべき事項となっている(第7条第1項第9号又は第15条の4第1項第10号参 照)。
4 治験責任医師は、治験依頼者による治験においては治験の依頼をしようとする者又は治験依頼者の協力を得て、治験への参加の同意を得るために用いる説明文書を作成し、必要な場合にはこれを改訂しなければならない(第9条及び第54条第2項参照)。
5 治験責任医師は、合意された期間内に治験を適正に実施し、終了するに足る時間を有していなければならない。
6 治験責任医師は、合意された募集期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能であることを過去の実績等により示すことができなければならない。
7 治験責任医師は、治験を適正かつ安全に実施するため、治験の予定期間中に十分な数の治験分担医師及び治験協力者等の適格なスタッフを確保でき、また適切な設備を利用できなければならない。
(治験分担医師等)
第43条 治験責任医師は、当該治験に係る治験分担医師又は治験協力者が存する場合には、分担する業務の一覧表を作成しなければならない。
2 治験責任医師は、治験分担医師及び治験協力者に治験の内容について十分に説明するとともに、第20条第2項の規定により通知された事項、第26条の6第2項の規定により通知した事項その他分担させる業務を適正かつ円滑に行うために必要な情報を提供しなければならない。
<第1項>
1 治験責任医師は、治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担させる場合には、分担させる業務と分担させる者のリストを作成し、予め実施医療機関の長に提出し、その指名を受けなければならない(第36条第2項参照)。
2 実施医療機関の長は、治験責任医師が治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に 分担させる場合には、治験責任医師が作成したリストに基づき治験分担医師及び治験協力者を指名するものとする。実施医療機関の長は、指名した治験分担医師 及び治験協力者のリストを治験責任医師及び治験依頼者による治験においては治験依頼者に提出するとともに、その写しを保存しなければならない。
<第2項>
1 治験責任医師は、治験分担医師及び治験協力者等に治験実施計画書、治験薬及び各人の業務について十分な情報を与え、指導及び監督しなければならない。
2 治験責任医師は、自ら治験を実施する者が収集した被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項そ の他の治験を適正に行うために必要な情報、被験薬について、当該被験薬の副作用によるものと疑われる疾病、障害又は死亡の発生等に該当する事項を知った際 に通知した事項等、治験分担医師及び治験協力者に、各人の業務について十分な情報を与え、指導及び監督しなければならない。
3 治験依頼者による治験においても、2の規定は適用されるものである。
(被験者となるべき者の選定)
第44条 治験責任医師等は、次に掲げるところにより、被験者となるべき者を選定しなければならない。
1) 倫理的及び科学的観点から、治験の目的に応じ、健康状態、症状、年齢、同意の能力等を十分に考慮すること。
2) 同意の能力を欠く者にあっては、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、選定しないこと。
3) 治験に参加しないことにより不当な不利益を受けるおそれがある者を選定する場合にあっては、当該者の同意が自発的に行われるよう十分な配慮を行うこと。
1 治験責任医師及び治験分担医師は、被験者となるべき者の選定に当たって、人権保護の観点から、及 び治験実施計画書に定められた選択基準及び除外基準に基づき、被験者の健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、治験責任医師等との依存関係、他の治験への 参加の有無等を考慮のうえ、治験に参加を求めることの適否について慎重に検討しなければならない。
2 同意の能力を欠く者については、当該治験の目的上、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、原則として被験者としない。
3 「治験に参加しないことにより不当な不利益を受けるおそれがある者」とは、中央薬事審議会答申にある「社会的に弱い立場にある者」の典型例を示したものである。
「社会的に弱い立場にある者」とは、参加に伴う利益あるいは参加拒否による上位者の報復を予想する ことにより、治験への自発的参加の意思が不当に影響を受ける可能性のある個人。例えば、階層構造を有するグループの構成員としての医・歯学生、薬学生、看 護学生、病院及び検査機関の下位の職員、製薬企業従業員並びに被拘禁者等がある。その他の例として、不治の病に罹患している患者、養護施設収容者、失業者 又は貧困者、緊急状態にある患者、少数民族集団、ホームレス、放浪者、難民、未成年及び治験参加の同意を表明する能力のない者があげられる。これらの者を 被験者とする場合には、特に慎重な配慮を払わなければならない。
注) 治験責任医師又は治験分担医師は、本基準の規定に従い、被験者又はその代諾者から、被験者の治験への参加について文書による同意を得なければならない(第50〜55条参照)。
(被験者に対する責務)
第45条 治験責任医師等は、治験薬の適正な使用方法を被験者に説明し、かつ、必要に応じ、被験者が治験薬を適正に使用しているかどうかを確認しなければならない。
2 治験責任医師等は、被験者が他の医師により治療を受けている場合には、被験者の同意の下に、被験者が治験に参加する旨を当該他の医師に通知しなければならない。
3 実施医療機関の長及び治験責任医師等は、被験者に生じた有害事象に対して適切な医療が提供されるよう、事前に、必要な措置を講じておかなければならない。
4 治験責任医師等は、被験者に有害事象が生じ、治療が必要であると認めるときは、その旨を被験者に通知しなければならない。
<第1項>
1 治験責任医師は、治験薬が承認された治験実施計画書を遵守した方法でのみ使用されることを保証しなければならない。
2 治験責任医師又は治験分担医師は、治験薬の正しい使用方法を各被験者に説明、指示し、当該治験にとって適切な間隔で、各被験者が説明された指示を正しく守っているか否かを確認するものとする。
<第2項>
1 第2項の趣旨は、被験者が既に受けている治療において投与されている医薬品等との相互作用等による被験者の健康被害を防ぐためのものであること。
2 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の治験への参加について知らせなければならない。
<第3項><第4項>
1 治験責任医師は、治験に関連する医療上の全ての判断に責任を負うものとする。
2 実施医療機関の長及び治験責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関連した 臨床上問題となる全ての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証するものとする。また、治験責任医師又は治験分担医師は、有害事象に 対する医療が必要となったことを知った場合には、被験者にその旨を伝えなければならない。
3 被験者が治験の途中で参加を取り止めようとする場合、または取り止めた場合には、被験者はその理由を明らかにする必要はないが、治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の権利を十分に尊重した上で、その理由を確認するための適切な努力を払わなければならない。
(治験実施計画書からの逸脱)
第46条 治験責任医師は、被験者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により治験実施計 画書に従わなかった場合には、すべてこれを記録し、その旨及びその理由を記載した文書を直ちに治験依頼者が治験を依頼する場合にあっては治験依頼者及び実 施医療機関の長に、自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては実施医療機関の長に提出しなければならない。
2 治験依頼者が治験を依頼する場合における前項に規定する文書の提出については、第10条第2項から第6項 までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「治験責任医師」と、「実施医療機関の長」とあるのは 「治験依頼者」と読み替えるものとする。
1 治験責任医師又は治験分担医師は、治験責任医師が治験依頼者との事前の文書による合意及び実施医 療機関等設置治験審査委員会の事前の審査に基づく文書による承認を得ることなく、治験実施計画書からの逸脱又は変更を行ってはならない。ただし、被験者の 緊急の危険を回避するためのものであるなど医療上やむを得ないものである場合又は治験の事務的事項(例:電話番号の変更)のみに関する変更である場合に は、この限りではない。
2 治験責任医師又は治験分担医師は、治験実施計画書から逸脱した行為を理由のいかんによらず全て記録しなければならない。治験責任医師は、その理由等を説明した記録を作成して治験依頼者に提出し、その写しを保存しなければならない。
3 自ら治験を実施する者による治験においては、治験責任医師又は治験分担医師は、治験実施計画書か ら逸脱した行為を理由のいかんによらず全て記録しなければならない。治験責任医師は、その理由等を説明した記録を作成して実施医療機関の長に提出し、その 写しを保存しなければならない。
4 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療上やむを 得ない事情のために、治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の承認なしに治験実施計画書からの逸脱又は変更を行うことができる。そ の際には、治験責任医師は、逸脱又は変更の内容及び理由並びに治験実施計画書の改訂が適切な場合にはその案を可能な限り早急に治験依頼者並びに実施医療機 関の長及び実施医療機関の長を経由して治験審査委員会に提出してその承認を得るとともに、実施医療機関の長の了承及び実施医療機関の長を経由して治験依頼 者の合意を文書で得なければならない。
5 治験責任医師は、無作為割付の手順が規定されている場合にはこれに従い、治験薬割付記号が治験実 施計画書を遵守した方法でのみ開封されることを保証するものとする。盲検法による治験において予め定められた時期よりも早い段階での開封(事故による開 封、重篤な有害事象のための開封など)を行った時は、治験責任医師はこれをその理由とともに速やかに文書に記録し、治験依頼者による治験においては治験依 頼者に提出し、自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を実施する者が保存しなければならない。
6 治験責任医師は、治験の実施に重大な影響を与え、又は被験者の危険を増大させるような治験のあらゆる変更について、治験依頼者、実施医療機関の長及び実施医療機関の長を経由して実施医療機関等設置治験審査委員会等に速やかに報告書を提出しなければならない。
7 治験責任医師は、自ら治験を実施する者の実施する治験においては、被験者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により治験実施計画書に従わなかった場合には、実施医療機関の長にその旨及びその理由を記載した文書を直ちに提出しなければならない。
8 なお、7においては、医療機関の長を経由して実施医療機関等設置治験審査委員会等に速やかに報告すること。
(症例報告書等)
第47条 治験責任医師等は、治験実施計画書に従って正確に症例報告書を作成し、これに記名なつ印し、又は署名しなければならない。
2 治験責任医師等は、症例報告書の記載を変更し、又は修正するときは、その日付を記載して、これになつ印し、又は署名しなければならない。
3 治験責任医師は、治験分担医師が作成した症例報告書を点検し、内容を確認した上で、これに記名なつ印し、又は署名しなければならない。
<第1項>
1 治験責任医師又は治験分担医師は、症例報告書を治験実施計画書の規定に従って作成し、記名捺印又 は署名の上、治験依頼者による治験においては治験依頼者に提出し、自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を実施する者が保存しなければならな い。また、治験依頼者に提出した症例報告書の写しを保存するものとする。
2 症例報告書中のデータのうち原資料に基づくものは、原資料と矛盾しないものでなければならない。 原資料との何らかの矛盾がある場合には、治験責任医師はその理由を説明する記録を作成して、治験依頼者による治験においては治験依頼者に提出するとともに その写しを保存し、自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を実施する者が保存しなければならない。
3 治験責任医師は、症例報告書及びその他の全ての報告書のデータが、正確、完全で、読み易く、提出の時期が適切であること、及び被験者の識別に被験者識別コードを用いていることを保証するものとする。
<第2項>
1 治験責任医師又は治験分担医師は、症例報告書の変更又は修正に当たり治験依頼者から提供された又 は自ら治験を実施する者が作成した手引きに従わなければならない。症例報告書のいかなる変更又は修正にも日付の記入及び捺印又は署名がなされ、重大な変更 又は修正については説明が記されなければならない。また、変更又は修正は当初の記載内容を不明瞭にするものであってはならない(すなわち、監査証跡として 保存するものとする。)。このことは文書及び電子データの変更又は修正の双方に適用される。
2 治験責任医師は、症例報告書の変更及び修正の記録を治験依頼者による治験においては治験依頼者に提出するとともにその写しを保存し、自ら治験を実施する者による治験においては自ら治験を実施する者が保存しなければならない。
注1) 治験依頼者は、治験の実施に先立って、治験責任医師及び治験分担医師に症例報告書の変更又は 修正に関する手引きを提供するものとする。また、治験依頼者が指名した者によって行われた症例報告書の変更又は修正においては、それらが文書に記録され、 必要なものであり、かつ治験責任医師が承認したものであることを保証するための手順書を作成しておかなければならない。
注2) 自ら治験を実施する者は、治験の実施に先立って、症例報告書の変更又は修正に関する手引きを作成し、治験分担医師に提供するものとする。
<第3項>
1 治験責任医師は、治験分担医師が作成した症例報告書について、それらが治験依頼者に提出される前 にその内容を点検し、問題がないことを確認した上で記名捺印又は署名するものとする。治験責任医師は、治験分担医師が行った症例報告書の変更又は修正につ いても点検し、問題がないことを確認しなければならない。
(治験中の副作用等報告)
第48条 治験責任医師は、治験の実施状況の概要を適宜実施医療機関の長に文書により報告しなければならない。
2 治験依頼者が治験を依頼する場合にあっては、治験責任医師は、治験薬の副作用によると疑われる死亡その他 の重篤な有害事象の発生を認めたときは、直ちに実施医療機関の長に報告するとともに、治験依頼者に通知しなければならない。この場合において、治験依頼 者、実施医療機関の長又は実施医療機関等設置治験審査委員会等から更に必要な情報の提供を求められたときは、当該治験依頼者が治験を依頼する場合にあって は、治験責任医師はこれに応じなければならない。
3 自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては、治験責任医師は、治験薬の副作用によると疑われる 死亡その他の重篤な有害事象の発生を認めたときは、直ちに実施医療機関の長(一つの実施計画書に基づき共同で複数の実施医療機関において治験を実施する場 合には他の実施医療機関の治験責任医師を含む。)に報告するとともに、治験薬提供者に通知しなければならない。この場合において、治験薬提供者、実施医療 機関の長又は実施医療機関等設置治験審査委員会等から更に必要な情報の提供を求められたときは、当該治験責任医師はこれに応じなければならない。
<第1項>
1 治験責任医師は、実施医療機関等設置治験審査委員会等の継続審査を受けるために、治験の現況の概要を年に1回又は当該治験審査委員会等の求めに応じてそれ以上の頻度で、実施医療機関の長に文書をもって提出しなければならない。
2 「治験実施状況の概要」は、第31条に規定する治験を継続して行うことの適否の審査のために用いられる資料である。
<第2項><第3項>
1 重篤な有害事象の発生を認めたときは、治験薬との因果関係の有無に係わらず、全ての重篤な有害事象を報告するという趣旨である。
2 治験責任医師は、全ての重篤な有害事象を実施医療機関の長に直ちに文書により報告しなければならない。この場合、治験責任医師は、報告する重篤な有害事象のうち重篤で予測できない副作用を特定するものとする。
3 治験責任医師は、治験実施計画書及び治験薬概要書等の文書において緊急の報告が不要であると規定されている場合を除き、全ての重篤な有害事象を治験依頼者に直ちに報告しなければならない。緊急報告の後に、文書による詳細な報告を速やかに行うものとする。
4 治験責任医師は、治験実施計画書において治験薬の安全性評価のために重要であると規定された有害事象について、治験実施計画書で規定された報告要件及び期限を守って治験依頼者に報告しなければならない。
5 治験責任医師は、報告した死亡例を含む重篤な有害事象又は副作用について、治験依頼者、実施医療機関の長及び実施医療機関等設置治験審査委員会等から要求された追加の情報(剖検報告書、末期の医療記録及びその他必要とされる情報)をこれらに提出するものとする。
6 自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては、治験責任医師は、治験薬の副作用によると 疑われる死亡その他の重篤な有害事象の発生を認めたときは、直ちに実施医療機関の長のみならず、共同で治験を実施している他の実施医療機関の治験責任医師 (多施設共同治験の場合)及び治験薬提供者に対しても通知しなければならない。治験薬提供者、実施医療機関の長又は実施医療機関等設置治験審査委員会等か ら更に必要な情報の提供を求められたときは、当該治験責任医師はこれに応じることが求められる。
(治験の中止等)
第49条 治験責任医師は、第40条第2項の通知により治験が中断され、又は中止されたときは、被験者に速やかにその旨を通知するとともに、適切な医療の提供その他必要な措置を講じなければならない。
2 治験責任医師は、自ら治験を中断し、又は中止したときは、実施医療機関の長に速やかにその旨及びその理由を文書により報告しなければならない。
3 治験責任医師は、治験を終了したときは、実施医療機関の長にその旨及びその結果の概要を文書により報告しなければならない。
(参考)
○第40条第2項
実施医療機関の長は、第24条第2項の規定により治験依頼者から若しくは第26条の10第2項の規 定により自ら治験を実施する者から治験を中断し、若しくは中止する旨の通知を受けたとき又は第24条第3項の規定により治験依頼者から申請書に添付しない ことを決定した旨の通知若しくは第26条の10第3項の規定により自ら治験を実施する者から申請書に添付されないことを知った旨の通知を受けたときは、速 やかにその旨及びその理由を治験責任医師及び実施医療機関等設置治験審査委員会等に文書により通知しなければならない。
<第1項>
1 治験が何らかの理由で中止又は中断された場合には、治験責任医師は被験者に速やかにその旨を通知し、被験者に対する適切な治療及び事後処理を保証しなければならない。
2 治験依頼者が治験の中止又は中断(第24条第2項参照)若しくは被験薬の開発中止(第24条第3項参照)を決定したときは、実施医療機関の長を経由して治験責任医師に通知される。
<第2項>
1 治験責任医師が治験を中止又は中断した場合には、治験責任医師は実施医療機関の長に速やかにその旨を文書で通知するとともに、中止又は中断について文書で詳細に説明しなければならない。
<第3項>
1 治験が終了した場合には、治験責任医師は実施医療機関の長にその旨を文書で通知し、治験結果の概要を文書で報告するものとする。
4―4 第四節 被験者の同意
(文書による説明と同意の取得)
第50条 治験責任医師等は、被験者となるべき者を治験に参加させるときは、あらかじめ治験の内容その他の治験に関する事項について当該者の理解を得るよう、文書により適切な説明を行い、文書により同意を得なければならない。
2 被験者となるべき者が同意の能力を欠くこと等により同意を得ることが困難であるときは、前項の規定にかかわらず、代諾者となるべき者の同意を得ることにより、当該被験者となるべき者を治験に参加させることができる。
3 治験責任医師等は、前項の規定により代諾者となるべき者の同意を得た場合には、代諾者の同意に関する記録及び代諾者と被験者との関係についての記録を作成しなければならない。
4 治験責任医師等は、当該被験者に対して治験薬の効果を有しないと予測される治験においては、第2項の規定 にかかわらず、同意を得ることが困難な被験者となるべき者を治験に参加させてはならない。ただし、第7条第2項又は第15条の4第2項に規定する場合は、 この限りではない。
5 治験責任医師等は、説明文書の内容その他治験に関する事項について、被験者となるべき者(代諾者となるべき者の同意を得る場合にあっては、当該者。次条から第53条までにおいて同じ。)に質問をする機会を与え、かつ、当該質問に十分に答えなければならない。
<第1項>
1 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者となるべき者が治験に参加する前に、被験者となるべき者に対して第51条第1項各号に掲げる事項を記載した説明文書を用いて十分に説明し、治験への参加について自由意思による同意を文書により得るものとする。
<第2項><第3項>
1 同意の能力を欠く等により被験者となるべき者の同意を得ることは困難であるが、当該治験の目的上 それらの被験者を対象とした治験を実施することがやむを得ない場合(例:未成年者や重度の認知症患者を対象とする場合)には、治験責任医師又は治験分担医 師は、代諾者となるべき者に対して第51条第1項各号に掲げる事項を記載した説明文書を用いて十分説明し、治験への参加について文書による同意を得るもの とする。この場合、同意に関する記録とともに代諾者と被験者との関係を示す記録を残すものとする。
2 この場合にあっても、治験責任医師又は治験分担医師は、被験者となるべき者の理解力に応じて説明 を行い、可能であれば被験者となるべき者からも同意文書への記名捺印又は署名と日付の記入を得るものとする。小児を被験者とする治験の場合は、「小児集団 における医薬品の臨床試験に関するガイダンスについて」(平成12年12月15日付医薬審第1334号)、「小児集団における医薬品の臨床試験に関するガ イダンスに関する質疑応答集(Q&A)について」(平成13年6月22日付医薬局審査管理課事務連絡)を参照すること。
3 第2項では、第1項の例外として、本人でなく代諾者の同意により被験者となるべき者を治験に参加 させることができる旨規定しているが、この場合における同意取得の過程については、同意者が代諾者であること以外は第1項の規定によること(代諾者の同意 は第2項に基づくが、その場合代諾者に対して文書により説明を行うこと及び代諾者から文書による同意を得るべきことの根拠は第1項となる。)。
<第4項>
1 次の2に掲げる場合を除き、被験者に対する直接の臨床的利益が予測されない非治療的治験においては、必ず被験者となるべき者から同意を得なければならない。
2 非治療的治験において、次の1)から4)に掲げる事項が全て満たされる場合には、被験者となるべ き者の代諾者による同意を得て治験を行うことができる。このような治験は、例外が正当化される場合を除き、被験薬の適応となることが意図された疾病又は症 状を有する患者において行われるべきである。また、治験責任医師又は治験分担医師は、このような治験における被験者に対しては、特に綿密な観察を行い、も し不当な苦痛を受けていると見受けられた場合には、治験を中止しなければならない。
1) 治験の目的が、本人による同意が可能な被験者による治験では達成されないこと。
2) 被験者に対する予見しうる危険性が低いこと。
3) 被験者の福祉に対する悪影響が最小限とされ、かつ低いこと。
4) 代諾者となるべき者の同意に基づいて被験者を治験に組み入れる旨を明示した上で治験審査委員会に承認の申請がなされ、かかる被験者の参加を承認する旨が承認文書に記載されていること。
3 治験責任医師は、あらかじめ、第7条第2項の規定に従ってその旨が明記された治験実施計画書が治 験審査委員会において審査された上で治験が承認され、当該治験審査委員会の承認文書上に同意を得ることが困難な者を被験者とすることを認める旨が記載され ていることを確認しなければならない。
なお、自ら治験を実施する者による治験の場合には、第15条の4第2項の規定に従わなければならない。
<第5項>
治験責任医師又は治験分担医師は、同意を得る前に、被験者となるべき者(代諾者となるべき者の同意 を得る場合にあっては代諾者となるべき者)が質問をする機会と、治験に参加するか否かを判断するのに十分な時間を与えなければならない。その際、当該治験 責任医師、治験分担医師又は補足説明者としての治験協力者は、全ての質問に対して被験者となるべき者(代諾者となるべき者の同意を得る場合にあっては代諾 者となるべき者)が満足するように答えなければならない。
(説明文書)
第51条 治験責任医師等は、前条第1項の説明を行うときは、次に掲げる事項を記載した説明文書を交付しなければならない。
1) 当該治験が試験を目的とするものである旨
2) 治験の目的
3) 治験責任医師の氏名、職名及び連絡先
4) 治験の方法
5) 予測される治験薬による被験者の心身の健康に対する利益(当該利益が見込まれない場合はその旨)及び予測される被験者に対する不利益
6) 他の治療方法に関する事項
7) 治験に参加する期間
8) 治験の参加を何時でも取りやめることができる旨
9) 治験に参加しないこと、又は参加を取りやめることにより被験者が不利益な取扱いを受けない旨
10) 被験者の秘密が保全されることを条件に、モニター、監査担当者並びに実施医療機関等設置治験審査委員会等及び第三者治験審査委員会が原資料を閲覧できる旨
11) 被験者に係る秘密が保全される旨
12) 健康被害が発生した場合における実施医療機関の連絡先
13) 健康被害が発生した場合に必要な治療が行われる旨
14) 健康被害の補償に関する事項
15) 当該治験の適否等について調査審議を行う治験審査委員会の種類、各治験審査委員会において調査審議を行う事項その他当該治験に係る治験審査委員会に関する事項
16) 当該治験に係る必要な事項
2 説明文書には、被験者となるべき者に権利を放棄させる旨又はそれを疑わせる記載並びに治験依頼者、自ら治験を実施する者、実施医療機関、治験責任医師等の責任を免除し若しくは軽減させる旨又はそれを疑わせる記載をしてはならない。
3 説明文書には、できる限り平易な表現を用いなければならない。
<第1項>
1 説明文書には、少なくとも次の事項が含まれていなければならない。
1) 治験が研究を伴うこと(第1号)。
2) 治験の目的(第2号)
3) 治験責任医師又は治験分担医師の氏名、職名及び連絡先(第3号)
4) 治験の方法(治験の試験的側面、被験者の選択基準、及び無作為割付が行われる場合は各処置に割り付けられる確率を含む。)(第4号)
5) 予期される臨床上の利益及び危険性又は不便(被験者にとって予期される利益がない場合には、被験者にその旨を知らせなければならない。)(第5号)
6) 患者を被験者にする場合には、当該患者に対する他の治療方法の有無及びその治療方法に関して予測される重要な利益及び危険性(第6号)
7) 被験者の治験への参加予定期間(第7号)
8) 治験への参加は被験者の自由意思によるものであり、被験者又はその代諾者は、被験者の治験への 参加を随時拒否又は撤回することができること。また、拒否・撤回によって被験者が不利な扱いを受けたり、治験に参加しない場合に受けるべき利益を失うこと はないこと(第8号及び第9号)。
9) モニター、監査担当者、実施医療機関等設置治験審査委員会等、第三者治験審査委員会及び規制当 局が原医療記録を閲覧できること。その際、被験者の秘密は保全されること。また、同意文書に被験者又はその代諾者が記名捺印又は署名することによって閲覧 を認めたことになること(第10号)。
10) 治験の結果が公表される場合であっても、被験者の秘密は保全されること(第11号)。
11) 被験者が治験及び被験者の権利に関してさらに情報の入手を希望する場合又は治験に関連する健康被害が生じた場合に照会すべき又は連絡をとるべき実施医療機関の相談窓口(第12号)
12) 治験に関連する健康被害が発生した場合に被験者が受けることのできる補償及び治療(第13号及び第14号)
13) 治験に参加する予定の被験者数(第16号)
14) 治験への参加の継続について被験者又はその代諾者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には速やかに被験者又はその代諾者に伝えられること(第16号)。
15) 治験への参加を中止させる場合の条件又は理由(第16号)
16) 被験者が費用負担をする必要がある場合にはその内容(第16号)
17) 被験者に金銭等が支払われる場合にはその内容(支払額算定の取決め等)(第16号)
18) 被験者が守るべき事項(第16号)
2 治験の被験者に交付する説明文書の記載事項について、治験薬の効果としていたものについて、治験 薬による被験者の心身の健康に対する利益(当該利益が見込まれない場合はその旨)と記載事項の内容を明確化するとともに、治験審査委員会に関する事項を追 加の記載事項として規定した(第5号及び第15号)。
3 第5号の「予測される治験薬による被験者の心身の健康に対する利益(当該利益が見込まれない場合 はその旨)及び予測される被験者に対する不利益」とは、予期される臨床上の利益及び危険性又は不便を指すものである。また、被験者にとって予期される利益 がない場合には、被験者にその旨を知らせなければならない。
4 第15号における用語の意義等については次のとおりである。
ア 「治験審査委員会の種類」とは、実施医療機関設置治験審査委員会、実施医療機関設置治験審査委員会以外の実施医療機関等設置治験審査委員会、専門治験審査委員会又は第三者治験審査委員会の別を指すものである。
イ 「各治験審査委員会において調査審議を行う事項」とは、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省 令の規定により各治験審査委員会が実施医療機関の長から意見を聴かれる事項を指すものであり、当該事項については各治験審査委員会が科学的、倫理的観点等 から治験の実施又は継続についての調査審議を行い、実施医療機関の長に意見を述べる旨を被験者に分かりやすく記載することが適当である。
ウ 「その他当該治験に係る治験審査委員会に関する事項」には、各治験審査委員会の設置者の名称及び 所在地、当該設置者に係る閲覧可能な情報等を含むものである。「当該設置者に係る閲覧可能な情報等」とは、第27条第1項第2号から第4号までに掲げる治 験審査委員会の設置者にあっては、定款、寄付行為、財産目録、賃借対照表、損益計算書、事業報告書(学会のうち法人格を有しないものにあってはこれらに準 ずるもの。)等の一般の閲覧に供している情報の入手方法を含むものである。また、被験者がこれらの閲覧を希望する場合には、速やかにこれらの資料を閲覧に 供することができるようにしておくこと。
5 第16号の「当該治験に係る必要な事項」とは、治験に参加する予定の被験者数、治験に継続して参 加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるものと認める情報を入手した場合には直ちに被験者又は代諾者に当該情報が伝えられること、治験への参加 を中止させる場合の条件又は理由、被験者が費用負担をする必要がある場合にはその内容、被験者に金銭等が支払われる場合にはその内容及び被験者が守るべき 事項が挙げられること。なお、第10号については、規制当局が原資料を閲覧できる旨も記載すること。
6 説明文書と同意文書(第52条参照)は一体化した文書又は一式の文書とすることが望ましい。
7 説明文書の交付の対象は、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者となる。
注1) 説明文書の作成については第9条又は第15条の6を参照のこと。
注2) 被験者が治験に参加している間に、説明文書が改訂された場合には、第54条第3項により、治験責任医師又は治験分担医師はその都度改訂された説明文書を被験者又は代諾者に渡さなければならない。
<第2項>
1 説明文書には、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者に権利を放棄させるかそれを疑わせる語句、又は治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、実施医療機関、自ら治験を実施する者、治験依頼者の法的責任を免除するかそれを疑わせる語句が含まれていてはならない。
2 説明に際して口頭で提供される情報についても、1と同様である。
<第3項>
1 説明文書には、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者(被験者となるべき者又は代諾者となる べき者が説明文書を読むことができないが、口頭又は他の伝達方法ではその内容を理解することができる場合における公正な立会人を含む。)が理解可能で、可 能な限り非専門的な言葉が用いられていなければならない。
2 説明に際して口頭で提供される情報についても、1と同様である。
(同意文書等への署名等)
第52条 第50条第1項又は第2項に規定する同意は、被験者となるべき者が説明文書の内容を十分に理解した 上で、当該内容の治験に参加することに同意する旨を記載した文書(以下「同意文書」という。)に、説明を行った治験責任医師等及び被験者となるべき者(第 3項に規定する立会人が立ち会う場合にあっては、被験者となるべき者及び立会人。次条において同じ。)が日付を記載して、これに記名なつ印し、又は署名し なければ、効力を生じない。
2 第50条第1項又は第2項に規定する同意は、治験責任医師等に強制され、又はその判断に不当な影響を及ぼされたものであってはならない。
3 説明文書を読むことができない被験者となるべき者(第50条第2項に規定する被験者となるべき者を除く。)に対する同条第1項に規定する説明及び同意は、立会人を立ち会わせた上で、しなければならない。
4 前項の立会人は、治験責任医師等及び治験協力者であってはならない。
<第1項>
1 同意文書には、説明を行った治験責任医師又は治験分担医師、並びに被験者となるべき者又は代諾者 となるべき者が説明文書の内容を十分に理解した上で、治験に参加することに同意する旨を記載した同意文書に記名捺印又は署名し、各自日付を記入するものと する。なお、治験協力者が補足的な説明を行った場合には、当該治験協力者も記名捺印又は署名し、日付を記入するものとする。
2 第3項の規定により、被験者となるべき者又はその代諾者となるべき者が説明文書を読むことができ ないが、口頭又は他の伝達方法ではその内容を理解することができる場合には、説明に際して公正な立会人を要する。この場合には、被験者となるべき者又は代 諾者となるべき者に加え、立会人も同意文書に記名捺印又は署名し、自ら日付を記入するものとする。
<第2項>
1 治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者は、治験への参加又は治験への参加の継続に関し、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者に強制したり又は不当な影響を及ぼしてはならない。
<第3項>
1 被験者となるべき者又は代諾者となるべき者が説明文書を読むことができないが、口頭又は他の伝達 方法ではその内容を理解することができる場合には、説明に際して公正な立会人を要することとする。被験者となるべき者又は代諾者となるべき者に対して、説 明文書が渡され、その内容が口頭又は他の伝達方法により説明され、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者が被験者の治験への参加に口頭で同意し、さら に被験者となるべき者又は代諾者となるべき者が同意文書に記名捺印又は署名し、自ら日付を記入した後に、立会人も同意文書に記名捺印又は署名し、自ら日付 を記入することにより、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者が治験の内容等を理解し、自由意思により同意を与えたものであることを証するものとす る。
2 「説明文書を読むことができない被験者となるべき者」とは、例えば、眼疾患を有することにより説明文書を読むことはできないが、口頭による説明等ではその内容を理解することができる被験者となるべき者等が考えられる。
3 本項は、同意の能力はあるが視力障害等により説明文書が読めない者についての措置に関する規定で ある。「説明文書を読むことができない被験者となるべき者」は、「被験者となるべき者又は代諾者となるべき者」を意味するが、( )内の「第50条第2項 に規定する被験者となるべき者」を除くとは同意の能力を欠くこと等により同意を得ることが困難な被験者となるべき者本人を除く意味であること。同意の能力 がなく、説明文書が読めない被験者に対しては、代諾者がまず問義され、代諾者が視力障害等により説明文書を読めない場合に代諾者に対して本項の立会人の適 用がある。
4 「同条第1項に規定する説明」とは、被験者となるべき者又は代諾者となるべき者に対する説明を、「同意」とは同条第1項又は第2項に規定するこれらの者による同意を意味する。
<第4項>
1 治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者は説明をする側に位置する者であり、公正な立会人としては適当でない。
(同意文書の交付)
第53条 治験責任医師等は、治験責任医師等及び被験者となるべき者が記名なつ印し、又は署名した同意文書の写しを被験者(代諾者の同意を得た場合にあっては、当該者。次条において同じ。)に交付しなければならない。
1 治験責任医師又は治験分担医師は、これらの者及び被験者となるべき者(代諾者の同意を得ようとする場合には、代諾者となるべき者)が記名捺印又は署名した同意文書の写しを被験者(代諾者の同意を得た場合にあっては、代諾者)に渡さなければならない。
注1) 同意文書には、説明を行った治験責任医師又は治験分担医師、並びに被験者となるべき者又は代 諾者となるべき者が説明文書の内容を十分に理解した上で、治験に参加することに同意する旨を記載した同意文書に記名捺印又は署名し、各自日付を記入するも のとする。なお、治験協力者が補足的な説明を行った場合には、当該治験協力者も記名捺印又は署名し、日付を記入するものとする(第52条第1項参照)。
注2) 第54条第3項の規定により、被験者が治験に参加している間に説明文書が改訂された場合には、治験責任医師又は治験分担医師は、その都度、新たに記名捺印又は署名と日付を記入した同意文書の写しを被験者及び代諾者に渡さなければならない。
(被験者の意思に影響を与える情報が得られた場合)
第54条 治験責任医師等は、治験に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるものと認め る情報を入手した場合には、直ちに当該情報を被験者に提供し、これを文書により記録するとともに、被験者が治験に継続して参加するかどうかを確認しなけれ ばならない。この場合においては、第50条第5項及び第52条第2項の規定を準用する。
2 治験責任医師は、前項の場合において、説明文書を改訂する必要があると認めたときは、速やかに説明文書を改訂しなければならない。
3 治験責任医師は、前項の規定により説明文書を改訂したときは、その旨を実施医療機関の長に報告するとともに、治験の参加の継続について改めて被験者の同意を得なければならない。この場合においては、第51条から前条までの規定を準用する。
<第1項>
1 治験への参加の継続について被験者又は代諾者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場 合には、治験責任医師又は治験分担医師は、当該情報を速やかに被験者又は代諾者に伝え、被験者の治験への参加の継続について、被験者又は代諾者の意思を確 認しなければならない。この場合にあっては、当該情報が被験者又は代諾者に伝えられたことが文書に記録されていなければならない。
2 第50条第5項(質問する機会を与え、かつ質問に十分に答えなければならないこと。)、第52条第2項(治験への参加の継続に関し、強制したり又は不当な影響を及ぼしてはならないこと。)を準用する。
<第2項><第3項>
1 被験者の同意に関連し得る新たな重要な情報が得られた場合には、治験責任医師は、速やかに当該情 報に基づき説明文書を改訂し、予め治験審査委員会の承認を得なければならない。また、治験責任医師又は治験分担医師は、すでに治験に参加している被験者に ついても、当該情報を被験者又は代諾者に速やかに伝え、治験に継続して参加するか否かについて、被験者又は代諾者の意思を確認するとともに、改訂された説 明文書を用いて改めて説明し、治験への参加の継続について被験者又は代諾者から自由意思による同意を文書により得なければならない。
(緊急状況下における救命的治験)
第55条 治験責任医師等は、第7条第3項又は第15条の4第3項に規定する治験においては、次の各号のすべてに該当する場合に限り、被験者となるべき者及び代諾者となるべき者の同意を得ずに当該被験者となるべき者を治験に参加させることができる。
1) 被験者となるべき者に緊急かつ明白な生命の危険が生じていること。
2) 現在における治療方法では十分な効果が期待できないこと。
3) 被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあると認められること。
4) 予測される被験者に対する不利益が必要な最小限度のものであること。
5) 代諾者となるべき者と直ちに連絡を取ることができないこと。
2 治験責任医師等は、前項に規定する場合には、速やかに被験者又は代諾者となるべき者に対して当該治験に関する事項について適切な説明を行い、当該治験への参加について文書により同意を得なければならない。
<第1項><第2項>
1 緊急状況下における救命的治験であって、被験者となるべき者から事前の同意を得ることが不可能で ある場合においては、被験者となるべき者の代諾者からその同意を得るべきである。被験者となるべき者の事前の同意が不可能で、かつ、被験者となるべき者の 代諾者と連絡が取れない場合には、次の各号の全てに該当する場合に限り治験に参加させることができる。
1) 被験者となるべき者に緊急かつ明白な生命の危険が生じていること。
2) 現在利用可能な治療方法では十分な効果が期待できないこと。
3) 被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあると認められること。
4) 予測される被験者に対する不利益が最少限度のものであること。
5) 代諾者となるべき者と直ちに連絡をとることができないこと。
2 治験責任医師等は、あらかじめ、治験審査委員会の承認文書に被験者及び代諾者の同意なしに治験に加わった者の人権、安全及び福祉を保護する方法が明記されていることを確認しなければならない。
3 第2項の趣旨から、被験者の身元が明らかでない者は治験の対象としてはならない。
注1) 緊急状況下における救命的治験において、被験者となるべき者による事前の同意を得ることが不 可能で、かつ、被験者となるべき者の代諾者と連絡が取れない場合にも治験が行われることが計画されている場合には、第7条第3項又は第15条の4第3項の 規定に基づき、治験実施計画書にはその旨及び次の事項が記載されていなければならない。
1) 生命が危険な状態にある傷病者に対して、その生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として承認申請することを予定しているものであること。
2) 現在利用可能な治療方法では十分な効果が期待できないこと。
3) 被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあること。なお、そのことを支持す る適切なデータが得られている必要があること。また、当該治験への参加から生じ得る被験者に対する危険性が、現在利用可能な治療方法のリスク・ベネフィッ トに照らして合理的であること。
4) 第19条又は第26条の5に規定する効果安全性評価委員会が設置されていること。
5) 治験責任医師又は治験分担医師が、速やかに、被験者(又は代諾者となるべき者)に対して当該治 験に関する説明を行い、当該治験への継続参加について同意を得ること及び被験者の身元が明らかでない者は治験の対象から除かれることについて、第7条第1 項第7号又は第15条の4第1項第8号の「治験の方法」及び第7条第1項第8号又は第15条の4第1項第9号の「被験者の選定に関する事項」として治験実 施計画書に記載されていること。また、治験責任医師がこの経過と結果を治験審査委員会に報告することについても記載されていること。
注2) 治験審査委員会は提出された治験実施計画書及びその他の文書が関連する倫理的問題を適切に配 慮しているものであり、かつ第7条第3項又は第15条の4第3項の規定に従っているものであることを確認し、当該治験審査委員会の承認文書中に治験に加 わった者の人権、安全及び福祉を保護する方法が明記されていなければならない(第32条第1項の解説8を参照)。
4 このような例外的な場合でも、被験者(又はその代諾者となるべき者)に対し、できるだけ速やかに当該治験に関する説明を行い、治験の継続及びその他の適切な事項について文書により同意を得なければならない。また、その経過と結果を治験審査委員会に報告すること。
5.第五章 再審査等の資料の基準
(再審査等の資料の基準)
第56条 法第14条又は第19条の2の承認を受けた者が行う医薬品の臨床試験の実施に係る法第14条の4第 4項及び第14条の6第4項(これらの規定を法第19条の4において準用する場合を含む。)に規定する資料の収集及び作成については、第4条から第6条ま で、第7条(第3項第1号を除く。)、第9条、第10条(第1項第2号を除く。)、第11条から第15条まで、第16条、第17条第1項、第18条から第 23条まで、第24条第1項及び第2項、第25条、第26条並びに第27条から第55条までの規定を準用する。この場合において、これらの規定(見出しを 含む。)中「治験」とあるのは「製造販売後臨床試験」と、「治験実施計画書」とあるのは「製造販売後臨床試験実施計画書」と、「治験責任医師」とあるのは 「製造販売後臨床試験責任医師」と、「治験国内管理人」とあるのは「製造販売後臨床試験国内管理人」と、「治験調整医師」とあるのは「製造販売後臨床試験 調整医師」と、「治験調整委員会」とあるのは「製造販売後臨床試験調整委員会」と、「治験分担医師」とあるのは「製造販売後臨床試験分担医師」と、「治験 責任医師等」とあるのは「製造販売後臨床試験責任医師等」と、「治験依頼者」とあるのは「製造販売後臨床試験依頼者」と、「治験薬管理者」とあるのは「製 造販売後臨床試験薬管理者」と、「治験協力者」とあるのは「製造販売後臨床試験協力者」と、「治験審査委員会」とあるのは「製造販売後臨床試験審査委員 会」と、「実施医療機関設置治験審査委員会」とあるのは「実施医療機関設置製造販売後臨床試験審査委員会」と、「実施医療機関等設置治験審査委員会」とあ るのは「実施医療機関等設置製造販売後臨床試験審査委員会」と、「専門治験審査委員会」とあるのは「専門製造販売後臨床試験審査委員会」と、「第三者治験 審査委員会」とあるのは「第三者製造販売後臨床試験審査委員会」と、「実施医療機関等設置治験審査委員会等」とあるのは「実施医療機関等設置製造販売後臨 床試験審査委員会等」と、これらの規定(見出しを含み、第11条、第16条第1項、第2項及び第5項から第7項まで、第17条第1項並びに第39条を除 く。)中「治験薬」とあるのは「製造販売後臨床試験薬」と、第11条中「治験薬」とあるのは、「被験者、製造販売後臨床試験責任医師等又は製造販売後臨床 試験協力者が被験薬及び対照薬の識別をできない状態(以下「盲検状態」という。)にした製造販売後臨床試験薬」と、第16条第1項第1号中「治験用」とあ るのは「製造販売後臨床試験用」と、同条第1項、第2項及び第5項から第7項までの規定中「治験薬」とあるのは「盲検状態にした製造販売後臨床試験薬」 と、第16条第2項第1号中「予定される」とあるのは「承認されている」と、第17条中「治験薬」とあるのは「盲検状態にした製造販売後臨床試験薬」と、 第18条見出し中「多施設共同治験」とあるのは「多施設共同製造販売後臨床試験」と、第20条第2項中「被験薬」とあるのは「当該製造販売後臨床試験にお いて発生した被験薬」と、「法第80条の2第6項」とあるのは「法第77条の4の2」と、「直ちにその旨を治験責任医師」とあるのは「直ちにその旨を当該 製造販売後臨床試験責任医師」と、同条第3項中「治験実施計画書及び治験薬概要書」とあるのは「製造販売後臨床試験実施計画書」と、第26条第1項中「に 係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日(第24条第3項の規定により通知したときは、通知した日後3年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了 の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間」とあるのは「の再審査又は再評価が終了した日後5年間」と、第34条中「に係る医薬品についての製 造販売の承認を受ける日(第24条第3項又は第26条の10第3項に規定する通知を受けたときは、通知を受けた日)又は治験の中止若しくは終了の後3年を 経過した日のうちいずれか遅い日までの期間」とあるのは「の再審査又は再評価が終了する日まで」と、第38条見出し中「治験事務局」とあるのは「製造販売 後臨床試験事務局」と、第39条中「治験薬」とあるのは「盲検状態にした製造販売後臨床試験薬」と、第40条第2項中「通知を受けたとき又は第24条第3 項の規定により治験依頼者から申請書に添付しないことを決定した旨の通知若しくは第26条の10第3項の規定により自ら治験を実施する者から申請書に添付 されないことを知った旨の通知」とあるのは「通知」と、第41条第2項中「に係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日(第24条第3項又は第26条 の10第3項の規定により通知を受けたときは、通知を受けた日後3年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日 までの期間」とあるのは「の再審査又は再評価が終了する日まで」と、第42条第2号中「治験実施計画書、治験薬概要書」とあるのは「製造販売後臨床試験実 施計画書」と読み替えるものとする。
1.適用対象について
薬事法第14条の4に基づく再審査申請、第14条の6に基づく再評価申請を行う際に提出する資料の 適合性の基準のうち製造販売後臨床試験に関するもの。ただし、製造販売後臨床試験を実施する際には、本基準によるほか、「医薬品の製造販売後の調査及び試 験の実施の基準に関する省令」(平成16年厚生労働省令第171号。以下「GPSP省令」という。)によること。
2.適用基準について
1) 承認審査資料の基準を読替えることを除き原則的に同じ
2) 製造販売後臨床試験の特性に鑑み、適用除外として次のようなものがある。
@ 第7条第3項第1号
第50条第1項(被験者となるべき者に対する説明と同意)及び第2項(代諾者に対する説明と同意) の同意を得ることが困難と予想される者を対象にしている場合に、実施計画書に記載しなければならない事項のうち、「当該被験薬が、生命が危険な状態にある 疾病者に対して、その生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として、製造販売の承認を申請することを予定しているものであることの説明。」を除 外する。
(適用除外の理由)
治験段階の薬物にあっては、有効性が確認されていないが、承認後に実施される再審査、再評価のための製造販売後臨床試験においては、適用する必要が無いため。
A 第8条
第5条に規定する被験薬の品質、毒性、薬理作用に関する試験その他治験の依頼をするために必要な試験により得られた資料及び被験薬の品質、有効性及び安全性に関する情報に基づいた治験薬概要書の作成と改訂を除外する。
(適用除外の理由)
製造販売後臨床試験は既承認医薬品を用いて行われるため、治験薬概要書にあたるものの作成を行う必 要はない。なお、盲検比較試験においても既承認医薬品が用いられるが、この際にも使用される被験薬及び対照薬は、製造販売後臨床試験実施計画書中で明らか なため概要書の作成を求めない。
B 第10条第2号
治験の依頼をしようとする者があらかじめ実施医療機関の長に提出しなければならない文書から、治験薬概要書を除外する。
(適用除外の理由)
Aの理由と同様に製造販売後臨床試験においては治験薬概要書にあたるものを作成する必要はない。
C 第17条第2項
製造販売後臨床試験依頼者は、盲検状態にした製造販売後臨床試験薬を医薬品の販売業者その他の第三者を介在させることなく、直接実施医療機関に交付しなければならない。
(適用除外の理由)
製造販売後臨床試験は既承認医薬品を用いるため、販売業者等を介在して医療機関に交付させることができる。
ただし、製造販売後臨床試験を実施するにはGPSP省令に準拠する必要があり、契約の際には、製造販売後調査等業務を適正かつ円滑に行う能力がある受託者に委託することができる。それ故、第三者を介在した製造販売後臨床試験薬の交付を禁止するものではない。
D 第24条第3項
治験依頼者は、当該治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料を法第14条第3項に規定する申請書に添付しないことを決定した場合には、その旨及びその理由を実施医療機関の長に文書により通知しなければならない。
(適用除外の理由)
GPSP省令では、製造販売業者等にその実施する製造販売後臨床試験に関し、製造販売後調査等業務手順書及び製造販売後調査等基本計画書の作成を求めている。
3) 再審査等の資料の基準における読替え
治験→製造販売後臨床試験
治験実施計画書→製造販売後臨床試験実施計画書
治験責任医師→製造販売後臨床試験責任医師
治験国内管理人→製造販売後臨床試験国内管理人
治験調整医師→製造販売後臨床試験調整医師
治験調整委員会→製造販売後臨床試験調整委員会
治験分担医師→製造販売後臨床試験分担医師
治験責任医師等→製造販売後臨床試験責任医師等
治験依頼者→製造販売後臨床試験依頼者
治験薬管理者→製造販売後臨床試験薬管理者
治験協力者→製造販売後臨床試験協力者
治験審査委員会→製造販売後臨床試験審査委員会
実施医療機関設置治験審査委員会→実施医療機関設置製造販売後臨床試験審査委員会
実施医療機関等設置治験審査委員会→実施医療機関等設置製造販売後臨床試験審査委員会
専門治験審査委員会→専門製造販売後臨床試験審査委員会
第三者治験審査委員会→第三者製造販売後臨床試験審査委員会
実施医療機関等設置治験審査委員会等→実施医療機関等設置製造販売後臨床試験審査委員会等
治験用→製造販売後臨床試験用
多施設共同治験→多施設共同製造販売後臨床試験
治験事務局→製造販売後臨床試験事務局
4) 市販薬を用いる製造販売後臨床試験の特例
@ 第11条
製造販売後臨床試験の依頼をしようとする者は、製造販売後臨床試験の契約が締結される前に、実施医 療機関に対して被験者、製造販売後臨床試験責任医師等又は製造販売後臨床試験協力者が被験薬及び対照薬の識別をできない状態(盲検状態)にした製造販売後 臨床試験薬を交付してはならない。
(市販薬を用いる場合)
そもそも市販薬は、臨床現場に提供されているものであり、契約の締結に関わらず販売授与されることが想定されるものであり、契約前の交付を禁じる意味がないため適用除外とされている。
A 第16条
・1項 製造販売後臨床試験依頼者が盲検状態にした製造販売後臨床試験薬の容器又は被包に邦文で記載しなければならない事項。
・2項 製造販売後臨床試験依頼者が製造販売後臨床試験薬に添付する文書、その盲検状態にした製造販売後臨床試験薬又は容器若しくは被包(内袋を含む。)に記載してはならない事項。
・5項 製造販売後臨床試験依頼者が盲検状態にした製造販売後臨床試験薬に関する作成しなければならない記録。
・6項 製造販売後臨床試験依頼者は、製造販売後臨床試験の契約の締結後遅滞なく、実施医療機関における盲検状態にした製造販売後臨床試験薬の管理に関する手順書を作成し、これを実施医療機関の長に交付しなければならない。
・7項 製造販売後臨床試験は、必要に応じ、盲検状態にした製造販売後臨床試験薬の溶解方法その他の 取扱方法を説明した文書を作成し、これを製造販売後臨床試験責任医師等、製造販売後臨床試験協力者及び第39条第1項に規定する製造販売後臨床試験薬管理 者に交付しなければならない。
(市販薬を用いる場合)
上記各号は、市販薬を用いた場合には適用されない。なお、第3項は、元々盲検状態の医薬品に関する条項であり市販品を用いた場合は関係ないこと。また、第4項は適切な包装を求めるものであり盲検状態の有無に関わらず遵守すべき事項である。
B 第17条第1項
製造販売後臨床試験の依頼者は、盲検状態にした製造販売後臨床試験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所において製造された盲検状態にした製造販売後臨床試験薬を実施医療機関に交付しなければならない。
(市販薬を用いる場合)
市販品を用いる場合は、GMPが既に適用されているため、本項を新たに適用する必要はない。
C 第39条(盲検状態にした製造販売後臨床試験薬の管理)
・1項 実施医療機関の長は、第16条第6項の手順書を製造販売後臨床試験薬管理者に交付しなければならない。
・2項 前項の製造販売後臨床試験薬管理者は、第16条第6項の手順書に従って盲検状態にした製造販売後臨床試験薬を適切に管理しなければならない。
(市販薬を用いる場合)
市販薬を用いる場合は第16条の第6項で求める製造販売後臨床試験の管理の手順書による管理を行う必要はない。但し、自主的にこれを作成し管理を行うことを妨げるものではない。
5) GPSP省令の制定に伴い、資料の保存期間及び副作用等情報の通知に関して次のとおり改められた。
@ 第34条(記録の保存)
製造販売後臨床試験審査委員会の設置者は、手順書、委員名簿(委員の職業資格及び所属を含む。)、 第32条第1項各号に掲げる提出された資料、第40条第1項から第4項までの規定による製造販売後臨床試験審査委員会への通知、会議の記録を、被験薬の再 審査又は再評価が終了する日までの期間保存しなければならない。
A 第41条第2項(記録の保存)
記録保存責任者は、実施医療機関において保存すべき必須文書を、被験薬の再審査又は再評価が終了する日までの期間保存しなければならない。
B 第20条第2項(副作用情報等)
製造販売後臨床試験依頼者は、当該製造販売後臨床試験において発生した被験薬について法第77条の4の2に規定する事項を知ったときは、直ちにその旨を製造販売後臨床試験責任医師及び実施医療機関の長に通知しなければならない。
3.経過措置については、GPSP省令の施行(平成17年4月1日)の前に「医薬品の市販後調査の基 準に関する省令」(平成9年厚生省令第10号。以下「GPMSP省令」という。)に基づき開始された使用成績調査、特別調査又は市販後臨床試験について は、なお従前の例によると規定されている。GPMSP省令における経過措置については、附則第3条に規定されているが、概略は次のとおり。
「2.適用基準」で説明した点を除き治験と整合性が採られている。但し、薬事法で、治験に関する承 認審査資料の基準が平成9年4月1日の法施行以降に申請された資料に適用されるのに比べ、再審査・再評価では法施行以降に収集、作成或いは公示される資料 に適用される点が異なっている。適用は次の4区分に分かれる。
1) 施行日(平成9年4月1日)以前に収集、作成(市販後臨床試験実施計画書が作成)され、または現に収集、作成されている資料:従前の「医薬品の市販後調査の実施に関する基準」(平成5年6月28日薬発572号局長通知)が適用される。
2) 施行日(平成9年4月1日)以降に市販後臨床試験実施計画書が作成され、平成9年6月30日までに依頼が行なわれた資料
3) 施行日(平成9年4月1日)以降に市販後臨床試験実施計画書が作成され、平成9年7月1日以降平成10年4月1日までに依頼が行なわれた資料
4) 施行日(平成9年4月1日)以降に市販後臨床試験実施計画書が作成され、平成10年4月1日から平成16年3月31日までに依頼が行なわれた資料
各条項毎に整理すると次表の様になる。
市販後臨床試験に係るGCPの適用について
 
平成10年4月1日から平成16年3月31日迄
平成10年3月末迄
平成9年6月末迄
第4条:業務手順書等
適用
適用
適用
第5条:毒性試験等の実施
適用
適用
適用
第6条:医療機関等の選定
適用
適用
適用
第7条:市販後臨床試験実施計画書[第1項第3項を除く]
適用
適用
適用
第1項(市販後臨床試験実施計画書の作成)[第9号を除く]
適用
適用
適用
第9号(原資料の閲覧に関する事項)
適用
非適用
非適用
第3項(本人及び代諾者の同意が困難)[第1号を除く]
適用
適用
適用
第1号(承認申請される医薬品の旨の記載)
適用除外
   
第8条:治験薬概要書
適用除外
   
第9条:説明文書の作成の依頼
適用
適用
適用
第10条:実施医療機関の長へ事前提出の文書[第2号を除く]
適用
適用
適用
第2号(治験薬概要書)
適用除外
   
第11条:盲検化した市販後臨床試験薬の事前交付の禁止
適用
適用
適用
第12条:業務の委託
適用
適用
適用
第13条:市販後臨床試験の契約[以下の各号を除く]
適用
適用
適用
第9号(市販後臨床試験薬管理)
適用
適用
非適用
第10号(記録の保存)
適用
適用
非適用
第11号(通知に関する事項)
適用
適用
非適用
第12号(秘密保持)
適用
非適用
非適用
第13号(市販後臨床試験費用)
適用
適用
非適用
第15号(閲覧)
適用
非適用
非適用
第14条:被験者に対する補償措置
適用
適用
適用
第15条:市販後臨床試験国内管理人
適用
適用
適用
第16条:盲検化した市販後臨床試験薬の管理[第6項以外]
適用
適用
適用
第6項(管理の手順書の作成)
適用
適用
非適用
第17条第1項:盲検化した市販後臨床試験薬の適切な製造
適用
適用
適用
第2項:第三者を介した交付の禁止
適用除外
   
第18条:多施設共同市販後臨床試験
適用
適用
適用
第19条:効果安全性評価委員会の設置
適用
適用
適用
第20条:副作用情報
適用
適用
適用
第21条:モニタリングの実施
適用
非適用
非適用
第22条:モニターの責務
適用
非適用
非適用
第23条:監査
適用
非適用
非適用
第24条:市販後臨床試験の中止等[第3項以外]
適用
適用
適用
第3項(収集市販後臨床試験資料不提出の通知)
適用除外
   
第25条:総括報告書
適用
適用
適用
第26条:記録の保存等
適用
適用
適用
市販後臨床試験審査委員会
 
平成10年4月1日から平成16年3月31日迄
平成10年3月末迄
平成9年6月末迄
第27条:市販後臨床試験審査委員会の設置
適用
適用
適用
第28条:市販後臨床試験審査委員会の構成等
適用
非適用
非適用
第1項(市販後臨床試験審査委員会の要件)
適用
適用
適用
第29条:市販後臨床試験審査委員会の会議
適用
適用
適用
第30条:市販後臨床試験審査委員会の審査
適用
適用
適用
第31条:継続審査等
適用
適用
適用
第32条:市販後臨床試験審査委員会の責務
適用
適用
適用
第33条:市販後臨床試験審査委員会の意見
適用
適用
適用
実施医療機関
第35条:実施医療機関の要件
適用
適用
適用
第36条:実施医療機関の長(業務手順書作成)
適用
非適用
非適用
第37条:モニタリング等への協力
適用
非適用
非適用
第38条:市販後臨床試験事務局
適用
適用
適用
第39条:盲検化した市販後臨床試験薬の管理
適用
適用
非適用
第40条:市販後臨床試験の中止等
適用
適用
適用
第41条:記録の保存
適用
適用
適用
市販後臨床試験責任医師
 
平成10年4月1日から平成16年3月31日迄
平成10年3月末迄
平成9年6月末迄
第42条:市販後臨床試験責任医師の要件
適用
適用
適用
第43条:市販後臨床試験分担医師等
適用
適用
適用
第44条:被験者となるべき者の選定
適用
適用
適用
第45条:被験者に対する責務
適用
適用
適用
第46条:市販後臨床試験実施計画書からの逸脱
適用
適用
適用
第47条:症例報告書等
適用
適用
適用
第48条:市販後臨床試験中の副作用報告等
適用
適用
適用
第49条:市販後臨床試験の中止等
適用
適用
適用
被験者の同意
 
平成10年4月1日から平成16年3月31日迄
平成10年3月末迄
平成9年6月末迄
第50条:文書による説明と同意の取得
適用
適用
適用
第51条:説明文書[以下を除く]
適用
適用
適用
第1項第10号(原資料の閲覧に関する事項)
適用
非適用
非適用
第52条:同意文書等への署名等
適用
適用
適用
第53条:同意文書の交付
適用
適用
適用
第55条:緊急状況下における救命的治験
適用
適用
適用
6.第六章 治験の依頼等の基準
(法第80条の2第1項の厚生労働省令で定める基準)
第57条 法第80条の2第1項に規定する治験の依頼については、第4条第1項、第5条、第7条第1項(第9 号及び第11号から第13号までを除く。)、第8条第1項、第11条、第13条(第1項第11号、第13号から第16号まで及び第18号を除く。)、第 14条及び第15条の規定を準用する。この場合において、第4条第1項中「実施医療機関及び治験責任医師の選定、治験薬の管理、副作用情報等の収集、記録 の保存その他の治験の依頼及び管理に係る」とあるのは「治験薬の管理及び記録の保存の」と、第5条中「試験その他治験の依頼をするために必要な試験」とあ るのは「試験」と、第13条中「前条の規定により」とあるのは「治験の依頼及び管理に係る」と読み替えるものとする。
本条は、法第80条の2第1項の厚生労働省令で定める基準、すなわち治験の依頼をしようとする者が治験の依頼をするに当たって従うべき基準(治験の依頼の基準)を定めている。
治験の依頼の基準は、本基準が被験者の保護のために設けられ、その違反について罰則の適用があることに鑑み、承認審査資料の基準である治験の依頼に関する基準(第2章、第4条〜第15条)の特に重要な規定のみを準用し、必要な読み替えを行うこととしている。
(法第80条の2第4項の厚生労働省令で定める基準)
第58条 治験依頼者が治験を依頼する場合においては、法第80条の2第4項に規定する治験をすることについ ては、第27条から第55条まで(第29条第1項第2号、第31条第4項、第32条第4項及び第7項、第33条第3項並びに第48条第3項を除く。)の規 定を準用する。
2 自ら治験を実施する者が治験を実施する場合においては、法第80条の2第4項に規定する治験をすることに ついては、第15条の2第1項、第15条の3、第15条の4第1項(第10号及び第12号から第14号までを除く。)、第15条の5第1項、第15条の7 (第9号、第10号及び第12号から第14号までを除く。)、第15条の9、第26条の2(第1項第5号及び第7項を除く。)、第26条の7第1項及び第 3項、第26条の12第5号、第27条から第55条まで(第29条第1項第1号、第32条第6項及び第8項並びに第48条第2項を除く。)の規定を準用す る。この場合において、第15条の2第1項中「治験実施計画書の作成、治験薬の管理、副作用情報等の収集、記録の保存その他の治験の実施の準備及び管理に 係る」とあるのは「治験薬の管理及び記録の保存の」と、第15条の3中「試験その他治験を実施するために必要な試験」とあるのは「試験」と、第26条の2 第5項中「製造数量等の製造に関する」とあるのは「製造数量の」と、「安定性等の品質」とあるのは「品質」と、第26条の12中「適切に保存」とあるのは 「保存」と読み替えるものとする。
第58条で定められた規定は、法第80条の2第4項に規定する「厚生労働省令で定める基準」として自ら治験を実施しようとする者及び自ら治験を実施する者にそれぞれ適用すること。
本条は、法第80条の2第4項の厚生労働省令で定める基準、すなわち治験の依頼を受けた者が治験をするに当たって従うべき基準(治験を行う基準)を定めている。
治験を行う基準は、承認審査資料の基準としての治験を行う基準(第4章、第27条〜第55条)と内容が全く同じであるため、同一の条項を準用することとしている。
(法第80条の2第5項の厚生労働省令で定める基準)
第59条 法第80条の2第5項に規定する治験の管理については、第16条(第1項第5号及び第7項を除 く。)、第21条第1項並びに第26条第1項(第1号から第4号までを除く。)及び第2項の規定を準用する。この場合において、第16条第5項中「製造数 量等の製造に関する」とあるのは「製造数量の」と、「安定性等の品質」とあるのは「品質」と、第26条第1項中「適切に保存」とあるのは「保存」と読み替 えるものとする。
本条は、法第80条の2第5項の厚生労働省令で定める基準、すなわち治験の依頼をした者が治験を管理するに当たって従うべき基準(治験の管理の基準)を定めている。
治験の管理の基準は、本基準が被験者の保護のため設けられ、その違反については罰則の適用があることに鑑み、承認審査資料の基準である治験の管理に関する基準(第3章、第16条〜第26条)の特に重要な規定のみを準用し、必要な読み替えを行うこととしている。
7.附則
(施行期日)
第1条 この省令は、平成9年4月1日から施行する。
(承認審査資料の基準に関する経過措置)
第2条 法第14条第3項に規定する資料のうち、この省令の施行前に収集され、又は作成されたもの及びこの省 令の施行の際現に収集され、又は作成されているものについては、第3条中「次条から第55条までの規定の定めるところ」とあるのは「第30条第1項、第 35条、第44条、第47条第1項、第50条第1項及び第2項の規定の定めるところ並びに薬事法施行規則等の一部を改正する省令(平成9年厚生省令第29 号)第1条の規定による改正前の薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号)第67条各号の規定の例」と、第50条第1項中「文書により適切な説明を行 い、文書により同意」とあるのは「適切な説明を行い、同意」とする。
2 法第14条第3項に規定する資料のうち、平成9年6月30日までに法第80条の2第1項の治験の依頼が行 われた治験又は同日までに同条第2項の規定により届け出られた計画に係る治験により収集され、又は作成されたもの(前項に規定するものを除く。)について は、第3条中「次条」とあるのは「次条から第6条まで、第7条(第1項第9号を除く。)、第8条から第12条まで、第13条(第9号から第13号まで及び 第15号を除く。)、第14条、第15条、第16条(第6項を除く。)、第17条から第20条まで、第24条から第27条まで、第28条第2項及び第3 項、第29条から第35条まで、第38条、第40条から第50条まで、第51条(第1項第10号を除く。)並びに第52条」とする。
3 法第14条第3項に規定する資料のうち、平成10年3月31日までに法第80条の2第1項の治験の依頼が 行われた治験又は同日までに同条第2項の規定により届け出られた計画に係る治験により収集され、又は作成されたもの(第1項及び前項に規定するものを除 く。)については、第3条中「次条」とあるのは「次条から第6条まで、第7条(第1項第9号を除く。)、第8条から第12条まで、第13条(第12号及び 第15号を除く。)、第14条から第20条まで、第24条から第27条まで、第28条第2項及び第3項、第29条から第35条まで、第38条から第50条 まで、第51条(第1項第10号を除く。)並びに第52条」とする。
(再審査等の資料の基準に関する経過措置)
第3条 法第14条の4第4項及び第14条の5第4項に規定する資料のうち、平成9年6月30日までに依頼が 行われた市販後臨床試験により収集され、又は作成されたものについては、第56条中「第3項第1号」とあるのは「第1項第9号及び第3項第1号」と、「か ら第16条まで」とあるのは「、第12条、第13条(第9号から第13号まで及び第15号を除く。)、第14条、第15条、第16条(第6項を除く。)」 と、「第23条」とあるのは「第20条」と、「第25条」とあるのは「第25条から第27条まで、第28条第2項及び第3項、第29条から第35条まで、 第38条、第40条から第50条まで、第51条(第1項第10号を除く。)並びに第52条」とする。
2 法第14条の4第4項及び第14条の5第4項に規定する資料のうち、平成10年3月31日までに依頼がな された市販後臨床試験(前項に規定する市販後臨床試験を除く。)により収集され、又は作成されたものについては、第56条中「第3項第1号」とあるのは 「第1項第9号及び第3項第1号」と、「第11条」とあるのは「第11条、第12条、第13条(第12号及び第15号を除く。)、第14条」と、「第23 条」とあるのは「第20条」と、「第25条」とあるのは「第25条から第27条まで、第28条第2項及び第3項、第29条から第35条まで、第38条から 第50条まで、第51条(第1項第10号を除く。)並びに第52条」とする。
(法第80条の2第1項の厚生省令で定める基準に関する経過措置)
第4条 この省令の施行前に治験の計画書であって第7条第1項(第2号から第4号まで及び第9号から第13号 までを除く。)の規定に適合するものが作成されていた場合における当該治験に係る法第80条の2第1項に規定する治験の依頼については、第57条の規定に かかわらず、薬事法施行規則等の一部を改正する省令(平成9年厚生省令第29号)第1条の規定による改正前の薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号。 附則第6条において「旧施行規則」という。)第67条(第7号から第11号までを除く。)の規定の例による。
2 平成9年4月1日から6月30日までの間に法第80条の2第2項の規定により届け出られた計画に係る治験(前項の場合における当該治験を除く。)に対する第57条の規定の適用については、第57条中「第11号、第13号」とあるのは、「第9号」とする。
3 平成9年7月1日から平成10年3月31日までの間に法第80条の2第2項の規定により届け出られた計画に係る治験(第1項の場合における当該治験を除く。)に対する第57条の適用については、第57条中「第11号、第13号」とあるのは「第11号」とする。
(法第80条の2第4項の厚生省令で定める基準に関する経過措置)
第5条 この省令の施行前に治験の計画書であって第7条第1項(第2号から第4号まで及び第9号から第13号 までを除く。)の規定に適合するものが作成されていた場合における当該治験の依頼を受けた者に係る法第80条の2第4項の治験をすることについては、第 58条の規定にかかわらず、第30条第1項、第35条、第44条、第47条第1項並びに第50条第1項及び第2項の規定の例による。この場合において、第 50条第1項中「文書により適切な」とあるのは「適切な」とする。
2 平成9年4月1日から6月30日までの間に法80条の2第1項の治験の依頼を受けた者又は同日までに同条 第2項の規定により届け出られた計画に係る治験の依頼を受けた者(前項に規定する者を除く。)に対する第58条の適用については、第58条中「第27条」 とあるのは「第27条、第28条第2項及び第3項、第29条から第35条まで、第38条、第40条から第50条まで、第51条(第1項第10号を除く。) 並びに第52条」とする。
3 平成9年7月1日から平成10年3月31日までの間に法第80条の2第1項の治験の依頼を受けた者(第1 項及び前項に規定する治験の依頼を受けた者を除く。)に対する第58条の適用については、第58条中「第27条」とあるのは「第27条、第28条第2項及 び第3項、第29条から第35条まで、第38条から第50条まで、第51条(第1項第10号を除く。)並びに第52条」とする。
(法第80条の2第5項の厚生省令で定める基準に関する経過措置)
第6条 この省令の施行前に治験の計画書であって第7条第1項(第2号から第4号まで及び第9号から第13号 までを除く。)の規定に適合するものが作成されていた場合における当該治験の依頼をした者に係る法第80条の2第5項に規定する治験の管理については、第 59条の規定にかかわらず、旧施行規則第67条第7号、第8号及び第10号の規定の例による。
2 平成9年4月1日から6月30日までの間に法第80条の2第1項の治験の依頼をした者又は同日までに同条 第2項の規定により届け出られた計画に係る治験の依頼をした者(前項に規定する者を除く。)に対する第59条の適用については、第59条中「第7項」とあ るのは「第6項及び第7項」と、「、第21条第1項並びに」とあるのは「並びに」とする。
3 平成9年7月1日から平成10年3月31日までの間に法第80条の2第1項の治験の依頼をした者(第1項及び前項に規定する者を除く。)については、「、第21条第1項並びに」とあるのは「並びに」とする。
本基準がすべて適用されるのは、平成10年4月1日以降に依頼が行われた治験であり、それまでの間 に依頼が行われた治験については、新たに設けられた基準等基準の一部を適用しないこととし、段階的に適用していくこととしている。治験の依頼の時期ごとの 適用される規定は以下のとおりである。
1.第2条関係(本条の適用は平成9年3月27日厚生省令第28号の施行時の規定である。)
1) 第1項について
平成9年4月1日より前に依頼が行われた治験(依頼はされていないが既に第7条第1項(第2号から 第4号まで及び第9号から第13号までを除く。)の規定に適合する治験実施計画書が作成されていた治験を含む。)については、次のア)からカ)に掲げる規 定及び旧規則第67条各号の規定のみが適用される。
ア) 治験審査委員会の意見聴取に係る規定(第30条第1項)
イ) 実施医療機関の要件に係る規定(第35条)
ウ) 被験者となるべき者の選定に係る規定(第44条)
エ) 症例報告書の作成に係る規定(第47条第1項)
オ) 説明と同意に係る規定(適切な説明・同意)(第50条第1項の読み替え)
カ) 代諾者に係る規定(第50条第2項)
2) 第2項について
平成9年6月30日までに依頼が行われた治験又は同日までに法第80条の2第2項の規定により計画が届け出られた治験(第1項の治験を除く。)については、第4条から第55条までの規定のうち、次のア)からオ)に掲げる規定は適用されない。
ア) モニタリング、監査に係る規定(直接閲覧に係る規定を含む。)(第7条第1項第9号、第21条、第22条、第23条、第37条、第51条第1項第10号)
イ) 契約書に記載すべき事項に係る規定(第13条第9号から第13号まで、第15号)
ウ) 治験薬の管理のための手順書に係る規定(第16条第6項、第39条)
エ) 治験審査委員会に係る規定(第28条第1項)
オ) 実施医療機関の治験の業務に関する手順書に係る規定(第36条)
3) 第3項について
平成10年3月31日までに依頼が行われた治験又は同日までに法第80条の2第2項の規定により計画が届け出られた治験(第1項及び第2項の治験を除く。)については、第4条から第55条までの規定のうち、次のア)からエ)に掲げる規定は適用されない。
ア) モニタリング、監査に係る規定(直接閲覧に係る規定を含む。)(第7条第1項第9号、第21条、第22条、第23条、第37条、第51条第1項第10号)
イ) 契約書に記載すべき事項に係る規定(第13条第12号及び第15号)
ウ) 治験審査委員会に係る規定(第28条第1項)
エ) 実施医療機関の治験の業務に関する手順書に係る規定(第36条)
(参考)
1.平成9年7月1日より適用される事項
1) 治験の契約書に記載すべき事項に係る規定
「治験薬の管理に関する事項」「記録(データを含む。)の保存に関する事項」「この省令の規定により治験依頼者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項」「治験の費用に関する事項」(第13条第9号、第10号、第11号、第13号)
2) 治験薬の管理のための手順書に係る事項
○ 治験依頼者は治験薬の管理に関する手順書を作成し実施医療機関の長に交付(第16条第6項)
○ 実施医療機関の長は第16条第6項の手順書を治験薬管理者に交付し、この手順書に従って管理(第39条)
2.平成10年4月1日より適用される事項
1) モニタリング・監査関係
○ 治験実施計画書に記載すべき事項のうち「原資料の閲覧に関する事項」(第7条第1項第9号)
○ 治験の契約書に記載すべき事項に係る規定「被験者の秘密の保全に関する事項」「実施医療機関が治験依頼者の求めに応じて第41条第2項各号に掲げる記録(文書を含む。)を閲覧に供する旨」(第13条第12号及び第15号)
○ モニタリング・監査の実施(第21条〜第23条)
○ 実施医療機関の長のモニタリング・監査、治験審査委員会の調査への協力及び第41条第2項に掲げる記録を閲覧に供すること(第37条)
○ 説明文書に記載すべき事項のうち「被験者の秘密が保全されることを条件に、モニター・監査担当者、治験審査委員会が原資料を閲覧できる旨」(第51条第1項第10号)
2) 治験審査委員会の委員に係る規定(第28条第1項)
3) 実施医療機関における治験に係る業務に関する手順書に係る規定(第36条)
2.第3条関係
再審査等の資料の基準(第56条)関係の経過措置については、第56条で、概要を説明したので、参照されたい。
3.第4条関係(治験の依頼に関する基準の経過措置)
1) 第1項について
平成9年3月31日までに第7条第1項(第2号から第4号まで及び第9号から第13号までを除く。)の規定に適合する治験実施計画書が作成されていた治験を依頼しようとする者については、旧規則第67条第1号から第6号までの規定が適用される。
2) 第2項について
平成9年4月1日から平成9年6月30日までの間に法第80条の2第2項の規定により計画が届け出 られた治験(第1項の治験を除く。)を依頼しようとする者については、第57条において準用する規定のうち、第13条第1項第9号、第10号及び第12号 の規定は適用されない。
3) 第3項について
平成9年7月1日ら平成10年3月31日までの間に法第80条の2第2項の規定により計画が届け出られた治験(第1項の治験を除く。)を依頼しようとする者については、第57条において準用する規定のうち、第13条第1項第12号の規定は適用されない。
注) 第57条において適用される治験の依頼の基準は次のとおり。
第4条第1項、第5条、第7条第1項(第9号及び第11号から第13号までを除く。)、第8条第1項、第11条、第13条(第11号、第13号から第16号まで及び第18号を除く。)、第14条、第15条
4.第5条関係(治験を行う基準の経過措置)
平成9年3月31日までに治験の依頼を受けた者については、この省令の基準は適用されない(薬事法等の一部を改正する法律(平成8年法律第104号)附則第3条第5項)。
1) 第1項について
平成9年4月1日以降に依頼が行われた治験のうち、平成9年3月31日までに第7条第1項(第2号 から第4号まで及び第9号から第13号までを除く。)の規定に適合する治験実施計画書が作成された治験の依頼を受けた者については、第58条において準用 する第27条から第55条までの規定のうち、次のア)からカ)に掲げる規定のみが適用される。
ア) 治験審査委員会の意見聴取に係る規定(第30条第1項)
イ) 実施医療機関の要件に係る規定(第35条)
ウ) 被験者となるべき者の選定に係る規定(第44条)
エ) 症例報告書の作成に係る規定(第47条第1項)
オ) 説明と同意に係る規定(適切な説明・文書による同意)(第50条第1項の読み替え)
カ) 代諾者に係る規定(第50条第2項)
2) 第2項について
平成9年4月1日から平成9年6月30日の間に依頼が行われた治験又は法第80条の2第2項の規定 により計画が届け出られた治験(第1項の治験を除く。)の依頼を受けた者については、第58条において準用する第27条から第55条までの規定のうち、次 のア)からエ)に掲げる規定は適用されない。
ア) モニタリング、監査に係る規定(直接閲覧に係る規定を含む。)(第37条、第51条第1項第10号)
イ) 治験薬の管理のための手順書に係る規定(第39条)
ウ) 治験審査委員会に係る規定(第28条第1項)
エ) 実施医療機関の治験の業務に関する手順書に係る規定(第36条)
3) 第3項について
平成9年7月1日から平成10年3月31日の間に依頼が行われた治験(第1項及び第2項の治験を除く。)の依頼を受けた者については、第58条において準用する第27条から第55条までの規定のうち、次のア)からウ)に掲げる規定は適用されない。
ア) モニタリング、監査に係る規定(直接閲覧に係る規定を含む。)(第37条、第51条第1項第10号)
イ) 治験審査委員会に係る規定(第28条第1項)
ウ) 実施医療機関の治験の業務に関する手順書に係る規定(第36条)
(参考)
1.平成9年7月1日より適用される事項
1) 治験薬の管理のための手順書に係る規定
○ 実施医療機関の長は第16条第6項の手順書を治験薬管理者に交付し、この手順書に従って管理(第39条)
2.平成10年4月1日より適用される事項
1) モニタリング・監査関係
○ 実施医療機関の長のモニタリング・監査、治験審査委員会の調査への協力及び第41条第2項に掲げる記録を閲覧に供すること(第37条)
○ 説明文書に記載すべき事項のうち「被験者の秘密が保全されることを条件に、モニター・監査担当者、治験審査委員会が原資料を閲覧できる旨」(第51条第1項第10号)
2) 治験審査委員会の委員に係る規定(第28条第1項)
3) 実施医療機関における治験に係る業務に関する手順書に係る規定(第36条)
5.第6条関係(治験の管理に関する基準の経過措置)
平成9年3月31日までに治験の依頼をした者については、この省令の基準は適用されない(薬事法等の一部を改正する法律(平成8年法律第104号)附則第3条第5項)。
1) 第1項について
平成9年4月1日以降に依頼が行われた治験のうち、平成9年3月31日までに第7条第1項(第2号 から第4号まで及び第9号から第13号までを除く。)の規定に適合する治験実施計画書が作成された治験の依頼をした者については、旧規則第67条第7号、 第8号及び第10号の規定が適用される。
2) 第2項について
平成9年4月1日から平成9年6月30日の間に依頼が行われた治験又は法第80条の2第2項の規定により計画が届け出られた治験(第1項の治験を除く。)の依頼をした者については、第59条において準用する規定のうち、次のア)及びイ)に掲げる規定は適用されない。
ア) モニタリングに係る規定(第21条第1項)
イ) 治験薬の管理のための手順書に係る規定(第16条第6項)
3) 第3項について
平成9年7月1日から平成10年3月31日の間に依頼が行われた治験(第1項及び第2項の治験を除く。)の依頼をした者については、第59条において準用する規定のうち、第21条第1項のモニタリングに係る規定は適用されない。
注) 第59条において適用される治験の管理の基準は次のとおり。
第16条(第1項第5号及び第7項を除く。)、第21条第1項、第26条第1項(第1号〜第4号を除く。)及び第2項
6.1から5のとおり適用時期について経過措置を定めたところであるが、適用されない規定についても可能なものから順次取り入れ実施するよう努められたい。
(参考)
旧薬事法施行規則第67条
(治験の依頼の基準)
第67条 法第80条の2第1項の規定により、治験の依頼をしようとする者が従わなければならない基準は、次のとおりとする。
1) 治験を依頼するのに必要な毒性、薬理作用等に関する試験を終了していること。
1の2) 依頼者が本邦内に住所を有しない場合にあっては、治験薬等による保健衛生上の危害の発生又 は拡大の防止に必要な措置を採らせるため、依頼者に代わって治験の依頼を行いうる者を、本邦内に住所を有する者(外国法人で本邦内に事務所を有するものの 当該事務所の代表者を含む。)のうちから選任し、この者(以下「治験国内管理人」という。)によって依頼に係る手続を行うこと。
2) 依頼は文書により行うこと。
3) 第一号に定める試験の結果その他治験に必要な情報を提供すること。
4) 十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ、かつ、緊急時に必要な措置を採ることができるな ど当該治験を適切に実施しうる医療機関又は研究機関(以下「医療機関等」という。)に対して依頼すること。この場合において、漢方薬等の治験については、 その依頼先(依頼の相手としての医療機関等をいう。以下同じ。)の中に、当該専門分野において十分な臨床経験のある医療機関等を含めること。
5) 治験の依頼先に対し、治験の内容等を説明することが医療上好ましくないと担当医師が判断する場合等を除き、治験の内容等を被験者(被験者が同意の能力を欠く場合にはこれに代わって同意をなし得る者)に説明し、その同意を得るよう要請すること。
6) 治験薬等により健康被害が発生した場合の補償のために、あらかじめ、必要な方策を講じておくこと。
7) 治験薬等又はその容器若しくは被包に、次に掲げる事項を邦文で記載すること。
イ 治験用である旨
ロ 依頼者の氏名及び住所(依頼者が本邦内に住所を有しない場合にあっては、依頼者の氏名及びその住所地の国名並びに治験国内管理人の氏名及び住所)
ハ 化学名又は識別記号
ニ 製造番号又は製造記号
ホ 貯蔵方法、有効期間等を定める必要のあるものについては、その内容
8) 治験薬等に添付する文書、その治験薬等又はその容器若しくは被包(内袋を含む。)に、次に掲げる事項を記載しないこと。
イ 予定される販売名
ロ 予定される効能、効果又は性能
ハ 予定される用法又は用量
9) 治験薬等は、医薬品の販売業者等の第三者を介在させることなく直接依頼先に交付すること。
10) 治験薬等に関して次の事項を記録して保存すること。ただし、依頼者が本邦内に住所を有しない場合にあっては、治験国内管理人にも保存させること。
イ 製造及び試験に関する事項
ロ 依頼先別の交付数量及び交付年月日
11) 依頼者が本邦内に住所を有しない場合であって、厚生大臣が治験薬等の使用による保健衛生上の 危害の発生又は拡大を防止するために必要であると認めて、治験国内管理人に対し、治験の依頼の取消し又はその変更その他必要な指示を行ったときは、治験国 内管理人を当該指示に従わせること。
(施行期日)
第1条 この省令は、平成18年4月1日から施行する。
(経過措置)
第2条 この省令の施行前に実施された又はこの省令の施行の際現に実施されている医薬品の臨床試験については、この省令による改正後の医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(次項において「新令」という。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。
第3条 この省令の施行前に治験実施計画書(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令第7条第1項から第3 項まで又は第15条の4第1項から第3項までの規定に適合するものに限る。)又は製造販売後臨床試験実施計画書(この省令による改正前の医薬品の臨床試験 の実施の基準に関する省令第56条において準用する第7条第1項から第3項まで(第3項第1号を除く。)の規定に適合するものに限る。)が作成された医薬 品の臨床試験(前項に該当するものを除く。)については、新令の規定にかかわらず、なお従前の例による。